基礎の話


鉄筋とコンクリート

たまに耳にする話しで、基礎は鉄筋コンクリートなので大丈夫!!ベタ基礎だから大丈夫!!って聞きますけど、何がどう大丈夫なのかわかりません。また、突き詰めて、大丈夫って事を考える人も少ない???業者まかせと言うのも多いのではないでしょうか??

鉄筋コンクリートであれば、何でもOKなのでしょうか?いいえ・そんな訳はないです。

コンクリートに関しても様々な強度や仕様や施工方法がありますし、鉄筋に関しても様々な太さや強度や加工の約束や等があります。

基礎全般に関しても地盤の耐力や建物の規模により様々な規模や形状が存在します。

ここでは、一般木造住宅に関しての様々な基準等がある内容を簡単に説明しようと思います。
(鉄骨造やRC造等は構造計算より基礎形状が決定されますのでとりあえず木造に関して記述してみました。が・・鉄筋加工方法やコンクリート強度等の説明は木造・RC・鉄骨に関わらず同じ事です。)



基礎に関する設計「基礎の規模及び形状の吟味」

チェックすべき点

 
「地盤状況の確認」

よく住宅広告等で基礎の絵が書いてあり、
基礎フーチング幅450mm厚さ150mm 鉄筋D13@300なんて書いてある。

参考として左図の(基礎図1)みたいな絵を見かけると思います。

あれは、だいたい住宅金融公庫仕様の基準仕様であり最低寸法が記載されています。

現実に建築される地盤により、フーチング幅や厚さや配筋量は色々変化する事に注意してほしいです。地盤と言っても地耐力だけではありません。湿潤が多い所では木の腐蝕防止等により基礎高も変わりますし基礎高を上げる分、強度も上げる措置をしなければ建物をもたす事が出来ません。色々踏まえてみますと、結構標準寸法では不十分な場合が多いです。

また、床下換気口などの開口部にあたる部分の強度は大丈夫ですか?
開口部の鉄筋の配筋及び加工はきちんとされているのでしょうか?



「地盤条件のチェック注意点としては」

@近隣地形


造成宅地の場合は盛土か切土のどちらかであります。造成前の原形形状・勾配・傾斜具合「安息角内であるのか、なければどの様な処置が行われているか?など」の確認は重要であります。
地名で「沢・洲・沼・田・川・池・湖・浜」などは注意する。

A地質に地層に地下水位


直下地盤の状況確認を行い、支持地盤の深さ、地耐力を決定する。又地下水位の確認をしておく必要もあります。
地耐力が決定された時に基礎形状でOKがでれば問題ありませんが、軟弱地盤で支持層が深い場合には、基礎を支持するため杭やラップルコンクリート等で支持させます。
(参考数字として、一般木造住宅で住宅金融公庫仕様で考えますとフーチング幅は、地耐力5t/u以上の場合450・3t/uまでは600・3t/u未満の軟弱地盤ではべた基礎「但しべた基礎にしても様々な地盤状況がありますので注意して下さい。不動沈下を起こす程の超軟弱地盤では仕様が異なります。」)

B地中埋設物と処理方法の確認


取り壊し建築物「基礎・地下室・杭 他」樹木類の根の深さなどの確認をする。

C地業の方法の選定


確認した地盤状況によって、建物基礎底部までの地業方法を選定して設計図書の作成に入る。但し、地業方法には、地盤改良「セメント注入、土砂交換、薬剤注入など」、杭打ち地業、割栗地業など様々な方法があります。その様々な工法も地耐力や地下水位などにより検討されます。

(雑学)鉄筋コンクリート構造


「鉄筋とコンクリートとの組合せ」


鉄筋コンクリートは、コンクリートと鉄筋を組み合わせ、両者のそれぞれの長所を生かし又短所を補うことによって形成される複合材料であります。

コンクリートはきわめて安定な耐久材料であるのですが、強度性はかならずしも良くありません。圧縮強度はかなり強いのですが、引張強度は弱く引張破壊までの引張ひずみも小さい。たとえば、曲げの力が加わる梁などでは引張応力作用側から折れてしまうのでコンクリート単体で曲げ材を作る事は材質上適しません。

それとは反対に、鉄筋は引張強度が強く、破壊するまでの引張ひずみも大きく、じん性に富む材料です。しかし細長い材料なので、圧縮力が加われば、すぐに座屈し支持力を失います。

そこでコンクリートに鉄筋を挿入して引張側を鉄筋に圧縮側をコンクリートに負担させるようにすると、かなりの曲げ応力に耐えうる構造体になります。又圧縮鉄筋を使用すると鉄筋自体コンクリートに拘束される為に座屈しにくく又コンクリートと共に圧縮力を負担する高強度の構造体になります。

またその他の特性として、
  • 鉄筋は、そのままでは非常に錆易いのですが、コンクリートは塩基性であるためにコンクリート内部に包まれていると安定したままいれる。
  • 鉄筋は、高温になると強度が急激に低下し900℃前後でほぼ強度を失う。建築物の火災では、容易に1000℃になる部分もあります。普通・鉄は火災に弱いのですが、コンクリートにより鉄筋が保護され鉄筋温度が高温になりにくく、耐火的な構造になります。

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    コンクリートの話

     

    「コンクリート雑学」

    コンクリートの主材料であるセメントは、約150年程前の1824年イギリスでれんが工事業を営むアスプジンによってその製造特許が得られたいわれています。

    セメントの硬化物は現在もポルトランドセメントと呼ばれているのですが、イギリスのポルトランド島に産するポルトランドストーンによく似ていたことから、そう呼ばれています。「これ結構知らない人多いかもしれません。(^_^;)」

    コンクリートは「セメント」:「砂」:「砂利」:「水」の組み合わせから作られます。

    各材料の使用料比例や砂利(骨材)の寸法などにより強度や用途が様々変化します。だいたいコンクリート1m3作るのに「セメント」:「砂」:「砂利」:「水」=300:750:1100:180(kg)であります。

    コンクリート圧縮強度は、混練に用いたコンクリートの水とセメント比(たとえば1m3のコンクリート中のセメントを300kg、水を180kgとすると、水・セメント比=180÷300=0.6)によって影響を受けまして、水・セメント比を小さくすれば強度は強くなり、大きくすれば弱くなります。


    (ここの所を注意する!!コンクリートを施工するのに、施工し易くするために現場で安易に水を増やして水みたいなコンクリートを打っているのを良くみます。強度が落ちるのはさることながら・・・中性化が早くなったり、乾燥収縮率が増したり、材料の分離現象が生じて所定強度まで達しない・・)

     

    「コンクリート強度の話」

    普通、鉄筋コンクリート構造物の強度計算をする場合、はじめにコンクリートの強度を仮定しなければいけません。使用する鉄筋の加工方法等もコンクリートの強度により決定されます。

    普通コンクリート(ポルトランドセメントに川砂・川砂利もしくは砕石を混ぜたコンクリート)で材齢28日における設計基準圧縮強度Fcとして、180、210、225、240(kg/cm2)などを選ぶ場合が多いです。

    又砂利(骨材)寸法も25mmや20mmなどあり、砂も5mmや2.5mmや1.2mmなどあり又あとで説明するスランプも8cm〜21cmなどありまして、その各組み合わせにより強度も変化します。

    基本は強度180スランプ18骨材25〜20であります。
     

    「コンクリート打設・施工」

    コンクリートを工場から現場へ搬入し打設するのですが、これにも沢山の規則や基準がありこれを守らないと所定の強度が保てないばかりか建物として機能するものに出来上がりません。数ある中から、かいつまんで説明しようと思います。

    @気温によりコンクリート強度を補正してやらなければいけない。(特に冬季)
    Aプラント(工場)から打設までに1時間を超えないようにする。
    Bポンプ打ちの場合には、ポンプの通りをよくするために一番最初にモルタル(セメントと砂を練った物)やセメント水を流すのだが、それをそのまま構造体に打っていないか注意。「結構いいかげんで打設する人を数多く見ています。」
    C所定の強度や試験に適合したものを使用しているか注意。強度や種類も土間や構造体やスラブ(床)など用途によって変わります。
    D施工を楽にするために現場で水を増やしていないか?
    Eバイブレーターを使いすぎていないか?
    Fポンプ打ちの場合・ホッパー打設もですが、高低差のある部分で直下打設をしていないか?
    G打ち継ぎの場合に適正な場所であるか?表面処理は出来ているか?
    Hコンクリート打設を中断した場合1時間以内に再打設を行っているか?
    Iコンクリート打設時又打設後5日間以上は温度2℃以上を保つ様にしているか?湿潤は保たれているか?

    等々を気をつけなけらばいけません。但しこの上記内容もほんの一部分にすぎません。
     

    「コンクリートに関する用語説明」

    スランプとスランプ試験
    スランプ試験は、コンクリートのコンシステンシーを測定するために行われるもので、日本工業規格にその試験法および測定法が規定されています。このスランプの大小によってコンクリートの柔らかさの程度がわかり、またスランプする早さや状態によってコンクリートの粘ちゅう性(骨材の分離性の難易)を知ることが出来ます。普通この結果を元にコンクリートの運搬や打ち込みについての作業性の良否、すなわちワーカビリチーを測定します。

     
     
     

    鉄筋の話

     
    「鉄筋の雑学」
    現在、鉄筋コンクリート構造に用いる鉄筋の規格には

    A種
    (JIS G3112「鉄筋コンクリート用棒鋼」)
    (JIS G3117「鉄筋コンクリート用再生棒鋼)

    B種
    (JIS G3112又はG3117の規格に試験結果が合格するもの)

    を使用するように定められています。

    鉄筋には丸鋼と異形棒鋼の2種類があり、丸鋼は名称通り断面が円形の細長い棒状で、異形棒鋼は表面に節などの突起をつけたものであり突起形状は製品によって多少異なります。

    わが国の鉄筋コンクリート構造技術は主にドイツからとアメリカからであり、ドイツからのものが主に丸鋼・アメリカからのものが主に異形棒鋼を用いる例が多かったです。

    時を経るとともに丸鋼が多かったのですが、戦後に異形棒鋼に変わり現在にいたっております。異形棒鋼はその表面に突起を持つことにより、鉄筋コンクリート構造にとって重要な付着強度が大きくなる特徴があり、この突起部の作用により集中ひびわれ等が起こりにくくなり、ひび割れを分散させる効果も持っています。
     

    「鉄筋の施工・加工」

    鉄筋コンクリート造では、コンクリート中の鉄筋がその機能を十分発揮出来るよう又長期間に渡って、健全な状態が保たれるように配筋しなければいけません。

    そのために、適切な


    ・@コンクリートのかぶり厚さ
    ・A配筋間隔
    ・B定着
    ・C継手
    ・D加工


    等の方法を守らなければいけません。


    これも沢山の加工方法や決め事があるため突貫工事や複雑な構造体や大規模な建築物である場合に軽視されていたり全然守られていなかったり、めんどくさいから省略されている構造体など良く見かけます。

    また何でもかんでも補強筋を入れさしたり、鉄筋数を異常に増やした施工をしている所もあります。

    何事もそうですがバランスが大切です。


    @コンクリートのかぶり厚さ

    かぶり厚さは鉄筋の防錆・耐火・付着強度などから決められるものであって右図のように決められています。


    A配筋間隔

    主筋のあきの最小値
    相隣る主筋のあいだを打設するコンクリートが無理なく通過すること、並列する鉄筋の相互干渉によって付着強度に低下が生じないことを条件として、その最小値は25mm以上、コンクリートに使用する骨材の最大寸法の1.25倍以上、異形鉄筋径の1.7倍・丸鋼鉄筋径の1.5倍と定められています。
    又梁幅や柱幅等により並べられる鉄筋本数の規制があり2段配筋等を行う場合もありますし、2段配筋を行う場合にも鉄筋間隔に注意が必要です。

    B定着

    普通の鉄筋コンクリート構造では、剛節骨組構造で設計されて各部材で生じた応力を接合部分を通じて相手部材に完全に効率よく伝えなくてはいけません。

    接合部分の応力伝達はコンクリートと鉄筋が負担します。「あたりまえですね・・・(^_^;)」

    鉄筋は引張応力に対応する訳なのですが、鉄筋に生じた引張応力を相手部材に十分伝達させる為に、鉄筋を相手部材中に長く延ばして挿入します。
    相手部材中に挿入した鉄筋部分を定着部と呼びます。

    鉄筋を相手部材中に挿入して定着する場合、必要とする定着長さLは、鉄筋の種類や品質、コンクリート強度及び鉄筋に生じる最大引張応力度などにより決められます。
    これも細かく様々な決まりがあるため、一般的な話しで終わっておこうと思います。

    右図のように決められています。

    右図の40DのDは異形鉄筋公称直径の値でD13であれば直径13mmの鉄筋であり、定着長さは40×13=520(mm)である事を意味します。



    C継手

    鉄筋は基本的な長さの定尺寸法で現場に来ます。
    建物の規模や大きさにより加工して使用するのですが、必ず継いで使用しなければいけません。継ぐ場合にも適当に継いで良い訳ではなく、細かく決められています。ここでも一般的な事で終わり深くは説明しませんがこう言う事もあるんだなと、気に止めておいていただければと思います。

    鉄筋の継手は、鉄筋に生じる応力が小さい箇所で継ぐのが原則です。
    鉄筋の継手には、重ね継手、あき重ね継手、ガス圧接、アーク溶接による方法などがあり最近では様々な接合方法も出てきています。
    重ね継手は右図に示す通り重ねて結束線(ハリガネですね)で止めるですが、ガス圧接は接合する相互の鉄筋端部を突合せ、アセチレンと酸素の混合ガスバーナーで加熱して半溶融状態でその軸方向に加圧して継ぐ方法です。
    接合部分はこぶ状に膨らんだ形になります。接合部の引張強度は接合した鉄筋の強度と同等であると考えます。ただし、折り曲げなど曲率をもつ箇所では使用しない。
    アーク溶接による接合方法には、鉄筋を突きつけて継ぐ方法、重ね継ぎ形式で継ぐ方法などがあります。
    継手長さは、定着の部分と同じで長さが決まっています。
    又鉄筋応力の小さい箇所に設けるのが原則であって、また部材の同一断面の位置で継ぐ鉄筋の数はなるべく配筋数の1/2以下にし、隣り合う鉄筋の継手位置は、決められている寸法を守りずらして継ぐ事も重要であります。

    D加工

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