南海放送ラジオ「まいど」出演 (2002年08月01日 抜粋)


松本敬子(以下、M)  女性アナウンサー(以下、A 関西の「乗り」で……

A「小説家の方を今日はゲストにお招きしております。愛媛県今治市出身の松本敬子さんです。宜しくお願いします。」
M「宜しくお願いします。」
A「あのー、今治ということは、今治生まれで今治育ちですか? 高校も今治ですか?」
M「今治西高でございます。」
A「あっ、じゃー今、今治西高ピコーン!と、あ、あの敬子ちゃーん、みたいな、そんな方もいらっしゃるかもしれませ
  んけれどもねぇ。松本敬子さん、小説家の方をゲストにお招きしていきたいと思います。まず最初に、今出ているの
  が『四季の城下町』、こちらの17ページに訂正があるということなんですけど。」
M「はい。この本は弁護士事務所を舞台にしておりますので、沢山の弁護士さんの方から反響がございまして、その中で、
  松山の弁護士さんのお一人が、『大変面白かった』というお手紙を頂戴致しまして、ただ一つ、言葉の誤りがありま
  すよと指摘をされまして、17ページの『法廷日誌』という言葉は『訟廷日誌』が正しいんですよ、というご指摘を
  伺いました。勉強不足で申し訳ございません。」
A「じゃあ、第二版からはそれで……。」
M「はい、第二版になりましたら。」
A「今、出版されているこれ、四国・愛媛・松山が舞台になっているんですけれど、『四季の城下町』、そういうのを
  読んで反響を寄せて下さるっていうのは、本当にありがたい話ですよねぇ。」
M「はい、本当にそれは。お友達のホームページにも、面白かったという投稿がございまして、すごく、書いた側として
  は(ありがたいです)。」
A「そうでしょうねぇ。小説家として生活をされていて長いんですか?」
M「そんなことはないんです。書き出したのは、つい数年前です。」
A「えっ? めちゃめちゃ最近じゃないですか。」
M「はい。めちゃめちゃ最近でございます。」
A「例えば主婦の方で、文章を書くのは好きやけど、と思っとる人でも、もしかしたら小説家になれるかもしれん。」
M「そうですねぇ。チャンスが与えられましたらね。」
A「どうなんですか? もともと、本を書いたり、文章を書いたりするのはお好きだったんですか?」
M「そうです。本を読むのはすごく好きでした。子供心にも、いつか『お話を書く人になりたい』と思っていました。」
A「すごいじゃないですか! 夢を現実のものにしましたね。」
M「そうですね。幸いなことに、ということですけれども。」
A「じゃあ、本を読むのは好きで、大体どれくらい読まれたというか……。」
M「子供の頃は体が弱かったもので、しょっちゅう入院してましたので、母がたくさん本を買って来てくれて、……」
A「じゃあ、その時に。」
M「はい。子供らしくない本も読んだと思いますけれども。」
A「あ、ちょっと『おませさん』みたいな。」
M「そうですね。本当に。」
A「はははっ(笑)。ああ、そうですか。やはり、そういったところで、知らず知らずの内に文字に接する機会が本当に
  多かったということなんですかねぇ。」
M「それは、そうだと思います。」
A「んー。で、小説を書かれた時に、あのー、それこそ本にしましょうかっていう、普通そんな話にならないじゃないで
  すかぁ。」
M「そうです。私の場合は、本当に編集長のお声がかりといいますか、文学賞に応募いたしまして、大賞から外れたんで、
  本当だったらボツになるところだったんですけれども、水沢編集長が、『この人は多分ものになると思うから、うち
  で推したい、推してあげよう。』という、水沢さんのお声がかりで本が出たということで、大変感謝しております。」
A「えーっ!(感嘆)。音楽の世界ではスカウトマンとかがいますけど、そういうもんですよね。」
M「スカウトっていうか、文学賞に応募して、最終選考には残ったんだけれども、本当だったら葬り去られるところを、
  水沢さんが『これは、若い女性の方に受けるであろう。』ということで、ということです。」
A「えーっ!(感嘆)」
M「だから、これも一つの人間の出会いですから、相性が良かったんだと思うんです。」
A「そうですよね。そこでビビッ!とこられなかったら、それこそ本当に松本さんが仰るように、葬り去られるところで
  すよね。」
M「そうです、そうです。それはそうだと思います。」
A「はははっ(笑)。その本が『天使の羽根』という本ですか?」
M「いえ、『天使の羽根』は、最初、小説を書くきっかけになった私のゼミの恩師が、もう10年も前からですけれど、
  『仕事を持たない主婦というのは、子供が成長すると虚脱感に囚われてしまうから、とにかく何か生き甲斐を。』と、
  それで、中村先生と言うんですけれども、中村先生が『あなたは、よくお手紙を下さる時に、すごく情緒的な文章を
  書いておられるから、小説を書いてはどうですか。』ということで、それで、同人誌のコスモス文学賞に送りまして
  入選した、ということです。それが最初です。」
A「んー(感嘆)。そこでねぇ、先生に手紙を書いてなかったりしたら、この話は無かった話やし、それこそ、中村先生
  にちょっと書いてみたら、と言ってもらえんかったら……、一歩踏み出せてたからじゃないですか。」
M「中村先生というゼミの恩師がすごく温情的な方で、私が学校を卒業してからでも色々な相談をしていまして、先生が
  それに対して色々な意見を述べられた中に、『あなたのお手紙は非常に情緒が豊かだから、あなたは小説を書いたら
  どうですか。』という、そういう先生のお勧めもあり、それで勢いを得て書こうかなと思って、だからいつも思いま
  すが、水沢さんもそうですが、中村学長、平成国際大学の学長をなさっていますけれども、人間との出会いというの
  は大変ありがたいと私は思います。」
A「本当にそうですね。そういう出会いが無かったら、こういう話になってないことも考えられますし……。」
M「そうです。はい。」
A「それから言うたら、小説家としての人生をスタートされて、『時空を超えた恋』もお書きになっていらっしゃいま
  すし、こちらのほうも言うたら、占いをテーマにしたら若い人にも受けるし、じゃあ出してみようと……。」
M「はい、そうです。」
A「んー。そして今出てますのが『四季の城下町』、松山城築城400年に合わせたかのように、舞台が、故郷愛媛県
  の松山という所で……。」
M「そうですね、はい、本当に。でも、実は『四季の城下町』を書きましたのは平成11年位だったんです。」
A「あっ、そうですか。結構、昔だったんですね。」
M「そうです。それは100枚で、ある出版社に送りましたけど、ボツになりまして、そのまま寝かせていたのを、この
  度、水沢さんから『『時空を超えた恋』の売れ行きがいいので、うちからもう一回書きますか?』というお声がか
  かった時に、『じゃあ、叩き台にして、もう一回練り直しましょう。』ということで書きました。だから、100枚
  の時と、ちょっと最後の部分が違っている訳ですね。」
A「んー。」
M「最後の部分が、100枚の時は『繭子さんは死んじゃったのよ。』という所で終わるんですけれども、それが今度の
  文は、ご主人の岸和田武一郎さんの悩みとかも織り込んで書いたということですね。」
A「あー、じゃあ、そういう結末の変わった小説に書き換えられて……。」
M「そうです。はい。結果的には。ですから、息子の松山東高のお友達が私にお手紙を下さいまして、『最後まで、岸和
  田武一郎は悪い人かなぁと思ったけれど、いい人だったから、良かったー。』とかね、だから、子供心にそう思って
  くれたんだろうなぁと思いましてね。」
A「やっぱり、その辺が小説家で、せっかくこうやってものを書くんだから、松本敬子さんのポリシーとして、そうい
  う所に信念があるということですか?」
M「はい。そうです。読み終わって、いやーな重いが残る小説っていうのは、私は嫌ですね。」
A「ちょっと、幸せな余韻に浸れるような……。」
M「そうです。幸せプラス胸キューンとなるような……。」
A「あっ、胸キューンなんですか。」
M「あー、そうです、そうです(笑)。」
A「はははっ(笑)。なるほどねえっ。そういう小説を書き続けていきたいという夢もおありだと思いますけど。」
M「はい、そうです。」
A「今、色々と活動をされていらっしゃいますよね。これも陽の目を見て、色々な所から色々な話が出て来るといいなぁ
  と思いますけど。」
M「はい、そうですね。本当に。」
A「でも、こうやって本をお書きになっていらっしゃるっていうのは、私らからしたらもう……。私は文章を書くのは下
  手くそやし、作文コンクールに出しても、そんなん通ったこともないし。大体、小学校4年の時に『嘘つきお姉ちゃ
  ん』という400字詰の原稿用紙、それ位かなぁ、なんか先生に誉められた位なんですけど。」
M「(相槌)」
A「今日のテーマの暑中見舞い、文章を書くポイントとか、こういうふうにしたら、気軽に手紙も書けるのよってのを教
  えて頂きたいのですが。」
M「要するに、客観的に見ることじゃないかしら、と思うんですよね。人間というのは、一面じゃないですからね。多面
  体ですからね。悩みとか、強さ・弱さを全部一つのものにまとめるには客観視して、それを一つの文章にするという
  ことが大事じゃないかと、私は思います。」
A「じゃあ、もう、そういうのを考えながら、気軽にペンや筆を持って頂きたいですね。ラジオを聞いている方々に。」
M「そうですね。」
A「そして、松本敬子さんの本が出てますので、『時空を超えた恋』そして愛媛県、まさに故郷が舞台になってます
  『四季の城下町』お近くの書店で御覧になって頂ければ、と思います。今日は短い時間でしたけれども、どうもあ
  りがとうございました。」
M「ありがとうございました。」
A「故郷・愛媛から、こうやって小説家が出てる、それだけでもすごいなと思いますが、愛媛・今治市出身でござい
  ます小説家、松本敬子さんにお越し頂きました。ありがとうございました。」
                                                  以上