日本国憲法 改憲、護憲
 改憲、護憲と聞いただけで思考停止していませんか? 日本国憲法の条文数は「103」あります。第9条だけではありません。改憲、護憲と言っただけ で、「軍国主義だ」「いつか来た道だ」としか考えないのは、問題です。民主、平和、人権の三大 原理を守りつつ、さらにより良い憲法をつくろうと、なぜ考えないのでしょうか。何を守るべきか、 何をより良くすべきか、論点は実に沢山あるのです。 一例として、以下の改正案 (下線部) をどう思いますか? 私は当然だと思います。
第14条 1項 すべて国民は、法の下に平等であって、いかなる不合理な差別も受けない。  理由:人種、信条、性別、社会的身分、門地(後段列挙事由、例示)以外にも、年齢、経済力、     等、差別の原因となる事項があり、少数派に対する不当な制約となる事項がある。いかな     る事項であれ、一切の不合理な差別は厳重に禁止すべきなので、事項を特に制限しない包     括規定がよいと考える。 第18条 何人も、個人の尊厳を侵す拘束は受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反す る拘束、苦役に服させられない。  理由:実態はともかく、現代社会では奴隷は存在しないので、奴隷的拘束という文言は現代感覚     にそぐわず、無用な解釈を招きかねない。現代的表現で、人間としての尊厳を侵す(人間     扱いをしない、人格を否定する)ことを一切禁止すべきである。また、社会的権力からの     個人の基本的人権保障を確実にする為には、個人の意に反する拘束をも禁止する旨、明文     化すべきである。 第21条 1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由、知る権利は、これを保障する。  理由:知る権利は正当かつ重要で、他の利害との調整が不可避で、取扱に慎重を要するが、条文     に無い。条文上の根拠があいまいな解釈論で処理し続けず、明文化して正しく用いるべき     である。 第25条 2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障、環境保障及び公衆衛生の向上及び増進に 努めなければならない。  理由:人間の幸福な生活に心身の健康は不可欠であり、心身の健康には、良好な自然環境、生活     環境が不可欠である。現代及び次世代以降の人間が幸福な生活を送るには、環境保障は極     めて重要な問題である。条文上の根拠があいまいな解釈論で処理し続けず、明文上の根拠     を与え、十分な環境保障をすべきである。 第98条 3項 この憲法の規定は、全法秩序の基本法として、直接・間接に私人間の法律関係にも適用される。但 し、私的自治を不当に害してはならない。  理由:憲法に第三者効力があることを明確にするためには、明文化すべきである。 参考文献 小林節『憲法守って国滅ぶ』(KKベストセラーズ、1992年) 井上博道「基本的人権」(非売、2002年)