怒らない
産経新聞(2004年01月15日)「キャッチ」より 部下を怒らない坂本さん 「半導体専業メーカー、エルピーダメモリーの業績が急速に改善している。1年あまり前に社長 に就任した坂本幸雄さんの手腕を評価する声が多いが、坂本さんが心がけていることは『部下を怒 らないことだけ』という。 かつて、米国人の上司に『自分のいいところだけを伸ばしてもらった。仕事が面白くなったし、 元気もでた』。部下の長所を伸ばすために、同じ手法を実践する。『自分の女房もそうだけど、悪 いところを直そうとしてもなかなか直らないからね』と笑う坂本さん。夫婦円満の決め手も怒らな いこと、のようだ。」 どこの団体にも、色々な人がいるものです。上司と部下の関係も複雑ですね。お互いに、いいた いことは色々とあるでしょう。私は弱者の味方ですから、社会的(権力的・経済的)弱者である部 下を弁護して、一言コメントをします。 部下の不十分なところ、結果が十分ではないことを執拗に責めたり、感情的(ヒステリック)に 叱り続けたり、フォロー(業務の進捗状況の詰問)ばかりをしたり、自分の意見が絶対に正しいと 信じ込んで、部下に一方的に意見を押し付け続けている人はいませんか? 皆の前では紳士的に振舞っていても、部下と2人だけになると、顔色を変えて怒ったり、歯を剥 き出して興奮したり、机を叩いて狂乱したり、別人のようになる人はいませんか? 自分と違う意 見を言われたり、異なった提案をされたら、全く受け容れようとしない人はいませんか? このよ うな人と2人きりで会話をするのは不可能です。また、避けた方が賢明でしょう。 部下を誉めたことのある人はいますか? どちらが先でもいいですが、半分怒ったら、半分は誉 める。出来て当り前、ではなく、出来たことは誉めて(認めて・表現して)あげましょう。怒るの は、それからでも遅くはないのです。せっかくできたことを何も誉められず、できていないことを 重箱の隅を突くように責められたら、受け側である部下は決していい感情は持たないと思います。 結果として、人間関係・職場の雰囲気が悪くなり、業績に影響(勿論、個人の査定にも影響)す る場合があります。人間は感情の動物です。人に厳しく、自分に甘い人間は、どこに行っても必ず 嫌われます。北風と太陽の話しを思い出してみましょう。部下のマント(コート)を脱がすのには、 どちらが有効でしょうか? 「上に立つ資格の無い人間が上にいる」のと「上に立つべき人間が上に立っていない(立てない)」 のとでは、組織にとって、どちらの方が深刻な問題でしょうか? どちらも大問題です。急がば回 れ、です。人を伸ばし、業績を上げるためにも、部下を怒らない坂本さんを見習いたいものです。 人は誉めて育てるものです。恐怖で動かしても、表面的に動くだけで、決していい結果にはなりま せん。明日から、部下を少しだけ誉めてみることを始めてみませんか? 団体・組織(企業)は、 結局は人なり、です。 以上