正論じゃろん?(C) 07
続、コーポレイト・ガヴァナンス                             1997年(平成9年)11月  また出た。今度はM、Hグループの総会屋がらみのスキャンダル。これは、旧来の会社経営の在 り方の末期症状であり、氷山の一角と思える。  会社法のレポート課題に、「コーポレイトガヴァナンスとは何か」というのがある。要約すれば 企業統治のことであり、「会社は誰のものか」という観点から議論される問題である。会社の機関 には、株主総会(立法機関)、取締役及び取締役会(行政機関)、監査役(司法機関)がある。国 家統治と同様、これらの三権が互いに分立して、うまく機能してこそ健全な経営ができる。  昨今のマスコミを賑わしている総会屋関係の事件は、会社経営・幹部等の弱みに食い込むもので ある。総会屋の行為は許されるものではないが、付け入られる側にも問題がある。隠したり、金で 解決を図ろうとせず、失敗等は正々堂々と素直に詫びれば良いのである。  総会屋の標的にならないためにも、会社は健全な経営をする必要がある。私見で恐縮であるが、 会社健全経営のための改善案のほんの一部を述べてみたい。 一、株主総会    形骸化した株主総会(シャンシャン総会)活性化のためにも、大会社による株の持ち合い   を見直し、少数株主にも、もう少し強い発言の機会が得られるよう、株の流通を活発にする。   必要ならば、何日でもかけて議論できるような、オープンな風土をつくる。 一、取締役及び取締役会    経営トップにも腹蔵無く意見を出せる社外取締役を、広く積極的に採用する。トコロテン   式に昇格したり、より上の顔色を伺って、自分の意見を遠慮するような組織の在り方は、会   社のためにも、株主のためにも見直すべきである。 一、監査役    取締役及び取締役会とは一線を画し、腹蔵無く経営陣営に意見できる人材を登用する。取   締役からの横滑りや、飾りだけの監査役はプラスにならない。  最後に、私は一つ提案したい。ビジネスエスィクスとも関連があるが、「企業倫理委員会」を 会社の機関として設けては如何なものであろうか。「会社は誰のものか」などという意識は、組 織の末端では殆ど忘れ去られている。公私混同、勤務態度不良、客観性に欠けた不透明な人事考 課等、株主も経営トップも知らないような問題は、どの会社にも多少はあるであろう。  臭いものに蓋をしたり、保身を考えたりせず、ダメなものはダメとはっきり言うべきである。 現代の会社(特に大会社)が社会に与える影響は大きい。グローバルな観点からも、日本的経営、 日本的会社の在り方は、根本的に見直す時期に来ているように思う。                                        以上