正論じゃろん?(C) 11
講師派遣感想(日本国憲法) 慶友会という団体における制度の一つに、講師派遣がある。教授の講義が聞け、人柄に触れるこ とができる至福の一時である。 今回は、憲法の小林節教授にお越し頂いた。教授の数ある著書の一つに、「憲法守って国滅ぶ」 がある。タイトルだけを見ると(聞くと)、過激に感じる人もいるであろう。しかし、真面目にこ の本を読めば、日本国憲法の問題点、教授の日本国と日本国憲法に対する情熱等を感じると思う。 「憲法守って国滅ぶ」の最終頁に、「……本書で訴えたいことの第一は、この私の改憲案の正当 性ではなく、何よりもこのように改憲論議をすることの正当性である。……旧来の護憲「信仰」と 改憲「感情」の対立といった不毛な議論を越えて、現行憲法には論点が山のように存在することを 知ってほしいのである。」の一節がある。私が強く引き付けられた一節である。 日本人は議論下手で、食わず嫌いな一面がある。しかし、日々、幸せになるために(幸せを目指 して)生きている私達のための最高の道具である「日本国憲法」について、真剣に議論をしない (食べてみようとしない)のは問題である。まして、真面目に、事実と愛情を持って語る人に偏見 を持つことは許されるべきではない。「右」だ「左」だと単純・短絡的にレッテルを貼り(ラベリ ング)、偏見を持つような社会とその個人が基本的に未熟なのである。 今回の講師派遣行事のテーマは「安全保障とガイドライン」であったが、教授の御好意により、 日本国憲法全般にわたって講義をして頂いた。憲法とは何か、安全保障と憲法、憲法を巡る様々な 問題等、二日間では時間が足りなかったほどである。一日目は別府湾に沈む夕日を展望しつつ、二 日目は珍しく雪が舞い散る中、行事は無事終了した。 ある塾生の自己紹介の中での、教授に対する印象の一節を借りると、「久しぶりに拝見する、男 気のある先生」であった。心に残った教授の言葉の中から幾つかを抜粋して以下に記しつつ、筆を 置く。教授に御礼を申し上げるとともに、日本国、日本国民のブレインとしての末永い御活躍を祈 念する。 “日本国憲法は良い。だから、もっと良くしたい。” “私達は幸せになるために生きている。説明は要らない。” “戦争の無い状態を実現しよう。加害者にはなりたくないが、被害者にもなりたくない。” “不完全な人間が今日作って、見たことのない明日以降に使うのが法律。” “世話になっている国際社会に恩を返すのは当たり前。” “つけを後の世代に残すのは無責任。議論よりも、まずは実行(行財政改革)。” “法はフェアプレイである。不当に有利な立場で攻撃しない。” “我々は地域としての個性を持っている。国の権限を降ろしなさい(地方分権)。” 以上