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私は吉井奈々子、
長い尻尾と立派なトラ模様が自慢の美人なの。
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年は内緒なんだけど、大好きなみさおお母さんの娘が小学校一年生の時、
吉井家の家族の一員になりました・・・計算すれば誰でもわかるわよね。
でもそんなに見えないでしょう?
わたしってちっとも変わってないの、美しいでしょ?
お母さんの娘といえば、孝枝おねえちゃん、
私が面倒を見てあげたおかげで大きくなって、今では立派に大学一年生。
でも、ちっとも恩を感じてないみたいで、それが一番の不満なの。
小学校一年生の頃、孝枝ちゃんの「行ってらっしゃい」と「おかえり」は、私の仕事だったのよ。
それが今ではすっかり大きくなっちゃって、私の役目も終わったみたい。
ひまだから毎日寝てばかりいるの。
でもね、この頃毎日ドキドキすることがあるの。
それは何かって?
それはね、ハンサムなノラ君が朝晩、ご飯を食べにくるようになったのよ。
毎日ベランダに彼の白い姿が見えると、私とってもドキドキしてしまうの。
優しい私のお母さんから美味しいご飯をもらうと、
彼はペロッとたいらげてさっさと帰って行ってしまいます。
私のほうには全然関心がないみたいでちょっとさびしいです。
でもすらっとしたノラ君の姿を見るだけで、私はとっても幸せです。
だって変化のない毎日に、ちょっぴり刺激が出てきたんだもの。
なんだか生きる張り合いが出てきたわ。〜。
お母さんは私と泳ぐことが生き甲斐らしいです。
私もノラ君を生き甲斐にして長生きしなくては。
そのうち彼の写真も見せてあげるわね。
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こちらへ続く
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