ここは人里離れた山奥にある山荘の一室。
私を含めた仲間5人で遊びにきていたのですが…
見事に閉じ込められました…

唯一の出口である扉は鍵が掛けられ極めて頑丈。
何度もぶち破ろうとしましたが無理でした…

小さい通風孔らしきものがありますが
どう考えても通れません。
それどころか死ぬほど冷たい風が吹いてきて
どんどん体力を奪っていきます…

壁もまさに鉄壁…
床も鉄壁…。
冷たい冷たい分厚い鉄です。
防音もされているらしく叫んでも叫んでも
誰も気付いてくれません。

あ、絵には天井がありませんがそこから出られるとか
そんな生易しい設定ではありませんでした…

わたくし全裸です。はい。
所持品も犯人に全て持っていかれました…

ただ携帯電話だけは取られませんでした。
「しめた！」
と思いきや電池は取られていました…
とても古い携帯なので位置確認とかは
してもらえないと思います…

閉じ込められて数時間しか経っていないと思いますが
どうやら外からの冷風で限界に来ているようです。
もうあまり動くことも出来ません…。
脱出はあきらめました。

こうなったらやる事は一つ…
犯人はわかっています。
このままでは悔しいので
ダイイングメッセージを残すしかありません。

とは言え…この部屋…何もありません…

爪や歯…携帯等で床や壁や天井に
文字を書こうと試みましたが傷ひとつ付きません…

血文字だ！
と思いましたが死を間近にしても
自らを傷付けることは出来ませんでした…

良い事を思い付きました…
髪の毛を何本か抜いて文字を作っておこう！
作り始めて数秒…
通風孔から強風が吹き全て吹っ飛びました…
というか元から短髪なのでどうにも上手くいきません。

ちょっと汚いけど出すものを出すしかない！
と思いましたが何も出ませんでした…
出ないものは出ないのでどうしようもないです…。

もう駄目だ…
意識が薄れていく…
……………。
最後の瞬間…
思い付きました…！
他の仲間には迷惑をかけずに
奴だけを簡単に示せるダイイングメッセージを…！

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その後、行方不明者がいるとの通報を受けた
警察が山荘の鍵が掛けられた部屋を
こじ開けたところ男性の凍死体を発見した。

死亡推定時刻にこの山荘にいた者は
仲間の四人だけと断定された。
そして被害者が残したダイイングメッセージを元に
容疑者を問い詰めたところ自白し事件は解決した。