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■ あるスケールが与えられると、それに対応する基本的な7つのコード(これらをまとめてダイアトニック・コードという。以下 DC と略す)が存在する。例えば、もしスケールが「ドレミファソラシド」(ハ長調= C メジャー・スケール)だとすれば、そこに登場する音をそれぞれルートにして、3度積みすれば、下図のような「ドミソ」「レファラ」「ミソシ」....という7つのコードを抽出できるよね。このいわば「仲良し7人組」のコード群が、DC である。

■ スケールの音から導かれるので、DC はスケール・トーン・コードとも呼ばれる。この名前の方が判りやすいかもしれない。ちなみにビートルズの 名曲『Let It Be』(Key in C)では、C、G、Am、F などのコードが登場するが、これらはどれも DC だ(このように、DC を知っていると、曲のコードを耳で探すときに便利)。
ちなみに、DC 以外のコードが使われない曲では、多くの場合、単一のスケールだけでソロができる。
■ DC とは、あくまで「スケールに対応したコード群」のことだから、スケールが変われば当然 DC も変わる。以下では、「メジャー・スケールの DC」と「マイナー・スケールの DC」の2つを紹介する。ただしマイナー・スケールには自然的・旋律的・和声的の3種類があるので、DC も3種類ある。
#1 メジャー・スケールの DC
■ 上図のように DC は、「I」から「VII」までのローマ数字番号で表現される。これはジャズの理論を学ぶ上で不可欠なので慣れて欲しい。例えば、『Let It Be』の「C, G, Am, F」というコード進行は、「I, V, VIm, IV」と表記される。
なお、ジャズでは、上のようなトライアッド(3和音)ではなく、下のようなテトラッド(4和音)が普通である。コード記号に登場する「△」は「Maj」のことだよ
| 要暗記 |
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| IMaj7、IIm7、IIIm7、IVMaj7、V7、VIm7、VIIm7-5 |
|---|
■ コードの機能 (function)
さて DC の各コードにはそれぞれ機能 があり、機能には「トニック (T)」「サブドミナント (SD)」「ドミナント (D)」がある。
例えば、「CMaj7」というコードが登場したとする。キーが「C メジャー」なら、このコードは「IMaj7」であるが、キーが「G メジャー」なら、このコードは「IVMaj7」である。すなわち、同じコードでも、それが何のキーで登場したかによって機能は異なるわけだ。
| トニック | サブドミナント | ドミナント |
|---|
| CMaj7、Em7、Am7、 | Dm7、FMaj7、 | G7、Bm7-5 | | IMaj7、IIIm7、VIm7、 | IIm7、IVMaj7、 | V7、VIIm7-5 |
同じ機能のコード同士は互いに代理できる可能性が高い(曲をアレンジする際によく使う手法)。上表は、DC を機能別に分類したものです。暗記する必要はないが、覚えておくと便利。
対応スケールとアボイド・ノート
DC の各コードに対応するスケール(教会旋法)とアボイド・ノ-ト(使わぬ方が無難な音)をまとめておく。これは、「ダイアトニック・コード」「教会旋法」「コードの機能」の3つを総合したような話なので、理論の要点整理となろう。
| DC (Key in C) | 対応スケール | アボイド・ノート
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|---|
| I (C) | I (C) アイオニアン | 4度のファ
| | IIm (Dm) | II (D) ドリアン | 6度のシ
| | IIIm (Em) | III (E) フリジアン | 2度のファ
| | IV (F) | IV (F) リディアン | なし
| | V7 (G7) | V7 (G) ミクソリディアン | 4度のド
| | VIm (Am) | VI (A) エオリアン | 6度のファ
| | VIIm7-5 (Bm7-5) | VII (B) ロクリアン | 2度のド |
アボイド・ノートを覚えるコツがある。すなわちコードの機能に着目する。
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Ex 2-2-2 必須
「D メジャー・キー」の DC を分散和音(アルペジオ)で弾く。できればスイープ・ピッキングで。1弦はハンマリング&プリングでOK。これはハードロックでよくやる定番の基礎練習なのだが、ジャズではあまり速く弾く必要はない。むしろ「気持ち良さ」、つまり正確さとリズム感を大切に。例えば、1つめなら 、2つめなら 。
-----------2-5-2-----1弦
---------3-------3-
-------2-----------2-
-----4---------------4-
---5-------------------5-
-5-----------------------5---6弦
-----------3-7-3-
---------5-------5-
-------4-----------4-
-----5---------------5-
---7-------------------7-
-7-----------------------7-
-----------5-9-5-
---------7-------7-
-------6-----------6-
-----7---------------7-
---9-------------------9-
-9-----------------------9-
------------7-10-7-
----------8--------8-
--------7------------7-
------9----------------9-
---10--------------------10-
-10------------------------10-
以上がそれぞれ、D, Em, F#m, G のアルペジオ
--------------9-12-9-
-----------10--------10-
---------9--------------9-
------11------------------11-
---12-----------------------12-
-12---------------------------12-
---------------10-14-10-
------------12----------12-
---------11----------------11-
------12---------------------12-
---14--------------------------14-
-14------------------------------14-
--------------12-15-12-
-----------14----------14-
---------12---------------12-
------14--------------------14-
---16--------------------------16-
-15-------------------------------15-
以上が、A7, Bm, C#m7-5
#2 マイナースケールの DC
短調(短音階)には自然的、和声的、旋律的の3種類があるので、DC もそれぞれ3種類ある。ただしこれら3つを丸暗記する必要はない。試しに弾いてみて、役立ちそうなら覚えて下さい。
@ 自然的短音階(A エオリアン)の構成音は「C メジャースケール」と同じなので、当然 DC も全く同じ !| Am7、Bm7-5、CMaj7、Dm7、Em7、FMaj7、G7 |
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A 和声的(ハーモニック)短音階 | AmM7、Bm7-5、CM7+5、Dm7、E7、FMaj7、G#dim |
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B 旋律的(メロディック)短音階 | AmM7、Bm7、CM7+5、D7、E7、F#m7-5、G#m7-5 |
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Ex 2-2-3 メロディック・マイナーからのコード・フォーム導出
教会旋法からは、3度積みによって DC を導出したり、あるいは4度積みによって「4度推積版 DC」を導出したりできる(これらを便宜的に「教会旋法から導かれるコード群」と呼ぼう)。これと全く同じ発想・同じ方法で、メロディック・マイナー・スケールからも様々なコード群を導出できよう。教会旋法から導かれるコードはいずれも、教会旋法に登場する音しか用いない。だから、これらを使ってコード・ソロを行うと、いくら工夫してもなかなかジャズ独特の「アウトした感じ」が出ない。ここでメロディック・マイナー・スケール(第7音からスタートすればオルタード・スケール)の出番となる。メロディック・マイナーは、アウトする音を含んでいるので、「メロディック・マイナーから導かれるコード群」を用いれば、アウト感のあるコード・ソロが可能であることは容易に推測できよう。
ただし、厳密な3度積み、4度積みでは、押さえるのが困難なフォームになることもあるので、その場合は適当にフォームを変えればよい(でも、スケールに含まれない音を入れてはダメ)。私は、E メロディック・マイナーを前提にし、次のようなコード群を導いてみた。コードを弾くついでに、その周辺でスケールを弾く練習もすべし。アイデアの正体は、才能ではなく、こういう地道な考察です。
| I | II | III | IV | V | VI | VII
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(2) | (4) | (5) | (7) | (9) | (11) | (13)
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|---|
(7) | (9) | (10) | (12) | (2) | (4) | (6)
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下図がメロディック・マイナー・スケール。上のコード群にとらわれず、自分でも自由にコード群を考えてみてね。
#3 5度円 (Circle of fifth) の活用
 
■ キーの判別 5度円を覚えていると、メチャメチャ簡単に5線譜から調 (key) を見分けられる。5線譜に「b」も「#」も付いてなきゃ「C Major (ハ長調)」だよね。「b」が1個だと、「C」から1つ左の「F」すなわち「F Major (へ長調)」となり、逆に「#」が1個なら、右へ進んで「G Major (ト長調)」。このように「C」を中心に、「b」と「#」の数だけ、それぞれ左と右に進めば、調を判別できる。だから、右図のように「#」が4つなら「E Major (ホ長調)」、「b」が3つなら「Eb Major (変ホ長調)」てな具合である。
「b」や「#」がたくさん付く曲は演奏者泣かせなので、実際、ジャズでは「C」からあまり遠くないキーが多い。50〜60年代のマイルス黄金時代を支えたピアニスト、R.ガーランドなどは、「b が3つ以上付くと、弾けない」という噂さえある(笑)。もちろん「C Major(ハ長調)」は「A Minor(イ短調)」かもしれないが、判別には、曲最後のコードが「C」か「Am」かを見るのが常識的。
■ 裏コード 7thコードは、5度円のちょうど反対側の 7thコードで代理できる。いわゆる「裏コード」だ。例えば、「C7」の裏は「F#7」だし、「F7」の裏は「B7」である。 (3) (4)
7thコードの構成音は、「P1, M3, P5, m7」の4つ。この中の「M3」と「m7」の間の音程(増4度)は「トライトーン」と呼ばれ、クラシックで「悪魔の音程」と呼ばれているほどの不安定感をもつ。7thコードの特徴は、このトライトーンによる不安定感にある。上左の「G7」なら赤丸2つがトライトーン。実は、同じトライトーンを持つ 7thコード同士は代理できる。
では「G7」と同じトライトーンをもつ 7thコードとは何だろう? それは上右の「Db7」だ。「G7」と「Db7」は、赤丸で示したトライトーンが完全一致している点に注目せよ。「G7」の裏コードは「Db7」なのだ。5度円でも確認せよ。
そしてここが重要だ! 1つおきにこの代理を使い、5度円を書き改めると「5度進行」は「半音下向進行」に変換される。この「裏コード代理による半音下降への変換」は、ジャズでは頻繁に用いられるので、覚えておけば絶対役に立つ。
例えば、5度円を「E」から始めれば、E - A - D - G - C - F - Bb - Eb - Ab ...だよね。これを、1つおきに、裏コードへ代理する。すなわち以下の ( ) 部分にそれぞれの裏コードを入れると、どう? 半音下降の出来上がりE - ( ) - D - ( ) - C - ( ) - Bb - ( ) - Ab ... E - (Eb) - D - (C#) - C - ( B ) - Bb - ( A ) - Ab...
下は『枯葉』前半のコード進行だ。動きもほぼ完全な5度進行でしょ ? ここに登場する7thコードに裏代理を適用すると、やっぱり半音下向進行になる。
Cm7 - F7 - BbM7 - EbM7 - Am7-5 - D7 - Gm... Cm7 - ( B7 ) - BbM7 - EbM7 - Am7-5 - ( Ab7 ) - Gm
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