右手アルペジオ(本郷亮)

V-4  歴10年、ソロは当たり前。問題はバッキング

■ピアノは両手が使えるし、ベースは4弦だけ(しかも和音は不要)。ギターはあらゆる楽器(管・弦・鍵・打)のなかでも、高度で多彩な技巧を要する楽器だ。旋律も伴奏もできる万能楽器なので、ギター奏者は実に様々なことを要求・期待されるバンド内随一の「よろず屋」なのだ。フラメンコ調、フォーク調、ヘビメタ調、カッティング、etc...。
 有能なよろず屋になるには、「右手の繊細さ」がどうしても不可欠である。右手が動くようになると、表現の幅も広がろう。
 アルペジオ(分散和音)という楽語には2つ意味がある。1つは左手に関するもので、「コード・トーンを中心としたソロ」を意味する。2つめは右手に関するもので、pima を駆使してポンポロポロロンなどとやることを意味し、フォーク・ギターでのスリー・フィンガーフォー・フィンガー、またクラシック・ギターでのトレモロが、その代表だ。表現力をつけるために練習して損はない。
■右手の5本の指にはそれぞれ記号が付いている(右上図)。フラメンコでもやらない限り、ch は使わないので、「p, i, m, a」(ピーマ)と覚えよ。本ページでも ch は使わない。また右手の訓練は、頭を使わない単調作業である。だから寝ころんで、目を閉じて、リラックスし、頭を空っぽにしてやってよい。

Ex 3-4-1  ボサノバの伴奏法

■(入門者はソロばかりに目を奪われがちだが)実はバッキングが一番重要なのであり、ソロすらもバッキングの上達を通じて自然に修得されてゆく。標準的なバッキング方法には、「4つ刻み」「(スロー曲で)2,4拍の2つ刻み」「ホット・クラブ・スタイル」「ウォーキング」等があるが、ここでは標準的なボサノバの伴奏例として『イパネマの娘』を取り上げる。最大のポイントは、5〜6弦を担う p指によるボサノバ特有のベースの入れ方だ。
    | F  | " | G7 |  " | 
    | Gm | C7 | F | F#7 |
    | F  | " | G7 | " |
    | Gm | C7 | F | " |
    
    | Gb | " | B7 | " |
    | Gbm | " | D7 | " |
    | Gm | " | Eb7 | " |
    | Am | D7 | G7 |  C7 |
    | F  | " | G7 | " |
    | Gm | C7 | F | " |
    特にベースの入れ方を真似よ
     (1)" (3)" (3) (3) (2) (1) (2)

     
     (1)" (3) (3) (3)
     (3) (3)  (1)"
     (2)" (2) (2) (2) (2) (2)
     (2)" (5) (5) (5) (5) (5)
     (3)" (6) (6) (6) (6) (6)
     (5) (5) (5) (5) (3) (3) (3) (3)

    サビから入っているソロは以下の通り
    ---------1-4--2-4-2-1-2-1--------1-1-------------------------4-5-6-7-4---7-4----1弦
    -------2------------------2-2-4------2-2-4-4---------------5-----------5-----5-
    -----3---------------------------------------2-2-3-------6-
    -3-4-------------------------------------------------6-7---4弦

    -7-5-4----------------------------------5---------------9-8-6-6---1弦
    -5-----7-5----------------------------6---6---6-6---6-----
    -5---------5-4----------------------7-------7-----7-----6-
    -4-------------7-6-4------------7-8-
    ---------------------7-5-3-
    ---------------------------7---6弦

    -5-6-8--5-6-5-3-2---------------------5-3-2-3---2-3-2--------1弦
    ------------------4-3---------------3-----------------5-4-2-
    -2-3-5----------------5-3-2-------3-------------------------5-3-
    ----------------------------5-4-5--------------------------------4弦

覚えておけばどこかで役立つかも。
    | D  | " | " | " |
    | Ddim | " | " | " |
    | E7 | " | A7 | " |
    | D  | " | " | " |
    (5) (5)(5) (5)(5) (4)(7) (11)
    (9) (6)(8) (5)(9) (6)(8) (5)
    (7) (7)(7) (7)(5) 5弦開放"
    (5) (5)"""

Ex 3-4-2  ちょっとした技

    ■これもボサノバによくあるコード進行だが、右手のパターンは Ex 3-4-1 と全く異なる 。ポイントは、右手の i,m,a指で弦を一度につまむのではなく、微妙にタイミングをずらして(i,m,a の順に)ポロロンとやる点。何気ない技だが、指弾きの基礎テクニックであり、知っていれば表現力も向上する。ピックを用いたらはるかに簡単にできるが、指弾きしてる最中に一瞬でピックに持ち替えるのは困難だ。次の右手パターンも覚え、このパターンで全体を弾くべし 。フォーク・ギターでアルペジオできる人には子供だましだろうね。
    ■クラシック流のトレモロではこうなる 。各コードの最高音(トップ・ノート)を i,m,a 指でトレモロし(a, i, m の順に弾く)、p 指一本でその他の弦をアルペジオする。私の場合、高校時代に冗談半分に半年ぐらい練習していると(真剣にやったわけではない)、ある日突然できるようになった。いずれにせよトレモロの修得は時間がかかると思う。1弦よりも 2弦をトレモロする方が遙かに難しい。トレモロはジャズではほとんど用いられぬが、イントロやエンディングでは使えよう。

    (12)(11)(11)(10)(9)(7)(6)(4)
    (10)(10)(9)(9)(7)(7)(5)(5)


Ex 3-4-3  『マック・ザ・ナイフ』 (ギター1本で)

    p指は常に4ビートでコード・ルートを刻む。このp指が、残りの i,m,a指と、バラバラに動くようにするように。さもないとスイング感は出ない。
    | Bb | " Bdim | Cm |   "   |
    | Cm |  F7  | Bb | Am7-5 D7 |
    | Gm |  "   | Cm |   "   |
    | Cm |  F7  | Bb | Cm  F7 |
    (6)" (7)(8)" (8)
    (8)(8) (8)(6) (6)(5) 5弦開放 (5)
    (10) (10)(10) (10)(8)(8) (8)
    (8)(8) (8)(6)フレーズは耳コピせよ

Ex 3-4-4  『Beautiful Love』 (ギター1本で)

    上の『マック・ザ・ナイフ』のように一定のリズムやっても良いが、ここではルバート(リズムを無視して自由にのびのび弾くこと)でやる。この感じで伴奏をしながら、合間にうまくアドリブの短いソロを入れれば、ジョー・パス的なヴァーチュオーゾ・スタイル(ギター1本によるジャズ演奏)になるわけだ。またキーが「Dm」なので、「II - V- I」では開放弦をコード・ルートに使える。ヴァーチュオーゾ・スタイルではたぶん「Dm」が最も弾きやすいキーである。
    |  Em7-5  |  A7   |  Dm  |   "   |
    |  Gm   |  C7   |  F   | Em7-5 A7 |
    |  Dm   |  Gm   | Em7-5 |   A7  |
    |  Dm   |  Bm7-5  | Em7-5 |   A7  |
    | Dm Bm7-5 | Em7-5 A7 |  Dm  |   "   |

    コピーする際は、まず下のコードを練習し、その後で足りないメロディーの音を拾うと楽だよ
    (7) (7)(5) 5弦開 (5)
    (5)"
    (10) (10)(9) (8)
    (8)  (8) (8) (8)(7) 6弦開 (12) (11) 5弦開
    (10) 4弦開 (10)(10) (10)
    (8) 6弦開(5) 5弦開 (5) (5) (5)
    (5) (1)(2)
    (8) 6弦開 (6)(5) (6) (6)
    (5) (2)(7) (6)
    (5) 


Ex 3-4-5  ルバートにおけるコード遊び

    右手訓練ではないが、Ex 3-4-4 で言及したヴァーチュオーゾ・スタイルとの関連で。この前半に着目せよ(後半はお決まりの「II - V - I」にすぎぬ)。前半部でコードが7つ連打されるが、コード進行は動いているような動いていないような妙な感じだよね。これはジョー・パスがルバート(自由リズム)の際にしばしばやる技。各コードのトップ・ノートが同一なのがミソ。トップ・ノートさえ一致させればけっこう色々なコードが使えるので、他のバリエーションも自分で探すべし。リズムの取り方は自由。参考例では上向しか扱わないが、下向も考えよ。

    問題の箇所 (コード遊び)II - V - I
     (7) (8) (9) (10) (9) (8) (7) (7) (5) (5)

    参考1:  上向 (コード遊び)
     (7) (8) (9) (10) (11) (12)

    参考2:  4弦ルート・フォームにて
     (2) (3) (4) (5) (6) (7)


Ex 3-4-6  フォー・フィンガー (p,i,m,a)

フォーク、カントリーなどで必須のアルペジオ練習。前半と後半で、アルペジオ・パターンを変化させた (計2種)。左手は、右下画像のフォーム位置をずらすだけ。フレットは (2) (2) (5) (4) (3) (2) (2) (7) (7) (9) (9) (12) (12) (14)。ただし常に 4弦を開放し鳴らし続けよ。右手は以下の如し (それぞれが前半と後半)。
    ---------0-------|-----0-------0--------1弦
    -----0-------0---|---------0-------0-
    ---0-------0-----|-------0-------0-
    -0-----0---------|---0-------0----------4弦

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