事件の発端
垂水区旭ヶ丘所在の垂水マンションは総戸数35戸の古い分譲マンションで、自主管理である。
所有者が自住しているのは2割程度であり、所有者の8割は貸しているかセカンドハウスにしている。
S理事長はここ数年理事長を続投していた。
賃貸にしている部屋は人の入れ替わりが年に全部屋を合計して2回くらいあり、家主も借家人もS理事長に挨拶しに来ない者が居り、
S理事長は別段利益が無いのに、何らかの世話をさせられるので不満に思っていた。
所有者で自住している人たちは、Sを理事長にさせておけば、自分たちは何もしなくて良いので楽だった。
Sが特に自分に協力的な数人を副理事長や会計役員に指定しても意義を唱える者はほとんど居らず、思い通りに管理組合を運営できた。
Sや自住組の数人は非居住組に対し、金銭的に強い妬みを持っていた。
Sは今の報酬を飛躍的に増額したいと思っていたが、自住組の所有者らの同意は取れそうもなかった。
そこでSは非居住組を標的にすることを決断した。
賃借人がゴミを通路に捨てるとか、痰唾を吐くとか、拾ってきた自転車を放置するとか吹聴し回った。
そのため、S理事長は24時間奔走し、生命の危険すら感じるとまで宣伝した。
勿論ほとんどが嘘である。
これを口実にして、環境委員会結成が必要だと切り出し、非居住組の内、S理事長と懇意でない者から
1部屋当たり月額2500円の環境協力金を徴収して荒稼ぎしようと企んだ。
腹心の自住組にも僅かな分け前を分配し、Sを支持する様に工作した。
何もせずに小遣いが入るのだから、腹心の自住組は強烈に支持したが、反対意見も強烈で、Sは月額1000円に要求訂正した。
しかし、平成22年3月の総会では、必要票数が集まらず、Sは慌てて委任状の工作をした。
それでも委任状の数が集まらず、総会で決まったと組合員に虚偽報告して、非居住組にしつこく要求を続け、
今回原告になったU氏に対しては「管理費を下げてやるから、その分環境協力金として支払え」と、とんでもない事を言い出した。
どうしても支払わない2名の名前をチラシに刷って配った。
支払わない2名の内1名Uは、支払う義務の無い事の確認と名誉毀損の損害賠償請求の裁判を提起した。
第1審判決の直前、理事長がSからMに変わった。

第1審はSの主張が認められた。Uは敗訴し、控訴した。
Sは委任状の工作等がバレるのを悟り、これ以上金が取れないのを悟ったか、裁判を投げ出した。
第2審はUが勝訴したが、認められた損害賠償額に納得行かず、Uは上告した。
第3審はUの上告が認められずに、第2審の内容が確定した。
この間平成24年3月の総会で、環境協力金を得ていた者の一人から「環境協力金を返納したい」という発言などが有ったが、
結局既にS元理事長らの懐に入ってしまった分は返金せず、その後の分配は受けない事に収まり、
現在は環境協力金徴収の制度は自滅してしまった。

その後の展開
Uから訴訟を起こされ、理事長の座も失い、小遣い稼ぎの手立てを失った元理事長Sは垂水マンションの掃除を請け負って
しのぎにしようと企んだが、これもくだらん工作をしたために頓挫してしまった。
新理事長MはこのままではSが多数の組合員にどんな悪だくみをしでかすか懸念し、
S元理事長に、垂水マンション自治会を結成して収入の道を開くように助言した。
ところがSは「何もしないのに自治会費を集めては、またもや皆から責められる」と言い出した。
つまり、Sは何もせず金だけせしめる事しか頭に無かったのである。
結局、住民のために働く、という大義名分で、会長は元理事長S氏として垂水マンション自治会は発足したのだが、
Sは、1世帯月額200円の自治会費を1年分先払いだとして集金し始めた。
自治会結成1か月程でほぼ全額集金完了したのはさすがである。
それでもSの目標は1世帯月額最低500円を念頭に置いていたのだからSにしてみれば満足できる数字では無い。

自治会費に関しては笑える裏話が有る。
環境協力金に関しては1世帯月額1000円払うのが当然だとしてS元理事長に追随していた連中が、今度は自分が月額200円支払う事に
なったのだから、不満はS自治会長に向けられる様になった。
他人に月額1000円払えと言っておきながら、自分が月額200円払うのは大変な不合理であるという言い分である。




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