考えないヒット

第四回 「DA.YO.NE」EAST END×YURI(1994年)

1999.12.11

それにしてもこの曲、もう誰も覚えてないんじゃないの? という気さえしてしまいますよね。あんなに流行ったのに…。もともと本場米国のヒップホップって、こうなんていうか、すごく反体制的なものだったわけでしょう。一方日本ではヒップホップはなかなか人気が出なかったですよね。それはたぶん、日本語と英語のリズムの違いということもあるし、日本社会に人種・階級的対立が少ないという事情もあったのでしょう。だからスチャダラパーあたりは、あえて言葉遊び的というか、大げさに言えばポスト・モダン的な方向を目指していたような感じがします。これは単なるぼく一人の感想なんですが。

ところが日本語のラップとして初めてヒット・チャートをにぎわしたのがこの「DA.YO.NE」であったというのは、やっぱり歴史の皮肉ですよね。まあその前にスチャダラが小沢健二と組んで「今夜はブギーバック」をヒット・チャートに送りこんでますが、なにしろEAST END×YURIは紅白出てますからね。一種の社会現象でしたもんね。大阪弁ヴァージョンの「SO.YA.NA」もヒットしたし。何だったんでしょうね、あれは。

つまりこの曲って、「本当に何も言ってない」ですもん。「あえて何も言わない」のではなくて、本当に言うべきことが何もない。この軽さ。この空虚さ。これこそ、90年代中盤を代表するにたる曲だと思います。90年代が終わろうとしている今、Dragon Ashが歌う「♪今は目の前の敵を睨みつけろ」とか「♪父から得た揺るぎない誇り」とかいう、過度に重く、かといって実質のない言葉を聞いていると、「バブルは終わったんだ」ということに、まだ誰もがピンと来てなかったあの頃が、ふと懐かしくなったりするのです。

Friday Night待ちに待った週末の夜 ぼくらの街 タクシー全然ないし
え、あるじゃん、あるあるある
DA.YO.NE!

(^^)


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