第3回 「3日目 -- 寄り道」
6:30 何もない部屋で目覚める。
4/29の今日は名古屋まで行く予定。
民宿の朝食は海のそばらしく、
焼きざかなと、海苔の入った味噌汁が美味しい。
ここは食べるものは本当に良かった。
昨夜ちゃっかり風呂場で洗濯してきれいになった服を着、
(怪しさは相変わらずだが)
7:30出発。晴れた朝は気持ちいい。
近くの弁天島でその辺のおじさんに写真をとってもらう。
カメラは昨夜買ったうつるんです。
証拠写真をとっておかないとね。
前日の夕方から強い向かい風に悩まされている。
この日もかなり風が強い。
最高でも30Km/hを越えることは少なくなった。
25Km/hがいいところか。
豊橋辺りまで来たところではたと気づく。
道が悪い。
浜松から浜名湖にかけてが良く整備されていただけに、
愛知県の道の悪さにはちょっと閉口する。
ちょっと掘り、ちょっと埋めを繰り返したようで、
舗装が継ぎ剥ぎだらけになっているのだ。
パンクしないように祈る。
もうすぐ岡崎市かなという頃、
信号待ちから再始動した時に1台のロードレーサーに抜かれる。
私などのような中途半端な格好ではなく、
ヘルメットもちゃんとしていかにもという格好だ。
聞くとどうやら東京から大阪までの道のりらしい。
チューブレスだからよくパンクするようだ。
遠出するならチューブレスはよした方がいいのに。
連れを待つというので放っといて先へ進む。
しばらくすると私と同じくらいの荷物を背負った、
原チャリのおじさんにも抜かれた。
彼も長旅に違いない。
バカはそこら中にいるらしい。
どうも自分と似たような姿を客観的に見てしまったからだろうか、
結果的にひたすら先へ進む格好になっていた自分に、
すこし余裕を持てるようになった。
計画より2日で50Km以上はオーバーしている。
ここで多少ゆっくりいっても大丈夫だ。
お昼に近くなって国1から離れて知立市街に向かう。
てれてれ進んでいると
「天ぷらあんまき」
の文字が。
興味をそそられて店に入る。
店の人が一瞬ひるむのは毎度のことだ。
しかしここの人はちょっと違った。
「歩いてきたの?」
「いや、自転車で」
「どこまでー」
「最終的には神戸を目指してるんですが」
「神戸!?道分かるの?ここは知立よ」
「ははは、分かりますよぉ。一応地図は持ってるし」
ここで、店のおばさんと常連と見受けられる客が喧嘩を始める。
「あんた、『道分かるの?』なんて、そういうこと言っちゃいけないよ」
「うるさいなぁ、心配だからいってんの」
「心配だからって道くらい分かるでしょうに」
「いいの、私はこのにいちゃん好きだから心配してんだから」
「なにさ、私だってこのにいちゃん好きよ」
おいおい、今店に入ったばかりでしょうが。
まあ、飾らないというか何というか、
非常に楽しいやりとりではありました。
あの雰囲気をそのままには書けないなぁ。
どて焼き(豚のモツを濃いめの味で煮たもの)を食べてから、
目的の天ぷらあんまきを頼む。
どら焼きのような生地でアンを筒状に包んだものに、
衣をつけて揚げてある。そのまんまやんけーーー。
荷物になるのが嫌だったので1つだけ注文する。
と、さっきの店のおばちゃんが
「これもサービスで付けとくから」
といいながら柏もち7個入りを付けてくれた。
荷物になるのになどと思ってはいけない。
好意をありがたく頂戴して、再び漕ぎ出す。
荷物がちょっと重くなったものの気持ちはだいぶ軽くなった。
そこからすぐに1号線に戻るのもつまらないので、
どこか公園か河原を見つけて
あん巻きと柏もちとバナナ(岡崎からまだ残っていた…)
を片付けよう。
地図を見ると、知立から海に向かう方の刈谷市に
刈谷城跡というのがあるらしい。その先は太い川がある。
よし、刈谷城跡かその先の河原でひと休みといこう。
交差点で道を聞く。
「刈谷城跡ってこっちでいいんですか?」
「えぇ?刈谷小学校?うちは知立なもんで分かりませんなぁ。」
「いや、だから刈谷城跡!」
「おい、お前分かるか?刈谷小学校」
「もういいです…」
そんなに有名ではないらしい。
地図を頼りに刈谷に向かう。
近くにいけば看板くらいあるんだろう。
う…、ない。いつのまにか川にさしかかってしまった。
どうやら刈谷の先にある川まで来てしまったらしい。
しかたない、河原で一服…。
がびーーん。護岸工事してあって河原がないいい。
しかたなく、その先のデバートの脇で休憩する。
人目はすでに気にならない。
結局あん巻きとバナナを平らげたら柏もちは1つしか食べられなかった。
時間を食い過ぎた。
とにかく名古屋まで行こう。
1号線に復帰できないまま名古屋市に入る。
やっと1号線に合流した時まだ14:00になったくらいだった。
ついでに名古屋城にも行ってみようか。
再び1号線をはずれて名古屋城に向かう。
10Kmくらいあるが、すでに誤差の範囲内だ。あん巻きパワー。
途中確認の意味で何度も道を聞くが、
みんなビクビクしながら答えてるようだ。
何がそんなに恐いんだ?
あ、サングラスしたまま聞いてた…。
名古屋城に着く。
外から天守閣が見えなかったので、
拝館料を払って中に入る。
写真を頼まれたので、お返しに撮ってもらった。
もう15:00になっていた。
さて、宿を探そう。タウンページタウンページっと…。
うげ、名古屋の電話ボックスにはハローページしかない。
ハローページだけで3冊にもなっているから当然か。
とにかく名古屋市を出ないと、今日は野宿だぞ。
急いで名古屋市を出たところで宿を見つける。
木曽川のほとりにある温泉旅館だ。
疲れをとるにはやはり温泉がいい。
木曽川につくとその光景にしばし立ちつくす。
水面に反射する夕日は学生時代の思い出を甦らせる。
木曽川の河原で昼間果たせなかった「河原でゴロリ」をする。
残っていた柏もちもすべて平らげた。
30分ほどしてから宿に入った。
温泉で着替えの最中、子供に太ももをつつかれる。
もともと太めのももが張っているために、
弾力があって面白いのだろう。
人の脚で遊ぶな。
温泉に浸かろうとして腕と脚の痛みにとびあがる。
日に焼けて真っ黒くろすけ状態になっているのだ。
何も塗ってないからなぁ。
それでも、「まだ」我慢すればお湯に入れる程度だ。
明日は鈴鹿越え。ゆっくり休もう。
3日目 7:30〜16:30 走行距離138Km (計461Km)
つづく