その1 盛岡〜三戸
1.1 淡々とした朝
上野には5時すぎに着いた。
ホームでしばらく待つと6時ちょうど発の盛岡行きが滑り込んできた。
輪行袋に入れたMTBを一番後ろの座席と壁の間に押し込まなければならない。
あちゃ、一番後ろの席とられちゃった。まあいいや。
「すみません、こいつここに入れさせてもらっていいですか?」
口調は丁寧だが目で威嚇しつつ返事を待たずに輪行袋を押し込む。
自分は後ろから3列めに座れた。
朝食代わりのカロリーメイトを一気食いするとすぐに眠りの世界に入った。
この新幹線は優秀で、途中は大宮と仙台にしか止まらない。
何にも邪魔されることなくひたすら寝た。
1.2 盛岡駅前にて
盛岡8時30分着。
駅前のちょっとしたスペースを見つけて自転車を組み立てる。
今回は途中で小奇麗な格好をしなければいけないイベントがあるので、
Gパンやら襟のついたシャツやらを運ぶため少し荷物が多い。
夏にテントを運ぶために買った車載用バッグがあるからずいぶん楽だ。
今回がいつもと違うのは寒いということだ。
いつもならTシャツ、チャリパンで済むところが上着が必要となる。
目立つようにと買った蛍光の黄色のウィンドブレーカーを羽織った。
1.3 チンタラチンタラ
まずは2日間で青森駅に着くのが至上命令だった。
盛岡から青森へは4号線に沿っていけばちょうど200Km。
今日は100Kmも行けばいい。
まったく急ぐ必要はない。
しばらくは広い歩道が続いていたのでそこを走る。
20〜25Km/hくらいのペースでゆっくり走った。
せっかくだからいろいろ見て回りながら行こう。
…………な、ない。
看板を探しても地図を見ても、見て回るものがない。
すぐに街並が消えると同時に歩道がなくなる。
松林の向うに広い農場だか牧場だかが見えるようになった。
どうやら農業試験場や農業大学が近くにあるらしい。
1.4 田園を行く
バナナを求めてコンビニに入る。
バナナは売ってないので[まるごとバナナ]にした。
バナナだけよりケーキ部分があるだけ今の腹具合にはちょうどいい。
バナナパワー・改!
しっかし本当に何もないなー。
しまいには広〜い畑の真中を道が通っているだけのところが多くなる。
両脇に何も遮るものがなくなっておりからの強風がまともにくる。
ペースがガタ落ち。15Km/hがせいぜいになってきた。
うーん、バナナパワー・改不発。
1.5 イッコニコサンコーン
峠を越えたところでちっとも楽にならない。
下りだというのにほとんどペースが上がらない。
やがて一戸町に入る。
ここから一戸、二戸、三戸と進めば青森県に入れる。
これらは決して「イッコ、ニコ、サンコ」と読んではいけない。
「イチノヘ、ニノヘ、サンノヘ」と読むのが正しい。
消耗は激しい。
幸い歩道のあるところが多いので
フラフラしながらも何とか危ない目に合わずに進める。
ほとんど周りを見る余裕などなくなっている。
1.6 三戸の宿
3時になってまだ90Kmくらいだが宿を探すことにする。
三戸駅前の旅館に決めた。
宿が決まれば、と地図に載っていた城山公園に行ってみる。
ここには樹齢800年の杉があるらしい。
行ってみるとどうやら城跡が公園になっているらしい。
ここの城も城の例にもれず山の上にある。
消耗し切った私にはやや辛かったがそれでも登ってみる。
6時には夕食を食べ、それから朝まで気を失った。
思ったより消耗していたらしい。