その3 青森〜八雲

3.1 青函フェリー

1日のお休みを経ての4月29日。
今日はいよいよ北海道に渡る。
輪行で青函トンネルを行くことも考えたが、安さと分解しないで済む楽さでフェリーに する。

休日ということもあって家族連れが多い。
早起きしたので眠い。とにかく寝る。
騒ぐ子どもに何度も眠りを妨げられたが、
何とかのべ1時間程度の仮眠をする。

眠気が去ったところで外に出てみる。
遠くに島のようなものが見える。
実は島ではなくて函館山 だと気づいたのはだいぶ近付いてからだった。
11時30分函館港到着。
バイクのおっちゃんたちと一緒に自転車で飛び出す。

3.2 朝市

函館港から函館市街へは4kmほど戻る必要がある。
昼食は朝市で食べるつもり。
実は今の格好はいつもの怪しい格好ではない。
せめてフェリーの二等船室や函館の街では普通の格好でいよう。

朝市は活気のあるカニ売りの声が聞こえるが、 お昼どきなせいか片付けているところも多い。
とりあえずなべさんに教えてもらった 北海道ガイド に載ってた店を探すが見つからない。
観光客をナンパしているタクシー運ちゃん発見。

「すいません、この店ってどこか分かります?」
「ここに何しに行くの?」
まさか食べに行こうなんて思ってるわけじゃないよなといわんばかりの口調。
え?ここって食べるところじゃないの?と思いつつ困惑していると、
「あそこより隣の きくよ食堂 がいいよ」
地元のタクシー運ちゃんが進めるなら間違いなかろう。
「そこの巴丼がいいぞ。神田が言ってたっていっとけ。」
ん?知合いなだけ?まあいいや。きくよ食堂へ行くべし。

それは路地を入ったところにあった。
自転車で走っていたら見つからないわけだ。
当然巴丼を注文。イカソーメンを勧められたが貧乏なので却下。
うに、いくら、ほたてのたっぷり乗ったどんぶり を堪能。
「神田って人に勧められたんだけどお知り合い?」
「神田さん?うーん。」
あれ?知合いじゃなかったのか。まあいいや。

3.3 五稜郭

実は来る前に函館で見るところといって思いつくのは五稜郭だけだった。
というわけで(どういうわけだ)五稜郭は見ておかねばならない。
看板によると星型城郭の世界大会みたいなのがあるらしい。
世界には結構星型の城ってあったのね。

やけに近所のお子様どもが多い。まるで公園みたいだ。
奥に入って納得。中に広いスペースがあいており、ほとんど公園の風情。
どうも星型が実感できない。
適当に角が見える部分を写真 に収めてみる。

ふと公園化している一角にテレビの中継車を見つける。
どうやらズームイン朝の中継車らしいが今は午後だし、録画取材だろう。
生なら後ろから見切れてやるんだが。

さて、五稜郭を後にしていよいよ5号線に向かう。
街乗りモード解除。チャリパンに怪しいウィンドブレーカーのいでたち。
地図によると5号線に行くには五稜郭脇の道を [美原一丁目]の交差点で左折すれば良い。
しばらく走ると大きな交差点に出た。見ると[美原三丁目]と書いてある。
お、近いな。と思って何気なく横を見ると[美原二丁目]と書いてある。
おや?ま、まさか。後ろを振り返ると[美原一丁目]と書いてある。
なんで同じ交差点に3つも名前がついてるんだ。

3.4 大沼だんご

道に迷う危機を脱した私は無事5号線に乗る。
5号線にはあまりいい噂を聞かない。
交通量が多く、ペースも速いから事故が多いとか。
だから5号線を走るときはちょっと緊張。

それでもしばらくは歩道があったので安心して走れる。
が、それもやがて松林がでてくるのと同時になくなる。
たしかにみんな飛ばしている。だけど休日の割には交通量はそれほどでもない。
反対側の車線が空いているときは避けてくれるのを期待してそのまま車道を行く。
反対側から来ていて後ろに気配を感じたら松林に突っ込んでガタガタ道を行く。

10Kmほど走ると大沼公園への分岐点があった。
どうやら世の観光客は大沼公園で山川牛乳を飲み、 大沼だんごを食べるのを是としているらしい。
行かねばなるまい。

大沼公園は大沼と小沼の間にある。
大沼も小沼も沼という割には沼っぽくなく、要するに湖 だ。
大沼公園駅前にその売場はあった。
若い子らが売り子をしている。

「すいません、その牛乳って山川牛乳って奴ですか?」
「そう。」
妙に無愛想。何がそんなに気に入らないの?
「それじゃ牛乳とだんごください。」
「だんごはしょうゆだけの奴としょうゆごまとありますが?」
「そんじゃしょうゆごま。」

と出てきただんごは駅弁程度の大きさの中に小ぶりのだんごがたくさん入ってる。
しょうゆとごまそれぞれ20個ずつくらいあったか。
しょうゆもそれなり、ごまはめちゃくちゃ旨い。
牛乳も美味しいが、なにしろごまだんごが一番だった。
40個をあっという間に平らげて 公園駅を後にした。

3.5 熊出没注意

小沼の脇から5号線に戻るとすぐに森町に入る。
名前の通り木に囲まれた道を行く。
だんごを食べている頃からまた風が強くなってきている。
坂はないがペースは上がらない。

やがて海沿いの道に出てきた。
横風が強く、ややふらつくが歩道はない。
ちょっとドキドキ。慎重に走る。

しばらく走るとトンネルが目の前に。
これまでのトンネルはほとんどすべて歩道がついていた。
歩道がついていない奴は照明も必要ないくらいの短いものだった。
しかし、こいつは違う。
出口は見えない。しかし路側帯はほとんどない。車道を走らねばならない。

そういえば静岡を走っているときにまったく同じ状況があった。
宇津ノ谷トンネルだ。
このときは右に峠を越える道があり、 グイグイと進む姿を見たおばあさんに「元気だねぇ〜」といわれた覚えがある。
そうだよ。こういうトンネルの脇には迂回する道があるものなんだよ。
トンネルの手前まで来ると、ほらほらありましたよ、左に迂回路が。

喜んで左の未舗装の道に入る。MTBはこういう道も行けるから便利。
少し入ると看板 発見。
「熊出没注意」
げ!ここは北海道だった!
戻ろうか、でもあのトンネルを行くのは熊より恐い。
そのまま奥に入っていった。

どうやら林道らしい。
至るところに「熊が出没します。十分注意してください。」との看板。
だいたい、どうやって注意しろってんだ。
やがて道は下りはじめた。車の通る音も聞こえる。
ほっ、もうすぐ合流するぞ。

しかし、ちっとも5号線に当たる気配はない。
おかしい。車の音は聞こえるのに。
耳を澄ます。
ん?こ、これはよく聞いてみると川のせせらぎの音じゃないか!

「ザザザッ!」
びくぅ!

…どうやら風に枝が揺れただけらしい。
鼓動が速くなってきた。
気がつけばこんなところ まで来ている。
このまま進んでも5号線に当たるとは限らない。
周りには「熊注意」の看板。
あのトンネルを行くことにしよう。

通ってみれば車はまったく来ず、楽勝だった。
しかし、ずいぶん神経を消耗させられてしまった。
長万部まで行くつもりだったが、手前の八雲で一泊することにする。
合掌。