真空管とは
- 真空中で物質を高温に加熱することにより、物質内の電子は熱エネルギーを得て、その物
質表面より放出される。この現象が熱電子放出と呼ばれ、現在の真空管のほとんどがこの現象を利用
している。
*二極管(一般的には整流管、検波管などと呼ばれている。)
- 真空容器(ガラス、金属など)中に、熱電子を放出する陰極(Cathode)
と、放出された 熱電子を集める陽極(AnodeまたはPlate)との二つの電極を
備えたものを二極管といい、検波、整流作用がある。
この二極管は1904年にイギリスのフレミング(J.A.Fleming)によって発明された。
*三極管
- 二極管の陰極と陽極の間に、もう1つの電極を挿入し、その電極の電位を変えることにより陰極
電流を制御することができる。この電極を制御格子(Control grid)または、
格子(grid)といい、このような真空管を三極管、または三極真空管という。
この三極管は1906年アメリカのド、フォーレ(L.de.Forest)により発明され、
増幅作用を持っている。
*四極管
- 三極管の制御格子の他に、もう一つ格子を挿入した構造で、この二つの格子の使用方法に
より次のように分類される。
- 1)遮蔽格子四極管
- 三極管の制御格子と陽極との間に第二格子を挿入したもの。この格子を遮蔽格子
(Screen grid)という。
遮蔽格子には交流的には零電位とし、直流的に高い電圧を加え、制御格子と
陽極間を静電的に遮蔽する。これにより電極間容量は減少し高い周波数まで増幅が可能となる。
しかし、陽極に強く電子が衝突すると陽極より二次電子が放出され、この電子が遮蔽格子
に集められ電流として流れるため陽極電流が減少するダイナトロン特性が現れる。
- 2)空間電荷格子四極管
- 三極管の制御格子と陰極との間にもう一つ格子を挿入し、この格子に正電圧(約20V位)を加え、陰極付近に存在する空間電荷を中和し、陰極より放出された電子を通りやすくすることで、
低い陽極電圧で動作するようにしたもの。
低い陽極電圧で動作するのが特徴で測定用の特殊
な用途で使用されている。
- 3)ビーム出力管
- 遮蔽格子四極管の二次電子の影響によるダイナトロン特性を除くように作られたもので、特性が5極管と似ている。(詳細はビーム出力管の項で)
*五極管
- 陽極と遮蔽格子の間にもう一つの格子を挿入する。この格子を抑制格子(Suppressor grid)という。
この格子は零電位に近い一定電位に保たれているため、遮蔽格子によって加速された電子は、この格子を通過することにより減速され、その結果、陽極に衝突するときの速度が遅くなり、
二次電子放出量も減少する。また陽極より放出された二次電子は、低速度であるから、この電位の谷を通過することができず、再び陽極に追い返され陽極電流として流れ、
二次電子放出を抑制することができる。
*ビーム出力管
-
陽極と遮蔽格子間の電子流による空間電荷を利用し、二次電子の抑制を行うようにした真空管である。
構造は各電極を楕円形にし、制御格子と遮蔽格子の巻き線ピッチを等しくする。遮蔽格子は制御格子の裏側にくるように両格子の目を合わせて配置をすることで、図のように電子流はビー
ム状に集束され、遮蔽格子と陽極間に空間電荷密度の大きい部分を作る.
これによりその電位は低下し、抑制格子と同様に、陽極からの二次電子を抑制することができる。
ホームに戻る