97/11/12
デジタルカメラが活気づくなか、画像分野の新市場が生まれてきた。
電機、OA機器、カメラメーカーとのかつてない大競争に突入する。
素早い開発体制と経営に戦略性がなければ、富士写真は勝ち抜けない。
「これなら、普通の写真として大して変わらない」−。今年10月下旬、大手量販店、
ヨドバシカメラが東京・新宿で開いた「デジタルカメラフェア」に詰めかけた客は、
驚きの声を上げた。
デジタルカメラのメーカー23社の展示・販売コーナーがびっしりと並んだなかで
注目を集めたのは、一部のメーカーが発売したばかりの高画質機種と、それで撮影
した写真。従来のフィルムで撮影した写真とほとんど変わらないように見えるその
高精細な画像を確かめようと、コーナーの前は人だかりができた。
シェアトップからあえなく後退
デジタルカメラ市場が活気づいている。今年の出荷台数は昨年の2倍近くに増え、
100万台を突破するのは、ほぼ確実な勢いだ。
ブームに火がついたのは、1995年3月、カシオ計算機が、当時としては破格の安さ
の6万5000円(定価)で、QV-10を発売してからだ。そのころは、パソコンが本格的に
普及し始めた時期。パソコンに画像を取り込む需要が高まるとみたカシオの狙いは見事
に当たり、QV-10はわずか1年で25万台を売るヒット商品となった。
これを見て、昨年からカメラメーカー、電機メーカー、OA機器メーカーなどが次々
に製品を発売。今や市場には、約30社から60機種が投入され、大激戦の様相を呈している。
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