かに料理のお店にもいろいろあって、
「蒸しがに」に限るというところもあれば、
いやいや、「焼きがに」がいいというところもあるし、
「ゆでがに」が一番というとこもあれば、
ゆでて数時間寝かせたほうが味がよくなるという店もあります。
また、かに鍋をおいしくするのを売りにしている店もあるし、
かに刺しがよいという店もあります。
「蒸す」場合でもふつうにせいろで蒸すよりは、
大型の圧力釜で一気に蒸すほうがおいしいわけで
単純に調理法を比較できないようです。
また、かにの種類や特上品か冷凍品か、輸入物か
漁船上でゆでたのか、浜ゆでしたものか等々、いろいろですので
いちがいにいえないわね〜、と呟きながらカニシュウマイ食べる。
かにといえば、北海道・北陸・山陰に料理店が多いのでしょうが、
船ゆで・浜ゆでにしろ、生にしろ、獲れてからどんどん鮮度が
落ちてきます。で、身からかにつゆが流れ、身が細るともいいますので、
かにの腹側を上にして運んだり冷蔵保管するのが普通です。
広告写真によく見るように赤い甲殻を上に見せて置くのは
不味くなるわけです。
小樽に「かに倶楽部」という石倉を改造したお店がありますが、
ここでは、蒸したてのカニをテーブルの上にじかに置いて
お客さんが自分で木槌で殻を叩きカニ鋏や木の匙を使って
好きなようにいただきます。
(テーブルの上には明治期の小樽新聞のコラージュプリントが敷いてある)
圧力釜で数分で一気に蒸し上げられた熱々のかにを
なんのタレもつけないで「しゃぶり」つくのがモットーのお店。
たらばがにの専門店といえば、札幌の「氷雪の門」が著名。
この店を兄は22年前に訪れていますが、いまは店が薄野に移っています。
店自体は30年前に開店していて、当時、たらばが乱獲で少なくなり、
非常に高値になっていたこと、たらば専門の店がなかったことなどから
安くおいしくたらばを食べていただこうというのがモットーだとか。
といっても、たらばの足1本焼いて6,000円はします。
育つのに十数年という4キロ物のたらばの姿盛だと40,000円。
ここのたらばは間宮海峡でロシア船が獲ったものを輸入しているとか。
船上でゆでたものと、生のままのものとがすぐに冷凍されて入ってきます。
山陰のずわいは松葉がに、北へいけば越前がにといいますが、
そのずわいが減って、松江あたりでは紅ずわいが増えています。
松葉は 11/10 〜 3/20、松葉の雌のオヤガニ(越前ではセコ、セイコ、
金沢ではコウバコ)は、1/15頃までの漁ですが、紅ずわいは 9月〜6月。
境港で先月開店したばかりの「さかゑや」では、松葉の1キロ物を
客席のコンロ(ガスレンジ)でお客自身に網焼きしてもらいます。
直火があたらないように主人考案の石綿付きステンレス製の網です。
予め包丁でばらした殻身を好きなように焼いて土佐酢でいただきますが、
名づけて「勝手焼き」、7,000円〜8,000円。
他に、かに刺し、かに天、かにチリ(かに、白菜、春菊、えのき、しいたけ、
ねぎ、とうふ、しらたき等)、ゆでがに、かにみそどうふ(卵豆腐のように
作る。500円)。境港市上道。
地元で魚屋を営んでいる主人が境港魚市場で直に仕入れた
活きのいい松葉です。
ふつう、能登半島沖から山陰の大陸棚で獲れるのが松葉ですが、
朝鮮海峡のは朝鮮松葉(松葉より大きい)、北で獲れるのが
北海松葉といわれるようです。
前の「かに倶楽部」に話を戻しますと、ここは毛がにの蒸しあげが
メインですが、ずわいや花咲、たらばの他にカナダから輸入の
ダンジネスやレッドクラブ・クロー、オマールロブスターも人気。
ダンジネスは毛がにと一緒の活けす(海水槽)に入れておけますが、
オマールは爪にゴム輪をはめていても体の刺でかにを襲って
傷つけるので別の活けすに離しておきます。
ダンジネスも人の手を挟んでくるのでゴム輪をしてあります。
特注の小樽ワイン「ナイアガラ」がマヨネーズ等ソースの隠し味に
使われていますが、グラスでもボトルでもオーダーできます。
香りのつよいフルーティな白ワインです。
小樽湾にほど近く、霧の夜にはネプチューンの大ステンドグラスを前に、
木槌で蟹殻叩いて、浮き世の爪から逃がるるや。
境港市の「さかゑや」さんのように、魚屋さんがかに料理のお店を出す
例は少なくないようで、越前三国の「川喜」さんも代々魚の卸商でしたが、
大正2年に本格的なかに料理店を始めて4代目の老舗です。
といっても3代目のおやじさんは健在で大事なお客さんには
自分でゆでます。そう、このお店はゆでがに専門なのです。
海水でゆでる店が多いのですが、川喜では、特製の天然塩を使い、
かにの状態や時季にあわせて塩加減、ゆで加減をあんばいします。
早朝に帰港する船が不漁でかにを積んでなかったら、お店はお休みです。
おやじさんは「ほんとうのかにが少なくなった」と嘆きますが、
そのゆであげた越前がに(ずわい)に包丁を入れないでお客に供します。
太い足身の殻の上下の関節部分を折り、細いほうの足を使って太いほうの
身を突き出して食べます。注文を受けてからゆでますので、待っている間
は、とろりとした甘えび(北海赤えび)に地酒がほどよい。
かにのしゃぶしゃぶなら「雪華亭」(札幌)が著名。ずわいの殻を
薄皮を剥くように、身を傷つけないで包丁とカッターでそいだ足を
煮たった抱き身のだし汁にしゃぶしゃぶつけます。
なぜ、ずわいかというと、毛がには剥くと身が広がってしまい、
たらばはすぐに身が固くなってしまうからです。
剥き身を慎重に持って鍋の汁に入れ、表面の脂が落ちて、
身がふくらんだところで引き上げて、ポン酢。
かに足を食べ終ったら野菜・茸・豆腐などを鍋にし、雑炊でしめます。
しゃぶしゃぶ鍋に毛がにの姿盛、ゆでずわい半杯、甲羅揚げ、
かにしゅうまい、かに・ほたて・野菜などの陶板焼、香の物という
コースで 7,000円。かに天やたらばの足盛付きのコースなら10,000円。
店はビルの16階にあって、北大のポプラ並木や大倉山のシャンツェが
観望できる個室もあります。
日野亭のご主人は、いまアンコウ漁に熱中。
アンキモ鍋。が、店の中央にどっかと占める水槽には、
カニが這い這いしているのです。その水槽の蓋が約20cm厚の
透明アクリルで、その上に透明な6人席の座卓が2卓載っています。
お客は蓋の上に敷いた座布団に坐って、カニにしゃぶりつきます。
壁際に別の水槽があり、いろいろと魚介が入っていますが、
カニの水槽とは温度が異なります。
ご主人が漁船で積んできた海水や、湾岸から汲み揚げた海水を使っています。
すぐに弱ってしまうイカを十数年前から供してきたりと、
ここのご主人は「ひとのやらないことをするのが趣味」とおっしゃる。
そのひとつ、たらばの足にうにやあわびを詰めて焼いた特別メニューは
絶品。かには稚内から弟さんが車で6時間かけて運んできます。
そういえば、かに足からバナナが連想されるかもね。
「日野亭」は小樽市花園にあるこじんまりした店ですが、
真ん中にある水槽は長さ6m。その中のかにをお客は卓越しに
見下ろせるわけです。ここでは浜ゆでと生のかにで、
冷凍物は扱っていません。
ご主人は吹雪いたり時化ていなければ午前3時過ぎから出漁し、
昼から深夜2時まで店を営業しているやたらとタフな人。
たらばがにの刺し身をはじめ、各種かにの各種料理の他、
あわびもあわび天、あわび煮、あわび丼、あわび鍋となんでも。
えぞあわび。夏はうに丼が人気。赤うに。あわび・うに・いくらの三色丼。
かすべ(小型のエイ)、はたはた、あんこう、ふぐ、すっぽん、
かじか、ひらめ、ほたて、えび、たこ。ま、北海の「美味」ぞろいという
印象ですが、たらばそばなんつのもあります。
このご主人の趣味は海潜りと山スキー、うにの養殖も手がけてます。
えっと、いちおう話題に上げたお店の紹介をしときます。
氷雪の門、タラバ専門のお店。011-521-3046 タラバ以外の蟹も
ないではないけど、なんつーても氷を削って作った花鉢のかに刺し。
日野亭、0134-27-1851 かにだけでなく、あわび、あんこう、えび、
北海の味ぞろい。かに倶楽部、0134-25-1122 最近、女優石田某が
甲羅に絵を描いていったとか。雪華亭、011-251-1366 旧道庁舎の斜め前。
このほか、札幌では、牛乳をベースにしたかに鍋のかにっこ 011-231-0713
も面白いかも。越前三国の川喜、0776-82-1313 店内に3代目が収集した
民俗骨董品の一部が飾ってあります。鳥取境港のさかゑや、0859-42-5400
境港ではほかに、商店街に幾多というお店もあります。
松江では紅ずわいがだんだんとメインになってきているようです。
丹後路や月はうさぎに蟹舞へり かをる