(1)
津軽三味線・津軽民謡の第一人者山田千里さんの居酒屋であり、ショーのあ
るライブハウスでもある『山唄』(弘前)では、独自の郷土料理がメインです。
津軽弁にちなんだ料理名がつけられています。
☆ 津軽のあっぱ焼き(「あっぱ」は「おふくろ」という意味)
ホタテ(生)の2つ割り、こまかく切ったシイタケ、3cm長くらいの
ネギ、薄く輪切りにしたチクワなどの材料を鍋の湯に入れ、塩少々だけで
煮て、卵2個でとじたもの。ほかの店のようなミソを使わないで、ほんの
塩味だけでさっぱりとさせてある。
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☆ さあ一発
(「これを食べて(1発つけて)スタミナ2発分」という意味)
マグロの刺し身4切れと、イカの細切りの刺し身10切れに、納豆3口分
くらいをのせて、その上に、卵の黄身をくずさないでのせる。
好みでおしょうゆ少々をかけて食べてもよい。
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☆ 津軽けやぐ煮(「けやぐ」は「友達」の意味)
イカと野菜がともだちという意味。
トウモロコシ(生)と、さいころ大のにんじん(生)、グリンピース(生)
を、イカ(スルメイカ)のワタを抜いた胴に詰めて、竹串(10cm)で
とじ、だしをいれない湯で、5分ほど煮ます。5つの輪切りにして出しま
す。マヨネーズをつけて食べます。(イカと野菜の味に合う)
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(2)
よく知られている「ねりこみ」です。
☆ ねりこみ
東北の小京都といわれる城下町・弘前は北前船などの交易で京・奈良の文
化が伝播してきていた地方ですので、京・奈良のように寺社仏閣も多く、
京・奈良の精進料理も伝わってきています。
ねりこみも、もともと精進料理なので、魚肉は使わないのが普通ですが、
家庭によっては若い人向けに魚肉を使うこともあるでせう。
さつまいも、にんじん、大根、グリンピース、こんにゃく、しいたけ、油
揚、これらを小さめのさいころ大に切って、湯通しします。
鍋にかつお節、こんぶでだしをとり、上の材料を入れて煮ます。
味つけは、さけ、みりんに砂糖をたっぷりと(さつまいも1に対して大匙
2の割合)入れて甘くします。つまり、「うま煮」の一種です。
(だし汁の量は材料がひたひたになる程度)
醤油はいれませんが、隠し味として塩をごく少量使ったりします。
「野菜に火が入った」ら、水溶きの片栗粉をいれて「とろみ」をつけます。
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(3)
定食のお店「吉陣」でのユニークな料理。
☆ ほたてのリンゴ蒸し
リンゴ(富士)半個を皮を剥いて、種をとって、銅のおろし金でおろしま
す。ほどよい固さと味という理由で富士にしています。
リンゴと同程度のヤマイモをおろします。
リンゴとヤマイモをボールでまぜて、ひたる程度に酒(塩少々を合わせた
酒塩)をいれます。リンゴだけではべちゃべちゃになって固まらないので
ヤマイモを合わせます。
鉢に、生のほたての貝柱を2つに割って入れ、その上に、上のリンゴとヤ
マイモをまぜたものをのせます。
それを蒸し器で5分程度蒸します。
さらに、片栗粉でとろみをつけた吸い物だし(かつおだし、塩、
しょうゆ、さけ、みりん)をかけます。
これは、5〜6年前に吉陣さんが考案した「創作郷土料理」です。
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(4)
南田温泉ホテル・アップルランド(南津軽郡平賀町)で提供している[リンゴ
づくしのフルコース]料理を紹介しませう。(要・予約)
ホテルは、塩化泉の南田温泉、リンゴ畑の田園地帯の中にあります。
〈リンゴフルコース〉
☆ 刺し身(ひらめ)のリンゴ盛り合わせ
時季によって魚はいろいろ変わります。
薄めの刺し身にしたひらめで、薄くスライスしたリンゴを巻いて、醤油で
いただきます。
リンゴは富士で皮つきのまま、2〜3mm厚の半月形のスライス。
☆ リンゴの白和え
とうふをおからのようにくだいた中に、薄くスライスしたリンゴをまぜま
す。ふつうはなにもつけないでいただくが好みで醤油など。
☆ ホッケのだんごリンゴみぞれ煮
ホッケ(生)のすり身と、さいの目にこまかく切ったリンゴをまぜて団子
にし、かつおだし・みりん・さけ・しょうゆのだし汁に、団子と、こまか
く刻んだ鳥肉・しいたけをいれて煮ます。
仕上げに大根おろしをかけて出します。
☆ 伊勢海老とリンゴのグラタン
エビ・グラタンの中に、こまかく切ったリンゴをまぜてあるもの。
☆ リンゴの炊き込みごはん
かつおだし・みりん・しょうゆで調味した、しいたけ・たけのこ・グリー
ンピースをいれた炊き込みごはん。
出来上がったところで、客卓の小型コンロの上にのせた小さなセイロにそ
のごはんを入れ、ごはんの上に薄く小さく切ったリンゴをちらしてのせま
す。
☆ リンゴとホッキの酢の物
ホッキ(生)とリンゴを薄く細かく切って、リンゴ酢を使った合わせ酢の
もの。(リンゴ酢・さとう・しょうゆ・みりんを合わせて、煮切り、さま
した合わせ酢)
リンゴ酢と大根おろしのみぞれにすることもあります。
☆ 山ウドとリンゴのサラダ
フレンチドレッシングですが、ほんの少し蜂蜜を入れます。リンゴはスラ
イスすると甘みが少し抜けてしまうから甘みを補うためです。
☆ リンゴのプリン
プリンができてから、カラメルの代わりにリンゴのすり身をのせます。
☆ リンゴのシャーベット
リンゴジュースと、みじん切りしたリンゴのシャーベット。
☆ リンゴの漬け物
スライスしたリンゴを15分ほど塩水に漬けておいたものです。
この他、コースにはリンゴを使わない魚フライ等の料理も添えられます。
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(5)
郷土料理店[炉辺](弘前)の代表的な津軽料理を紹介します。
☆ 魚の貝焼きみそ
カトウ(鮫の一種)、ホタテ、ヤリイカ、真鱈の白子(タツ)、ワラビ、
ゼンマイ、エノキ、トウフ、ナス、セリなど旬の野菜・山菜を、ほたて貝
の殻にのせ、味噌で煮たてます。(いろりの炭火焼き)
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☆ じゃっぱ汁
マダラ5kg程度1本で5人前のじゃっぱ(アブラ、頭、中骨、ハラス、
胃袋、あればタツも。アブラは溶けやすいので冷凍保存しておく)
大根3分の1本。ネギ3分の1本。
(お好みでとうふやにんじんをいれたりします。)
出し昆布、太めなら10cm長。漉した赤味噌130g程度。
じゃっぱは二、三口分位の大きさにそれぞれ切ります。
大根は5mm細の千切りにし、ネギはうすい薬味切りにします。
大なべに、材料がひたひたになる程度の水と昆布を入れて大根を煮ます。
大根が柔らかくなったら昆布を取り出してアブラ(肝臓)をいれ、アブラ
が縮んだら他の材料を入れます。
アクをすくいとり、出なくなったら、赤味噌をときながら入れます。
タツがあればこの後入れて、仕上げにネギを入れます。
「じゃっぱ」は雑端から来ていて、捨てる物の意味ですが、それを美味な
料理に生かしているわけです。
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(6)
「南蛮」にもいろいろとありますが、青森で、南蛮といえばたいてい南蛮漬
けのことです。その南蛮漬けにもまたいろいろあります。
☆ 南蛮漬け(即成)
家庭で、トウガラシの赤くなるまえの葉・実をとって、さっと湯がいて刻ん
だものを、しょう油に数日漬けておいて、それを次のようにしていろいろと
応用して食べることがあります。
・大根おろしと合わせる
・菊の花(食用菊)と合わせる
・おぼろのとろろこんぶと合わせる
・なめこ、きのこ(イクジ=アミダケなど)と合わせる
・そのままご飯にかける
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しかし、本格的な南蛮漬けはつぎのような「三升漬け」(さんじょうづけ)
にしたものをいいます。
☆ 南蛮漬け(三升漬け)
・こうじ1升、しょう油1升、南蛮(トウガラシ)1升を混ぜて漬ける。
・トウガラシは赤く熟する前に、葉と実とを摘んで、それを(湯がかない
で)刻んで(なまのまま)、かめに入れて、縁の下などに置いて、数か
月以上、保存して発酵させます。
できあがったこの南蛮漬けをもとダネとして、上記の即成漬けのような応用
や、各種料理のタレや汁の味つけなどさまざまに用います。
とくに、山間で寒冷の南部地方でよく用いられます。
1. 毒消し(殺菌)作用がある
2. 魚肉などの臭みを消す作用
3. 体を温める作用
4. 風味を良くする作用
トウガラシは、山地であればワサビよりも栽培しやすく収穫しやすいもの。
魚肉類のタレとして、また味噌と合わせて、鍋物の「ベース」として用いま
す。南蛮は味噌と非常によく合います。体が温まるので鍋物に適しています。
他の料理としては次のようなものがあります。
☆ きのこの塩から
・この地方では、しょう油をベースにしたものを「塩から」といい、これ
はきのこと南蛮漬けとを合わせたもの。
☆ するめの松前漬け
・するめと数の子と、こんぶ(細かく砕いてどろっとさせたもの)と南蛮
漬けを合わせたもの。
米のあまりとれない南部の山村などでは、そばの栽培が多い。その、そばを
細長く切らないで、5センチぐらいの三角形に切ったものをそばカッケとい
い、これを南蛮漬けで食べます。
また、寒冷の山村でよく作られる「寒大根(かんだいこん=吊るして凍らせ
た大根)」も、みそと合わせた南蛮漬けで食べたりします。
-- 1993.12 --