

子供のリウマチ


情報少なく発見遅れる


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智絵さん(右から二人目)を囲む石垣さん一家(石垣さんのクリニックで) |
東京都葛飾区の小学4年生、石垣智絵さん(10)は、生後10か月のころ、よちよち歩きを始めたのもつかの間、1歳の誕生日前には、立ち上がるのを嫌がるようになった。
【受診繰り返すが…】
ひざが腫れているようで、痛がるそぶり。当時住んでいた青森県で、母の成子さん(43)が、整形外科でエックス線検査を受けさせたが、「様子を見ましょう」と言われただけだった。
内科医の父、宏さん(44)の転勤で東京に越してからも、何度か受診した。痛みや腫れは治まったようだが、1歳半になっても立とうとしない。
自治体の健診で、小児科の専門医を紹介され、初めて「若年性関節リウマチ」と告げられた。
この疾患は、高熱を伴う全身型、5つ以上の関節に症状が出る多関節型、4つ以下の少関節型に分けられる。智絵さんはやがて両手指にもこわばりが出て、「多関節型」と診断された。
三つの型のうち、大人の関節リウマチに近いのが、この多関節型。関節炎を繰り返し、ほうっておくと関節の変形や運動障害が起きる。大人のリウマチの診断指標となる特殊なたんぱく質「リウマトイド因子」が陽性のタイプもあるが、子供の場合、「成長痛」(成長に伴う関節の痛み)などと間違われ、診断が遅れるケースが珍しくない。
「専門外とは言え、自分の娘の病気が分からなかったなんて……」
宏さんは猛烈に悔やんだが、いざ調べても参考書も少ない。情報の手掛かりにと5年前、病気に関するホームページを作った。
それを見た人から、患者会の情報を得たのがきっかけになり、会を支援する横浜市大小児科教授、横田俊平さんの診療を受けるようになった。
横田さんは「早期にきっちり治療することが、その後の症状の進行を抑える点でも重要。子供にもリウマチがある、ということをまず保護者の方に知ってほしい」と話す。
【リハビリ始める】
智絵さんは、関節炎を抑える薬物治療に加え、昨夏から、自力で歩くためのリハビリを始めた。
筋肉は使わないと筋力が低下し、ますます固まって動かしにくくなる。毎週1回、リハビリ病院に通い、ひざの曲げ伸ばし、腹筋などに取り組み、少しずつ歩けるようになった。
小学校へは成子さんが車いすで送り迎えするが、普段はできるだけ自分の足を使う。学校側も介護者をつけたり、トイレを洋式に改修したりと、サポート体制を取った。
「学校生活には周囲の理解と協力が大切」と、成子さんは感謝している。
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石垣家のホームページhttp://www2s.biglobe.ne.jp/~ishigaki。症状の説明や関連のホームページのリンク、医療相談コーナーなどがある。
(2002年9月26日読売新聞より転載)
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