肝臓に関する質問に社団法人日本肝臓学会認定肝臓専門医がお答えします。ご質問やご意見はこちらからどうぞ
よくある質問 「健康診断で肝機能異常を指摘されたとき」 はこちら |
肝臓というと民間療法に走りがちですが、医師による治療を受けている人が最も長生きします。
健康診断で肝機能異常が指摘された人からの質問がよくあります。
そこで、一般的な回答を書いておきます。
肝機能異常というとAST(GOT)とALT(GPT)が正常値を超えた値(だいたい40以上)のことです。
次に最近増えてきている脂肪肝について述べます。
脂肪肝とは肝臓に脂(あぶら)がたまった状態。医学的には肝組織の3分の1以上に中性脂肪が沈着している状態をいいます。
以上主な原因を書きましたが、いくつか組合わさっていることも多い。たとえば、肥満と糖尿病と高脂血症とか、アルコールと糖尿病。
AST(GOT)、ALT(GPT)高値
γ-GTP(ガンマGTP)高値
ChE(コリンエステラーゼ)高値
中性脂肪高値
アルコールによる脂肪肝は将来肝硬変になる可能性が大きいので、一番の治療は禁酒です。改めて飲む薬は原則ありません。
栄養過多・肥満による脂肪肝はダイエットを中心とした食事療法と運動療法。一般には薬による治療は必要ありません。このタイプの脂肪肝のなかには将来肝硬変になることもあり注意が必要です。脂肪肝があるということは生活習慣病を合併していて動脈硬化が早くなる可能性があります。
糖尿病による脂肪肝は、元の糖尿病の治療が主で、糖尿病に対して薬を使うことがあります。糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法です。このタイプの脂肪肝のなかには将来肝硬変になることもあり注意が必要です。糖尿病によって動脈硬化が早くなる可能性があります。
脂質異常症(高脂血症)による脂肪肝は、元の脂質異常症の治療が主で、脂質異常症に対して薬を使うことがあります。脂質異常症の治療の基本は食事療法と運動療法です。このタイプの脂肪肝のなかには将来肝硬変になることもあり注意が必要です。脂質異常症によって動脈硬化が早くなる可能性があります。
なお、動脈硬化そのものには症状はありませんが、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など血管の血の流れが悪くなりやすく、正しく検査治療していかないと心筋梗塞による突然死や脳梗塞による寝たきりなどの危険があります。