天理大学 生涯教育専攻 課題図書
ロナルド・ドーア 『働くということ グローバル化と労働の新しい意味』
中公新書 / 2005年 / 198頁 / \700 / ISBN:4121017935
●ろなるど・どーあ●
1925年、イギリスに生まれる。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院卒業。戦時中、日本語を学び、1950年、江戸教育の研究のため東京大学に留学。カナダ、イギリス、アメリカの大学の社会学部や政治学部教授を経て、ロンドン大学LSEフェロー
著書:『学歴社会 新しい文明病』(岩波書店)、『イギリスの工場、日本の工場』(筑摩書房)など。
第1章 労働の苦しみと喜び(あなたの不安が私の平和を脅かす
グローバリゼーション ほか)
第2章 職場における競争の激化(効率は市場競争から
成果主義 ほか)
第3章 柔軟性(イギリスの一つの誇り
労働市場の柔軟性 ほか)
第4章 社会的変化の方向性(何が公正か
力の次元 ほか)
第5章 市場のグローバル化と資本主義の多様性(逆転の可能性
標準を押し付けること ほか)
学生の感想文(4)
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近年、グローバル化による多様化の中で、人々の価値観は大きく変わって、企業は人件費削減による新規採用を控え、非正規社員化、リストラ、定年を早めるなど、社会のためではなく、株主のためになっているのはどうかと思う。また、著者は、失業はなくなると言っているが、軽視しすぎだと思う。基礎的消費水準以上の生活を望むから働くという考え方があれば、現代日本の諸問題は起こっていないだろうし、失業者の尊厳の喪失という精神的な、大きな問題にまで軽く見ている。私は、「勤労倫理」支持者になっているかもわからないが、この見方には納得ができなかった。
また、近年、個人の成果主義が中心となり、能力主義が主流となったが、昔の日本のように組織・チーム意識、というものを再認識するべきではないかと感じる。
これからアメリカにとってかわって中国が世界の中心となるとき、今までの欧米型の価値観・労働観はどう変わっていくのかが興味深い。
(3回 M.I.)
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「労働における平等」というものは果たしてありえるのか?私にとってまずそのことが疑問である。そもそも生まれながらにして持っている能力が違うのだから、当然できる仕事の範囲も変わってくる。
能力が違っても労働機会さえ平等に与えられていれば、それは労働における平等
である。この意見もどうなのだろうか。仕事に効率性が求められている中で、能力のある者とない者は平等に労働機会を与えられているだろうか。私はそうは思わない。
逆に労働において平等を求めるとするなら、どのようなことをすればいいのか?年功序列制度の廃止はどちらと捉えるべきなのか?ただ働いている年数が多いというだけで地位や給料が高いというのはどうなのか。しかし逆に考えれば長い間会社にに貢献してくれた人に対して、高い地位や給料を用意するというのも間違いではないように思う。
世界全体のグローバル化が進む中で、企業にも大きな変化が起こっている。しに変化の中で平等性を保つことは非常に難しいと思う。平等でなくても、その人さえその状況に満足していればそれでいいのかもしれない。
(3回 T.A.)
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ある程度しっかり利益を得ていれば、それ以上求めることはないと思うのに、人間には、競争本能があり、企業は他社に負けじと、利益を上げようとして、労働者を解雇したり、雇用を渋ったりと、色々なことをしているようで、それは時代によって変わって言ってはいるのでしょうが、それも、文化的覇権国の対外姿勢によって様々な状況になっていくということを読んでいくと、きっと社会の流れというのはとても早いんだろうな。と感じました。筆者いわく、現在の文化的覇権国のアメリカの経済支配も、中国にその座を譲らざるを得ない日が来るかもしれないらしいです。色々な想像をしても、外れたとき、すでにとがめられる存在ではなくなっているはずの年齢であるにもかかわらず、予言をするのに躊躇しているらしいところが少し面白く感じました。
(3回 M.M.)
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この本を読んでの一番の感想は、とにかく今の自分見ている視野・世界の狭さです。『働く』ということがこんなに深いとは思ってませんでした。特に僕が一番に驚いたのは労働時間が、世界の国々によってあまりに違いすぎることです。また、今の日本は、戦時中の流れを受けていることが分かり、労働時間の統一も、戦時中の日本を一体化させるためとは全く思ってもいませんでした。また、『働く』ということを分からなくさせているのは、やはり今の競争社会が生み出しているのだとも思いました。人間が『働く』意義は一体何なのか。いまでは、労働者に全く人権はありません。どんな職業でも同じだと思います。経済優先主義のこの価値観が、人間の『働く』本質を失わせているのだと思います。もし人々が、競争することなく、利益を優先することなく純粋に働いて行けば幸せな毎日が送れるのだと思います。
(3回 S.O.)
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