天理大学 生涯教育専攻 課題図書
藤田 英典 『義務教育を問いなおす』
ちくま新書() / 2005年 / 318頁 / \730 / ISBN:4480062432
●ふじた・ひでのり●
1944年石川県生まれ。1969年早稲田大学政治経済学部卒業。1975年東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。1978年スタンフォード大学教育系大学院修了(Ph.D.)。東京大学教授。教育社会学専攻。
著書:『教育改革』(岩波新書)、『子ども・学校・社会』(東京大学出版会)、『文化と社会』(共著、有信堂)、『教育社会学』(共著、放送大学教育振興会)、『教育学入門』(共著、岩波書店)など。
序章 問われるヴィジョン―どのような教育と社会の未来を構想するのか
第1章 危機に瀕する日本の教育
第2章 公教育・義務教育の意義と役割
第3章 二一世紀の義務教育問題
第4章 「ゆとり教育」の是非と行方
第5章 グローバル化時代の学力形成
終章 未完のプロジェクト―二一世紀の教育課題と改革・実践の指針
学生の感想文(5)
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本書で著者は「共生原理」や「競争原理」について述べているが、現段階で義務教育を受けている子どもたちにとってはどちらの原理を求めているのだろうと思った。競争原理においては言い方を悪くすると「勝ち組」「負け組」に分けるのだろうが、もしもそのような仕組みが義務教育の中に埋め込まれたとして、そこで「負け組」に分類された子どもたちはどういう気持ちなのだろう。やはりその辺は自己責任という理由で割り切るのしかないのだろうか。勉強面ではその方が教師側も生徒側もレベルという点ではプラスなのだろうけど、心理面となると「負け組」に分けられた方はすごく複雑なのだろうと思った。特に義務教育を受けている期間というのは、とてもデリケートなお年頃だし・・・。
これらの事を深く考えていくと、義務教育問題って本当に難しい問題というか永遠の課題だと感じた。
(3回 Y.K.)
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自分が考える理想の教育は、すべての子どもに豊かな教育を提供し、多様な子どもたちが共に学び合うことのできる共生的なものだと思っているが、実際にはそれができているようには思わない。一部の子どもを優先するエリート教育が進んでいるように感じる。教育には競争原理が働いているため、差別的な選別が容認されている。そのため、「勝ち組」と「負け組」に分かれてしまう。能力がないから仕方ないということで、それが正当化されてしまっている。
でも大事なのは能力の差の仕方ないとするのではなく、「負け組」というレッテルを貼られてしまった子どもたちのレベルをいあかにして上げるかということだということだと思う。今のままではその差は広がる一方である。
義務教育制度が歪んでいるということは、これから先、社会がさらに歪んでいくのではないかど思う。そうならないためにも、本当に正しい教育改革が急務である。
(3回 T.A.)
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最近、教育基本法改正などで「愛国心」を盛り込むかなど、ついに、法律が心の問題にまで介入するようになってきた。最近の教育に関する法律はどこかおかしいのではないかを不安に感じる。
この本は、「ゆとり教育」や、公教育の市場競争における差別化など、近年の多くの問題にツッコミを入れていている。近年の国会での審議には私も少々疑問を感じ、ありとあらゆる面で考えた上でのものではないと感じている。なので、ほとんど同意する事が多かった。特に、日本は資源のない国で人材立国として成長してきた国なのに、どうして、日本を滅ぼそうとしているのかが、わからない。この本はそれらの経緯や、グローバル化に揺れる日本などの観点から解説し、最初はなかなか気分よく読んでいた。
しかし、かなり長い間同じような事を解説し、読む側としては途中で何を訴えたいのかがあやふやになっているのでは。と感じた。
また、所々肯定しつつも、ほぼ否定的で参考文献も著者側の意識をもった人たちので構成されており、著者と反対側の意見を聞いてみないとあやしいところがあるような気がした。
(3回 M.I.)
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まず、この本を読んで思ったことは、教育社会学とは、物事を批判する視点から見ていくと前に聞いていたので、本当にそうなのだと実感しました。
ゆとり教育は、まさに私が学生の頃始まりだしたもので、その頃は、なにも考えなしに、休みが増えるので喜んでいたことを覚えています。しかし、本にあった内容を見たとき、「できん物はできんままで結構」「限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養う」とかかれてあったのをみて、授業のとき、「ゆとり教育」の影響で学習内容の編成が行われ、学力低下が起こって当たり前の授業内容になったから、当然の結果である。と、聞いたのですが、このようなことを運営されている方が言っていたのだと思うと、少しショックを受けました。今は、まだ学生の立場ですが、自分がこれから社会に出て行ったときに、どれだけ貢献できるのだろうと考えさせられるものでした。
(3回 M.M.)
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まず、鋭い人だなあと思いました。文部科学省はいつまで同じことを繰り返すのだと思いました。「ゆとり教育」と言いながら週休二日制にして、でもあとからまた土曜日に学校を開くとか言って。やはり、欧米などの諸外国は本当に見習うべきことが多かったです。歪んだ日本の義務教育と著者は言っていますが、経済発展のために、学力という肩書きが必要となり、『教育』というものの本質が失われてるのだと思いました。『義務教育』の『義務』という言葉に秘められた意味は一体何なのだろうか。今の義務教育は受けなくても酔い教育を受けているのではないかと思います。
「未来への投資」この言葉に間違いはないとは思いますが、やはり子どもの将来を育てることも、利益を目的にしている雰囲気がとても辛いです。でも今の日本の現状が分かってとても嬉しかったです。
(3回 S.O.)
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