天理大学 生涯教育専攻 課題図書

浜井 浩一、芹沢 一也 『犯罪不安社会 誰もが「不審者」?』

光文社新書 / 2006年 / 249頁 / \777 / ISBN:9784334033811



●はまい・こういち●
1960年愛知県生まれ。龍谷大学法科大学院教授。臨床心理士。早稲田大学教育学部卒業。法務省出身。矯正施設、保護観察所勤務のほか、法務総合研究所研究官、国連犯罪司法研究所研究員等を歴任。『犯罪白書』の執筆経験あり。専門は刑事政策、犯罪学、社会調査、統計学・犯罪心理学
著書:『犯罪統計入門』(日本評論社)『刑務所の風景』(日本評論社)ほか。
●せりざわ・かずや●
慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程を修了。慶應義塾大学、京都造形芸術大学、朝日カルチャーセンターなどにて講師。社会学を専攻する傍ら、大正期を中心とする近代日本の思想や文化、社会に研究分野を広げる。専門は近代日本思想史・文化史。
著書:『ホラーハウス社会』(講談社プラスアルファ新書)、『狂気と犯罪』(講談社プラスアルファ新書)、『〈法〉から解放される権力』(新曜社)。


猟奇的な少年事件や検挙率の低下などを根拠に、「安全神話の崩壊」が叫ばれ、厳罰化と監視強化が進む。
しかし、統計をきちんと読み解くならば、あるいは軽微な犯罪者ばかりで老人や病人の多い刑務所を直視するならば、決して「治安悪化」とは言えないはずである。
効果のある犯罪対策を実施するには、正しい現状分析なくして、正しい解決はありえない。
そのため本書はまず「『安全神話の崩壊』論の崩壊」を宣告。
治安悪化言説こそが「神話」なのである。

目次
1章 犯罪統計はどのように読むべきか(高まる「犯罪不安」;スローガンばかりが目立つ ほか)
2章 凶悪犯罪の語られ方(宮崎勤から始まった;狂乱の報道合戦 ほか)
3章 地域防犯活動の行き着く先(事後活動から予防活動へ;背景としての新自由主義 ほか)
4章 厳罰化がつくり出した刑務所の現実(不審者とはどんな人か;科学的根拠はあるか ほか)

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