天理大学 生涯教育専攻 課題図書

北澤 一利 『「健康」の日本史』

平凡社新書(068) / 2000年 / 235頁 / \740 / ISBN:4582850685



●きたざわ・かずとし●
1963年静岡市生まれ。筑波大学大学院体育研究科健康教育学修士課程修了。95年より北海道教育大学釧路校助教授。現在、国際日本文化研究センター研究員。


第1章 「健康」はどこからきたか(西洋医学と健康概念;福沢諭吉の「健康」観)
第2章 健康法は誰を対象にしたのか(体操の起源と徴兵制;体操の大衆化)
第3章 江戸から明治、からだはどう変わったか(「身」と「身体」の比較;養生か、健康か)
第4章 健康を測るものさし(大衆化するからだ;健康の測りまちがい)

学生の感想文(2)

私は健康のことに興味があったのでこの本を読んでみました。いろんな時代の流れのなかで、健康というのは、その時代によって感覚が少し違っています。その感覚の違いを比べてみると面白かったりしました。そして吾輩は猫であるのエピソードについて述べられているところも面白かったです。話は変わりますが、近代化が進んでいくなかで、健康の求め方が変化し、多様化していくなかでも、健康でありたい、健康であろうとする人々の望みは変わっていないんだなと思いました。しかし、いろんな健康の求め方がある現在では、昔に比べると健康志向が強くなってきていると思います。サプリなどの健康食品などがいろいろとでたりしていますが、私はサプリなどを頼らず健康になっていくのが一番健康じゃないかなと思います。最後のほうは少し本の感想とはずれてしまいましたが、昔も今も健康でありたい気持ちはあったんだということがわかり、やっぱりいつの時代も健康が何よりも大事だなと思いました。
(2回 S.I.)

この著書は日本人と「健康」の関わりをあらゆる面でとらえていました。ここで私が驚いたのは江戸末期までの日本人の体のとらえ方と西欧から取り入れられた「健康」のとらえ方が異なっていたことです。例えば江戸時代に長生きするために行われた「養生術」は体の中にある気を減らさないように「保存」するための方法で、武士等の「特権階級」を対象とした儒教道徳に基づかれていましたが、西欧から入ってきた「健康法」は筋肉の発育、呼吸や循環機能の発達を促す方法であり、「庶民階級」を対象とした生理学的法則を基準としたものです。この二つの方法は西南戦争によって「健康法」に採択されて今日に至っています。私は生まれてから今日まで、運動は進んでしませんが、「健康」には気を使っていました。この著書に書かれてある通りにこの行為を行う理由は親や先生に言われてやっていなくて、自発的にやっています。これからも自発的に「健康」に気を使うでしょう。
(2回 A.K.)