天理大学 生涯教育専攻 課題図書

志水 宏吉 『学力を育てる』

岩波新書(赤978) / 2005 / 224頁 / \700 / ISBN:4004309786



●しみず・こうきち●
1959年兵庫県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了(教育学博士)。大阪大学大学院人間科学研究科教授。学校臨床学、教育社会学専攻。
著書:『変わりゆくイギリスの学校』(東洋館出版社)、『学校文化の比較社会学』(東京大学出版会)、『調査報告「学力低下」の実態』(共著、岩波ブックレット)、『公立小学校の挑戦 − 「力のある学校」とは』(岩波ブックレット)、『学力の社会学』(共編著、岩波書店)など。


はじめに
プロローグ − 私の「学び」との出会い
第1章 学力をどう捉えるか − 「学力の樹」
第2章 子どもたちの学力はどうなっているか
第3章 学力の基礎はどう形づくられるか − 家庭の役割
第4章 いかに基礎学力を保障するか − 学校の役割
第5章 「学力の樹」をどう育てるか − 地域の役割
エピローグ − 公立学校の未来を考える

学生の感想文(9)

学力低下の問題は、私もよく耳にしていました。全体的に学習意欲の低下で、学力の二極分化傾向の顕在化などの現象がおこってきました。私は、中学・高校と学力は低い方でした。試験でも点数は、いつも悪い方でした。しかし、私の学校は、授業の意欲や態度、提出物なども大きく成績に入れてくれたので、自分も勉強を頑張ることができました。学力低下や二極分化になる原因は、この本にも書いてあったように、試験の点数だけで成績をつけることにあると思います。試験の点数だけではなく、授業に対する意欲・関心・態度なども成績に入れてあげれば、生徒の学習に対する姿勢も変わってくると思います。あからさまに点数だけで成績をつけるより、さきほどのような形式で成績をつけることで、勉強に意欲が増すこともあります。「学力低下」を抑えようと考え、対策をたてるのならば、まず成績のつけ方変えてみると良いのではないでしょうか。私は、この本を読ましていただいて一番にそう思いました。
(1回 K.Y.)

学力を育てるを読んで僕は、著者の意見と同じである。樹を例えとしたときに根が1番大切だと書いていたがその通りだと思う。僕はバスケットをしていて、意欲、関心、態度が最も重要であると感じた。いくら能力があってもバスケットに対する意欲や関心がなければ、ただやっているだけで上達もしない。また取り組む姿勢や素直な気持ち、きちんとした態度でないとこれもまた上達しない。著者が言っているように根の部分の大切さが改めてわかった。僕は教師を目指していて、この本を読んで楽しそうなイメージと大変そうなイメージがわいた。教師、子供が共に集団となって切磋琢磨して学力を上げていき共に喜び合うのはとても素晴らしい事だと思う。が、そう簡単には出来ないと思った。怒りたくなくてもその子の為には心を鬼にしないといけないときもある。僕にはそれが出来るのか心配だ。学力を育てるにはいろいろな人の努力と信頼関係が必要不可欠だなぁと思った。
(1回 T.Y.)

私自身、自分も含め現代の子供の学力低下については本当に深刻な問題なのではないかと思う。その中で著者が示す様々なことはすごくこれからの教育社会において重要とされてくるものではないかと思う。学力の樹から考えられることは実は当たり前と分かっていてもなかなかできないもので、基礎ができていない子供はとても多い気がする。何事も基本が大事だと改めて考えさせられるところだ。また、私は、ゆとり教育に対してはあまりいい印象がない。学力低下を論じているのならばゆとり教育は必要がないと思う。感性や自主性などは自分自身で養っていくということこそが大事なことなのではないかと、常日頃感じている所だ。そこで必要となってくるのは私も地域とのふれあいなのではないかと思った地域レベルでの子供の教育はとてもいいことだと思った。子供にとって何が一番重要なのはなにかと考えさせられた。
(1回 K.N.)

私がこの本を読み、最も印章的であり、また納得ができたのは「はじめに」の中に書かれていた「わける力」と「つなぐ力」の部分である。「わける」は分析力であって、「つなぐ」は総合である。志水宏吉氏は、この二つをバランスよく合わせる事こそ、学力を育てる事であると本文で論じている。この本を読み終えて、「わける」と「つなぐ」はずっと関係していて私が受けてきた今までの数多くの教育も「わける」か「つなぐ」であったのかなぁと志水宏吉氏の一言で思った。またこの本は教育、学力という視点から物事を考えるには私に良い機会を与えてくれたと思う。また第四章の「効果のある学校」の話の中の、外でよく遊ぶ生徒が多い小学校は人の話をよく聞き、教師の言う事にもきちんと耳を傾ける。という部分には共感したし、私はやはり教師が積極的に子供達を外で遊ばせる事が大切であると思った。だが本の後半は感情的な主張が目立つようになり、内容がうまく伝わってこなかったのが残念だったように思う。
(1回 K.O.)
  *
 「ゆとり教育」。そのとき僕は中学生だったと思う。休日が増えてうれしいと思っていた。しかしこの本を読んで、最近の学力低下は軽視できなくなっているんだなぁと思った。できる子とできない子の「二こぶ化」。こんなにも両極端になっているんだ、と驚いた。それに加えて、同和地区などの格差。学校教育はいじめや不登の他にもこんな問題があることに気づかされたし、複雑だと感じた。その問題の中で、学力の底上げを成功させている学校の実態を読んだ。一人一人で考えさせるのではなくみんなで考えること、そして、わからないことを素直にわからないといえる環境。そのうえ、教師が一つのまとまりとなり問題に全員で取り組む姿勢。なにもかもが「連携」という言葉なしではできない感じで感心と驚きだった。学校だけで子供たちを支えるのではなく、各家庭で、地域で子供たちを支えている様子は他にないだろうと思った。教師も地域の人々も他人ではない感じがして人間くささがあった。勉強だけではない、仲間を大切にする教育を知ることができてとても勉強になったし、よかったと思う。
(1回 S.K.)

まずは、学力を樹として捉える考え方はとてもわかりやすいなと思った。「目に見える学力」 を育てるためには、「目にみえない学力」、またその基盤の学力がしっかりしていないとい けないなと感じた。また、学力も樹と同じように、周りの環境が成長に大きく関係してい るとあって、本当にその通りだなと思った。また、学力形成の最大要因として家庭が挙げ られていて、学力は学校の中だけで育つのではないのだなと改めて思った。勉強すること を習慣とする家庭環境をつくっていかなければいけないと思う。また、「効果のある学校」 の事例を見ているとユニークな取り組みが多く、今まで自分が過ごしてきた学校とはまた 違うなと思ったし、そうした「効果のある学校」に通っていたなら、もっと学力がついて いたかなとも思う。もっとそうした学校を増やしていかなければいけないと思うし、その ためには教師や地域、家庭の教育に対する意識を高めていくことが必要だと思った。「しっ かりとした、豊かな学力」と「たくましく、しなやかな社会性」、この双方を残り少ない学 生生活の中で身につけていきたいと思う。
(1回 K.S.)

私は学力を育てるためにどうすればいいかいろいろ悩んでみた。義務教育はゆとり教育になり子供の学力が低下していった。いろいろな教科の低下がみられ、新聞、テレビなどで報道された。私が思うに勉強に対して興味が少しずつなくなってきているのでないかと考えている。教師も子供たちのことを考え、楽しく授業していけば自然と子供たちの学力はあがってくるのではないだろうか。また、親たちは子供を塾などにいかせたがるがはたしてそれはいいことなのだろうか。嫌々行っても学力の向上には全くならないとおもう。ようは学力を育てるにはその本人の向上しようという気持ち、やる気が一番重要ではないだろうか。私はそう思います。自分を含め、向上しようという気持ちで学習すれば学力は育つと思います。
(1回 T.F.)

子どもたちの基礎学力は確実に低下しているそうだ。私の父もよくこのことを言っている。子どもたち自身では学力低下は分かっていないと思うが、大人たちからみれば確実に低下しているのだなぁと思った。私は、子どもたちの学力低下に関して、周りの環境もそうしていると思う。実際、私の親も、スポーツが出来ていれば良いと言っている。私はそれで納得していたが、この本を読んで、学力低下はなってはならないことだと思った。学力面で目覚しい成果をあげているE小学校では、「よく聞く」と「よく遊ぶ」を大切にしている。ただ単に遊ぶだけではなく、「朝遊び」・「班遊び」・「クラス遊び」・「放課後遊び」といろんな遊び方法で遊んでいる。このことを行うことによって、学力が上がるのがわかっているであれば、他の学校でもどんどん取り入れて行けば良いのにと思った。押し付けて勉強させるのではなく、のびのびと勉強させてあげることは良いことだと思う。
(1回 M.M.)

 私は、「学力を育てる」という本を読んで、学力を伸ばすのは簡単なことじゃないと思いました。私も今までテストでいい点数をとろうと頑張ったこともありますが、なかなかいい点数を取れませんでした。それは、「見えない学力」を太らせてなかったからだと知りました。私は、「ゆとり教育」というのがいいのか悪いのかよく分かりませんでしたが、この本を読んで、「ゆとり教育」は油断すると、子供たちの学力が低下して、日本の学力が下がってしまうということを知り、「ゆとり教育」も大切だけれど、やっぱり子供はちゃんと勉強しないといけないんだなぁと思いました。自分の住む町を好きだという子供を育てるのが公立学校の役割で、学校が特に重要な場所になるというのは、将来地元に残って働くという人がどれだけいるかということにもつながると思いました。私は、学校という場がいかに大切かを知ることができたと思います。
(1回 S.Y.)