天理大学 生涯教育専攻 課題図書
金井 寿宏 『働くひとのためのキャリア・デザイン』
PHP新書(187) / 2002年 / 299頁 / \780 / ISBN:456961941X
●かない・としひろ●
1954年神戸市生まれ。1978年京都大学教育学部卒業。1980年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了。1989年マサチューセッツ工科大学Ph.D.(経営学)。現在、神戸大学大学院経営学研究科教授。リーダーシップ、ネットワーキング、キャリアなど、経営学の中でも人間の問題に深くかかわるトピックを、主たる研究としている。
著書に『変革型ミドルの探求』『企業者ネットワーキングの世界』(以上、白桃書房)、『ニューウェーブ・マネジメント』『中年力マネジメント』(以上、創元社)、『経営組織』(日系文庫)、監訳に『経営革命大全』『完全なる経営』(以上、日本経済新聞社)などがある。
第1章 キャリアは働くみんなの問題
第2章 揺れ動くキャリア観―なぜ移行期、節目に注目するのか
第3章 キャリアをデザインするという発想―ただ流されるのとどう違うのか
第4章 最初の大きな節目―就職時と入社直後の適応
第5章 節目ごとの生涯キャリア発達課題
第6章 元気よくキャリアを歩むために
学生の感想文(14)
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人生の節目。それは私にとって、小学校・中学校・高校の入学・卒業であったり、異国に留学する決断であったり、何か新しい大きな物事に対する出発の時期であった。「キャリア」という言葉を聞くと、ふつう、学歴の良い人、地位の高い人などに使う言葉だというイメージを持ってしまうが、実際は誰しもが持っているものなのである。
私がこの大学に入学したのも人生の大きな節目であるが、自分でデザインしたというよりは、「とりあえず大学は卒業しときなさい」という周りの声に合わせただけなのかもしれない。では、私は現在ドリフト中ということになるのか。しかし、人は自分で選ぶと、ある範囲内から行動プランを選んでしまう。ということはむしろ、ドリフトした方が「思わぬ偶然・掘り出し物」を発見しやすくなる。
私は、将来何をしたいということは特にないが、残り2年間、大学生活や実習などを通して「自分探し」をし、キャリア・ドリフトすることを期待してみようと思った。人間この先どういう人間になるか、どのくらいの価値を持った人間になるかは、生きてみないと分からないのだ。
(2回 S.F.)
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私は今までキャリアの意味をはっきり知らなかった。だがこの本を読んでキャリアの本当の意味を知った。キャリアとは長期的な仕事・生活のあり方に対して見出す意味づけのパターンのことをいうことを知った。私はもうすぐ就職という節目がくる。ここをどうデザインするかが重要になる。でもこの本にも書いてあるように節目をデザインしたら後はドリフトして生きようと思う。節目だけはうまくデザインすることによって、いくつになっても一皮むけるような経験を探していきたいしドリフトして伸びやかに過ごしたい。この本にも書いてあるように金庫番のような経理の仕事はいやだといっていた人がキャリア・ドリフトした結果自分の思わぬ才能とそれを発揮する満足をみつけることがあるというように思わぬ掘り出し物をみつけていきたいと思った。私はキャリアを自分でデザインしているということを自覚し節目ではデザインを優先したいと思った。
(2回 S.I.)
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キャリアデザイン言葉を聞いて、また本の中にある内容で自分的にはデザインする際において節目だけをしっかりしデザインできれば後はドリフトしていても良いという考え方は大好きである。実際キャリアにおけるデザインが出来るならば将来は生きていけるであろうと思うが、自分がデザインにおいて節目をしっかり見分けることが出来るようになる努力が必要でありできる様になれるのかが問題である。その為には現実をしっかり理解して見つめていかなくてはならないし、それをできるようになりたいと思った。その為にも自分にあったキャリアを見つけ偶然の出来事を楽しみつつ生きていく事が目標であり、人生を楽しく過ごす為の課題である。こんな奇麗事ばかり言っているが実際、社会は広く、複雑で恐ろしい存在であり、不安は大きくなる一方であるのが本音である!!この本がいずれ自分にとってプラスになると信じたい。
(2回 H.K.)
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私はこの本を読んで、節目に流されずに自分の意思をしっかりもって、やっていこうと思いました。今までにも、そのようなことはあったかもしれませんが、結局は周りに流されながら決まったことに対して、満足していました。だから、これからは自分の未来に対して、キャリアをしっかりデザインし、一生ドリフトしたままにならないよう頑張りたいと思います。最後に。卒業する前にこの本と出会えてよかったと思います。今現時点で節目のことについて考えることができましたし、また自分が節目にあったとき、もう一度この本を読み直し考えることができると思うからです。そして、読むたびに違う印象、そのときためになる事があると思います。
(2回 K.K.)
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キャリアというものは、仕事をしている人にはなくてはならないものであることはよくわかった。けれど、僕たちのように仕事をしていない学生でも、キャリアというのはあると思う。例えば、大学に入学したきっかけである。僕は教育に関して学びたかったからこの大学のこの専攻に入学した。もしなんとなくで入学した人がいるとしても、それは将来なりたいものややりたいことを見つけるために入学したといってもいいのではないだろうか。そう思うと、キャリア・デザインというものは、仕事についた人だけではなく、生まれた時からあるのではないかと思う。そしてまた、キャリア・デザインがあるからこそ、進路でなやんだり、部活に励んだりできるのではないだろうか。
(2回 T.K.)
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人生の節目は誰にでもあるものである。特にこれから就職という大きな節目を迎える前に本書を読んでおいて本当によかったと思いました。なぜなら、人や流れに流されずに今まで節目をすごしてきたとは思えないからです。この本を読まなければきっとこれからも、人に流されて偶然に喜び、何も考えずに節目をすごしていたでしょう。節目だけでも自分の将来に目を向ける大切さを感じました。そして、この本の良いところは、偶然におきたこともちゃんと肯定している。自分の頭の中で考えたこと全てじゃなく、人と関わりをもつこと、社会とつながりがあることも長い仕事人生では重要なことだとありました。これから起こる節目に読み返すとよい本だと思いました。
(2回 S.O.)
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この本を読んで、一番印象的だったのは、節目はしっかりとデザインすべきだがその他はドリフトしていていいということです。「良き偶然」や「思わぬ掘り出し物」に出会うためには自然に身を任せることも重要だと作者はいいます。確かに、自分で全てをデザインしてしまうと、自分のやりたいことばかりをやって、狭い範囲の行動プランを選んでしまうことになるでしょう。その中からは、自分の隠れた才能などはとうてい見つけることは出来ないでしょう。
私はこの課題図書を読むことになって最初は面倒だし嫌だと思いました。しかし、この本を読んでこれがドリフトするという事なのかなと思うようになりました。私は、大学を選ぶというところでデザインしました。今、嫌だと思いつつも本を読んでいます。これがドリフトだと考えると将来、就職や家庭を持った時にこの本を読んで得た知識を活かせる事があるかもしれません。これが、筆者のいう思わぬ掘り出し物にあたると思います。
これからは、この本を教訓に節目に出会ったらよく考え、その他は自然に流れを任せつつも真となる自分の意見をしっかりと持って生きていきたいと思いました。
(2回 M.K.)
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本書のターゲットが何タイプかはっきりと記されていたり、誰にでも共通する内容が書かれていたので、いくつになっても読む価値のある本だと思った。私は、学生、あるいは、就職活動中という立場から読んでみたが、社会人になってから読み返してみるのも自分にとってプラスになる本なのではないかと思った。
色々な考え方が次々と提示されていたので、焦りや戸惑いを感じた。けれど、前向きになって、キャリアについて深く考えることが大切なのだと思った。現実的に物事を見つめれるようになりたい。自分が自分らしく成長していけるようなキャリアを歩まなければならないのだと思った。今後の私にとって、とても参考になる書物だと感じた。小さな本だが、自己啓発できる本である。
(2回 T.O.)
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「…本気で念じて、念じるだけでなく、ちゃんとアクションを起こして、繰り返し努力を重ねれば、夢は実現する。むしろ、夢として描かない限り、なにも実現しない。…元の夢のとおりにまるごと実現しなくても、現実は、信じることのできた夢の方向へと実現の歩みを進める。しかし、念じるだけでもなく、しっかり行動を起こすことがまたすごく大事だ。…」わたしの中に自然と入ってきた文章です。夢や目標に向かって、一生懸命に努力することが大切だということ。たとえ目に見えた結果があらわれなくても、努力した事実は、違う形であらわれてくれる。人生の中で出会う数回の節目を、目先から逃げずに、周りの人の言うことに「素直」に耳を傾け、自分で納得いくキャリアを選んで、偶然の出会いを楽しんで生きていく。振り返ったときにある轍は、自分だけの「すてきなモノ」であることに、ちがいない。
(2回 R.A.)
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新聞やテレビなどで今盛んに就職難などが叫ばれている中で、私はまだ少し先のことだと思って、キャリアについて甘く考えていた部分が大いに有ると思った。二回生のうちに読んでおいて本当に良かったと思った。この本を読んでいなければ、時代がめまぐるしく変わっていく中で、私はかなり古くて、偏ったキャリア観を持っていただろうと思う。
節目の時だけはしっかり今までの自分の岐路、方向性を見つめ直し、考えるという発想は、一人一人が良好なキャリアを歩む上で絶対必要であると思う。しかし、自分が間違った方向に進んでいるにも関わらず、それにも気付かず突き進んでいっているような人には、この発想は適さないと思った。そんな人にならないために社会の動きをきちんと理解出来るようにしておかなければならないと思った。
キャリアは人生の一部である。そのキャリアを良好に歩む為に、後悔しないように、今出来ることをしっかりやっていこうと思わされた。
(2回 M.I.)
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私には、まだはっきりしていないが、将来こんなことをしたいという夢がある。しかし、実際その仕事に就くことは大変難しい。「無理やからやめたほうがいい」と言われると少し腹立だしいが、心の奥では自分でも「やはり無理なのだろうか、あきらめるべきなのだろうか」と考えていた。
「 本気で念じて、ちゃんとアクションを起こして、繰り返し努力を重ねれば、夢は実現する。」私は本気で念じられるところまで、まだ達していないかもしれない。しかし、これを読んで大きな励みとなった。
数年後、私は節目に立つことになる。そして、まわりの多くの人のアドバイスをうけるだろう。しかし最後には自分で、自分の節目をデザインしたいと思う。
「就職なんてまだ遠い」とは言ってられない時期に来ている。この本を読んだことを、これから進路を考えるにあたって、少しでも役立てたいと思う。
(2回 M.H.)
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キャリアと聞くとなんだかいわゆるエリートな人のことばかりイメージがわいていました。でも、自分にも他人にもあてはまるものなんだなとわかりました。これから働いていくうえで、大きな節目というのは必ずあるものだと思います。実際、身内にも長い間の勤めを辞めて、転職をした人がいます。今までのことを全てゼロにもどすわけですから、相当の勇気が要ったと思います。でも、今ではその仕事を楽しんでしています。このことや、本を読んで思ったことは、何事も元気に楽しんですることが大事だということです。大きな節目を迎えて色々悩んでいるときはつらいかもしれませんが、後からふりかえれば苦しんだ分、良い経験なって残ると思います。その思いもキャリアの一つだと思います。
自分が社会に出て働き始めたとき、この本を読んで心に残ったことを忘れないように、自分らしいキャリアを作っていきたいと思います。
(2回 S.E.)
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日本人は昔から、最後まで勤め上げるのが美徳であるとしてきた。私も例外ではなく、仕事が多少自分に合わなかったとしても、簡単にあきらめ、転職を考えることはいけないことだと思っていた。しかし、筆者は、思いっきりぶちあたってみて、もし自分のやりたいことではなかったら、転職すればいいといっている。「わるいガマン」はするなということだ。とても衝撃を受けた。本当に自分のやりたいことを見つけ、自分に正直に生きなければならないと教えられた気がする。あらゆることに興味を持ち、アンテナを張り巡らせ、エンプロイ・アビリティ(雇用されうる能力)を養っていけば必ず、いい仕事、いい仲間、そして、いいキャリアに辿り着くと強く感じさせられた。そのためには、今から好奇心旺盛に、いろんなことにチャレンジしていかなくてはいけない。将来のキャリア・デザインを考え、日々成長していきたいと思う。
(2回 H.K.)
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この本を読んでの感想としては、まず、将来に不安を感じました。やっぱり、社会は怖いです。広いし、やけに細かくいろいろなことが決まっているからです。規則や礼儀やキャリアの節目についてなどです。キャリアについては、よくわかりません。仕事という意味だけではないからです。でも、この本がいうには、キャリアにはいつか必ず節目がくるのだそうです。そして、そこで人生は少なからず変化するのだそうです。その時に、この本に書いてあることを参考にして、失敗のないように気持ちを切り替えることが大事なのだそうです。このことには、私も共感しました。仕事を変わるようなことがあたら、それは気を切り替えてがんばらなければいけないでしょう。この本にはもうひとついいことに、著者の実体験にもとずいて書かれていることです。さすが、説得力があります。これから社会にでるというこの時期に読んだのは、ちょうど良いタイミングだったなと思いました。まず最初に迎えるスタートの節目に役立てたいです。
(2回 Y.A.)
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