天理大学 生涯教育専攻 課題図書
平田 オリザ 『芸術立国論』
集英社新書/ 2001年 / 334頁 / \660 / ISBN:4087201120
●ひらた・おりざ●
1962年東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒。劇作家、演出家。劇団青年団主宰。桜美林大学助教授。日本劇作家協会理事・事務局長。「東京ノート」で第三九回岸田国士戯曲賞受賞。2000年、フランスでの「東京ノート」制作、上演をはじめ、ワークショップを含めた海外での活動も盛んにおこなっている
著書:
序章 芸術の公共性とは何か
第1章 地域における芸術文化行政
第2章 経済的側面から見た芸術文化行政
第3章 教育と芸術文化行政
第4章 文化権の確立
第5章 文化行政の未来
終章 芸術の未来
学生の感想文(1)
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「芸術」という言葉がテーマに用いられていたので興味を持った。読んでみると、芸術文化政策への考察が書かれている書物にしては、大変読みやすかった。また、データーベースに、『これは芸術の観点から考えた構造改革だ!』という大胆な発言があったり、地域・経済・教育等のあらゆる面からのデータが用いられていたりと、発想が豊かで面白かった。しかし、多面から論証されているゆえにその点難しい部分もあった。
筆者は、子供たちの教育に「他者との出会い」を追体験する表現教育を取り入れて「分かり合う文化」から「説明し合う文化」への転換を図り、コミュニケーション能力を培う場を与えようと提案していた。素晴らしい提案であると思った。それに代わる人為的な新しい広場が、現代の人たち、特に子供たちには必要であると思った。公共文化施設が人びとに果たす役割は大きいのだろう。
(3回 T.O.)
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