天理大学 生涯教育専攻 課題図書

市川 伸一 『学ぶ意欲の心理学』

PHP新書(171) / 2001年 / 251頁 / \720 / ISDN:4569618359



●いちかわ・しんいち●
1953年東京生まれ。東京大学文学部心理学科専修課程卒業。文学博士。埼玉大学、東京工業大学を経て、現在、東京大学教育学研究科教授。日本教育心理学会理事長、文部科学省中央教育審議会臨時委員等を努める。認知心理学、教育心理学専攻。
著書:『認知心理学4 思考』(編著、東京大学出版会)、『考えることの科学』(中公新書)、『確率の理解を探る』(共立出版)、『コンピュータを教育に活かす』(勁草書房)など。


はじめに
第1章 動機づけの心理学を展望する
第2章 和田秀樹氏との討論
第3章 苅谷剛彦氏との討論
第4章 自分のやる気を引き出す環境づくりと意識づくり

学生の感想文(8)

なかなか読みやすい本で、勉強になったと思います。心理学を、広く知ることができたし、やる気を起こさせるヒントも得られた気がします。「心理学、臨床心理学がポピュラーなものになるにつれて、断片的、部分的な解釈や理解が広がっている。そのことが「俗流心理学」の流布となり、教育や教育行政の世界に悪影響を与えている。」鋭い指摘だと思いました。中途半端な知識は逆に迷惑なものだと思いました。ひとつの事を深く学ばなければいけない気がしました。
この本で特に印象に残った点は「人の中には、いろんな可能性をもった何か種のようなものがあると。水をかけなければ絶対伸びてこないけれども、水をかけることによって、すうっと伸びてくるものがあるかもしれない。何か新しいことを学んでみると、そういうものが思いがけなく出てくるかもしれない。」という点です。様々な分野に興味のある人は得だなと思ったし、よく考えれば自分自身がそういう人でした。手を出さなければ何も得ることはできないと思いました。これからは色々な事に興味を示し、学んでいきたいと思いました。
(1回 H.U.)

 人が行動を起こす「やる気」というものが、心理学の分野に通じるものだと知った。読んでみて、こういう経験あるある!と思うことが結構あって、おもしろかった。実際、課題として出されたからこうして読んでいる課題図書も、はじめは気が乗らなかったのに、本をたて続けに読んでいると読書自体に面白さを感じてきて、以前ほど苦痛ではなくなった気がする。この本に書かれていたことに自分がぴったりあてはまり、びっくりした。
(3回 Y.A.)

 著書『学ぶということの意味』の中で佐伯氏は,動機づけ、やる気や学ぶ意欲などをどうやって起こさせるかという話は,全部ウソ!と叫びたくなると書かれている。こちらは「本流の継承発展」ではなく,新しい流れを作るという形である。それに対し本書は,そういう形で心理学の本流に見切りをつけず,単にそれを継承するだけではなく、著者自身の見解を加え、過去の知見を整理発展,日常の提言にまで拡張している。良くも悪くも主流・王道を感じさせる。
苅谷剛彦氏との対談は良かった。心理学は,ある事柄をある概念のもとにあるやり方で研究を進める。それに対し社会学者は,その概念がどのように社会の中で正当化されてきたか,という分析を行うらしい。心理学にはまずない発想である。また著者は,「教育心理学からの釈明と反論」をしているが,結果的には苅谷氏がいうように,教育心理学が「弱者の見方と称する強い個人のモデル」になっていることを認めているようだった。
(1回 K.T.)

学習は、ただ強制的にやらされているという意識を持ってしまうと、人はなかなか学ぶ意欲と、学力を身に付けることができません。それは私自身、今までの経験からいえることです。この本の中でも書いてあったように、確かに最初は何か目標をたてるとか、報酬をたてる等すれば身が入りやすいです。問題が「できる」「わかる」ようになって初めて学ぶって「楽しい」につながっていくのだと思います。
 ただ、目先の報酬だけに注目して、学ぶべきことからそれないようにしなければなりません。ここの関係は、とても難しいことだと思います。「大学に受かるために勉強する」とか、「いい会社に就職する為」では、その場だけの学習になってしまうかもしれません。
 常に自分の中でのレベルアップと問題意識をもって、学んでいきたいと思いました。
(3回 S.E.)

 私は「やる気」や「意欲」といった分野にはとても関心がある。学習の場に限らず、やる気一つで物事の捉え方が大きく変わるという経験を何度もしたことがあるからだ。それは時に内発的であったり外発的であったりと様々だが、自身の行動に影響を与えていることは確かである。私は今まで、無条件に内発的動機づけを重視すべきだと思っていたが、この本を読むことによって、内発的動機づけだけを強調するのではなくむしろ外発的動機づけを入口として学習に取り組んでいくことが徐々に内発的動機づけへと移行していくこともあるということがわかった。また学習意欲における社会階層・文化的環境の影響も重要な問題なのだと気づくことが出来た。
 現に私は大学で学んでいるわけだが、意欲はあるものの実用志向がまだはっきりとしていない状態である。将来の目標を明確にすることで一層の「やる気」促進を図りたいと思う。
(1回 Y.N.)

「一生涯、勉強!!」と、よく耳にするがまさにその通りだと、本書を読んで思った。私は今、大学生として学習の場と接している。大学に入って、受験勉強から開放され、高校時の毎日の英単語テスト・古文単語テストなど強制された勉強もなく、確実に学習量・学習機会が大幅に減った。今は自分の興味のある授業や論文を読むことが唯一の私の学習である。大学生活も二年目となり、入学した頃の勢い・学ぶ意欲がいつの間にか消えつつあった。そんな時、本書を読んだことで当時の「やる気」が呼び戻された。「はっ!」と目覚めた!!強制された勉強がなくなった今こそ、関心のあることについて調べ・学ぶ機会なんじゃないのかと。二年後には社会に出るのだから、今しか学ぶための十分な時間はないのだと。そう思うと、のんびりすごしていた一年間が、かなりもったいなく感じてやりきれない。本書は、義務教育課程の子供だけでなく、私たち一人一人の勉強や仕事への「やる気」も引き出してくれる。また、「やる気」を高めて維持するためにも、大いに参考になる。
(2回 Y.I.)

 現在私は家庭教師を行っているのだが、なかなかその生徒が勉強に対し意欲的にならない。その学ぶ意欲をどう伸ばしていくかを本書では、詳しく論じていた。ただ単に賞罰を与えるだけでは、かえって逆効果であると述べていた。本書で学んだ、やる気を出させる方法を上手に生かしていきたい。
 さて、やる気を維持させるにはどうしたらよいか。それは人と関わりながら、学んだ方が良いとあったがそのとおりだと思う。お互いにがんばっているからという側面もあれば、批判や反論がエネルギー源になるという側面もあるからだ。
いつか自分の道を振り返ったときに、「これだけのものを残してきたんだ」と思いたい。それは業績だけではなく、人とどういう関係を作ってきたかとか、どれだけ人生を楽しんできたかということも含めてだ。振り返る時のことを考えると、「今、がんばらなくては」という気になる。時間が限られた人生の中でいかに学ぶ意欲を養っていき、多くの人と関わっていくかを、常にアクションを起こしながら、これからも過ごしていきたい。
(2回 K.U.)

最も興味をもったのは、「文化的環境が子どもの学習に影響している可能性がある。」ということである。「親の学歴の違い」については想像がつくが、「収入の違い」がなぜ影響するのかわからなかった。
低所得者層の子どもの家庭では、概して子どもの数が多い。親はいちいちていねいに説 明する習慣も時間もなく、言うことをきかせようとする傾向がある。中産階級の家庭では、子どもからの疑問や主張をていねいに聞く。会話の形式も複文を使い、子どももそういう言い方を促される。
普段のコミュニケーションが違うと、学校での学力にも差がでるのは当然だと思った。 それぞれの学力層にとって、どのような形態の授業が参加しやすいのか、考える必要があ るのだ。
人は年齢を重ねていくうちに、「学習」ということに関しては、「与えられたこと」をす る機会は減る。だから自分の意志で「学びたい」と思わない限り、学習の機会は確実に減る。 自分が興味・関心のあることは進んで学ぼうと思うだろう。いろいろなことに興味・関心を持っていたい。
(3回 M.H.)