天理大学 生涯教育専攻 課題図書

小笠原 祐子 『OLたちの「レジスタンス」― サラリーマンとOLのパワーゲーム ―』

中公新書(1401) / 1998年 / 189頁 / \660 / ISBN:4121014014



●おがさわら・ゆうこ●
1960年、東京生まれ。上智大学外国語学部卒業、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、シカゴ大学大学院留学、博士課程修了、社会学博士(Ph.D.)。現在、江戸川大学社会学部専任講師。専攻はジェンダー及び文化の社会学、組織論、定性調査分析論。
著書:Office Ladies and Salaried Men:Power,Gender,and Work in Japanese Companies(University of California Press)


序章 OLという存在
第1章 「女の敵は女」のウソ
第2章 ゴシップ
第3章 バレンタインデー
第4章 OLの抵抗の行為
第5章 男のストラテジー
終章 ジェンダーの落とし穴(gender trap)

学生の感想文(8)

 確かに、女性に嫌われては仕事ができにくくなるは思うけれど、一貫しては言えないことではないかと思う。例えば、現代のような不景気の時代では、一般職のような事務仕事は人気があり、一度辞めさせられてしまうと、もう同じような仕事に就くことは困難になる。そうなれば、嫌な上司にも気を使い、大きい口もきいていられなくなるのではないだろうか。それに、この本書ではセクハラ問題が成立しなくなってしまう。しかしながら、OLは地位が低いが、権力があるというところはおもしろく、出世をすることをあきらめているからその権力が発生するところが納得できた。もっとこの本のようにOLたちが元気に頑張ってくれれば景気も少しは良くなるだろうと思った。
(3回 S.O.)

 この本を最初に読み始めたころは、こっぱ難しくてあんまり読み進められなかったし、「こんなんどうやって感想書けばいいんじゃい!」と思っていたが、読み進めていくうちに、面白くなってきた。特にバレンタインの話がおもしろかった。何も知らない男は、幸せだなと思う。
現在男女差別は、禁止されているが、この本にも書かれていたが、女性でも部長や課長といった管理職についている人はいるが、やっぱり全体的にみると少ない。管理職への昇進の低さなど、現状はやっぱり残っていると思う。それを逆手に取るというか、それにも負けず頑張っているのが、女って強いな。とさらに思わされた。OLは意外と会社に縛られていないぶんこういったことができるのではないかと思う。逆に今は男のほうがなにかと立場が弱いんじゃないかと思う。
(1回 K.M.)

この本を読んで、納得するところがたくさんあって、おもしろかったです。この前、聞いた話に「男の子なんだから泣いたらダメ!!」っていわれるのは、もともと男の子の方が弱虫だからだと聞きました。そうかんがえると、やっぱり「女は強いなぁ」と思いました。バレンタインデーの話のところでは、もらったチョコレートの数は人気度のバロメーター。そう考えると女の子側の私としては楽しいけど、チョコレートをもらえない男の子にとっては、ただ憂鬱なイヴェントでしかないなぁと思いました。直接文句をいったりできない相手にだからこそできる「ささやかな抵抗」。これで少しでもスッキリするのも女の子の特徴でもあるし、こうゆうインケンなところも、女の子のとくちょうだなぁと思いました。
(1回 K.I.)

OLは、会社の中で不利な扱いを受けている存在ではある。しかし同時に彼女たちは、独自の〈抵抗〉の戦術を用いて、さまざまな権力を行使する主体でもあるのだ、とこの本の中で筆者は述べている。
 それは、ゴシップを通じてとか、イヤなやつの仕事は後回しとかシカトするとかいったことを通じてだっする。こう書くと〈抵抗〉なんていっても、些細で子どもっぽいことに思われるかもしれない。しかし、ゴシップが行き渡れば昇進がだめになるかもしれないし、後回しされたんじゃ仕事もはかどらない、シカトされたら必要な書類や伝票がオフィスのどこにあるかもさだかでない――オフィスという空間を実質的に管理しているのは、ほかでもないOLたちなのです。女は強いと思った。
(1回 Y.A.)

 最近では家事なども分担している夫婦が増加しているようだが、日本では相変わらず男は外、女は内で身の回りのことをするというイメージが強い。そしてそのことを美徳としている感じさえ受ける。その根強いイメージこそが、家庭だけにとどまらず職場にまで影響を与え、世の中を作り出しているのだろうと思う。
 私はこの本を読み、職場での女性の働きを改めて知り、愕然とした。女性は男性よりも能力が劣っていると考えられ、一人前としては認められていない。私が見る限りでは全くその様なことは無いが、女性を一人前の戦力とした場合、結婚や出産等の理由で辞めた時には企業に不利になることが多いということからであろう。これほどに社会に認められていないなら抵抗活動に出てしまう気持ちも分かる。このような抵抗活動が男性に大きく影響を与えている。そして結果的に女性も男性も能力を十分に発揮できない世の中になっていると思う。以上の問題を改善するためにも、人事を多少考える必要があるのではないかと私も思う。それは、少なくとも現段階よりもそれぞれが能力を発揮しやすくなるだろうと思う。
(3回 M.I.)

同じ女性として共感できる部分も多く、とても面白い本でした。客観的にみると女って怖いなと思いました。職場では女性に好かれると仕事がやりやすくなり、逆に嫌われると仕事ができなくなるようです。だから、男性が「女性をうまく使えるようになって一人前」と言っているのが印象的でした。一般事務のOL達は昇進を望んでいないません。どうせ無理だと考えています。また、いざとなれば辞めればいいという考えを持っているので、いやな仕事はいやだと言ってしない事もできる。上司がいやな人であれば、あきらさまにいやな態度をとったりします。女性は会社では昇進のできない弱者ですが、そのことを逆手にとって強気な行動に出ることができます。結果、上司や他の男性社員には大切にされますが、昇進することもありません。武器としてのジェンダーが結局は自分自身を苦しめていることになっているのです。今の時代働く女性も増えてきているし、こういう事を繰り返していては進歩がないと思います。女性は女性の良い部分を、男性は男性の良い部分をお互い出し合って協力すれば良い仕事ができると思います。
(3回 M.K.)

まだ、会社の中で就業したことはないが、この本に書いてあることには、女の私からすればうなずくことは多くあった。職場での男性と女性の社会的制約が違う中で、この本に記されているように女性は実に理性的であると思った。
私が思うに、そのような男女の差がある社会で仕事をしていくには、女性は異性の悪口や態度で表すといった行動がなければ、うまく共存できないだろうと思う。男性もそれを承知しているのだからうまくいっているのである。しかし、これほどまで男性が女性への接し方に日々気を使っていることには驚いた。それが自分の身を守る為の行為であるとしても、女性からすれば嬉しいことである。私が就職したら、この本の内容と実際の現状を比べてみたいと思わせる本であった。
(3回 K.K.)

 この本を読み終え、まず感じたことは「女は強い!」ということだ。企業内でまだまだ根強く残る「女性差別」のような状態を逆手に取り、うまく男性社員を使っている。ゴシップやバレンタインの話は読んでいて思わず笑ってしまった。学生の私でもその状況を想像することができるのだから、現役OLの人ならもっとリアルに感じ取ることができ、また私とは違った受け取り方をするだろうと思う。「OL」と聞くと、上司のお茶を入れたり、コピーをとったり、いわゆる雑務をするイメージばかりが強かったが、その裏側にはこのようなことがあったと知り、「OL」の見方が変わった。「OL」も捨てたものではない。この本はぜひ、男性社員に読んでもらいたい。周りにいる「OL」の考えていることがよくわかるはずだ。
 現在、総合職に就く女性の数も増え、一般職のOLであっても能力査定などで昇進昇格を行う企業が増えてきている。これは、女性にとって喜ばしいことだが、その結果日本の文化とも言うべき「OLと男性社員の関係」が崩れてしまう気がしてなんだか寂しい。できれば時代は変わっても、これはこのまま残していってほしいと思う。
(3回 H.K.)