天理大学 生涯教育専攻 課題図書

アドルフ・ポルトマン(高木正孝訳)  『人間はどこまで動物か ― 新しい人間像のために ―』

岩波新書 (青433) / 1961年 / 254頁 / \700 / ISBN:4004161215



●Adolf Portmann●
1897-。1921年スイス・バーゼル大学卒業。動物学を専攻。バーゼル大学教授、同動物学研究施設(動物園)所長、同大学総長を歴任。1948年から1951年まで「国際大学教授連盟」会長。
●たかぎ・まさたか●
1913−1962年。1936年東京大学文学部哲学科卒業、ベルリン大学理学部心理学科卒業。心理学(遺伝、社会)、人類学専攻。
著書:『パタゴニア探検記』(岩波書店)



1 生まれたての人間(新生児)
2 生後第一年
3 人間の存在様式
4 子宮外の幼少期
5 生後第一年以後の発育
6 老衰
結び

学生の感想文(1)


このような専門的に書かれている書物は、どうも読みにくく理解し難いイメージがあり、取っ付きにくかったが、これは、とても読みやすく、理解しやすいものであった。1961年に発行されたものとは思えないくらい中身が面白く、あらゆる方向から論じられており、納得させられることばかりだった。特に、人間の姿や心理といった面からしても他の哺乳類動物よりも発達している人間が、成熟していない状態でこの世に生まれてくる理由も大変納得するものであった。
論者は、人間の妊娠期間は、かなり短いもの、「早産」だと主張していた。このようなことは考えたこともなく、聞いたこともなかったので、この発想に驚いた。十分な環境と時期を経て、人間は誕生してくるものだと信じていたからだ。今までの考えがくつがえされ、新しい発見であった。
また、卒論のテーマに関係している、絵画や子どもが絵を描く活動についてもいくつか書かれており、参考になった。
(3回 T.O.)