天理大学 生涯教育専攻 課題図書

佐藤 忠男 『映画の真実 ― スクリーンは何を映してきたか ―』

中公新書(1616) / 2001年 / 240頁 / \720 / ISBN:4141016165



●さとう・ただお●
1930年、新潟市に生まれる。1957〜62年、『映画評論』『思想の科学』などの編集に従事。以後、フリーで映画、教育、大衆文化などの評論を行う。現在、日本映画学校校長。
著書:『キネマと砲声』(リブロポート)、『アジア映画』(第三文明)、『日本映画史』(全4巻、岩波書店)、『日本映画の巨匠たち』(全3巻、学陽書房)、『韓国映画の精神』(岩波書店)、『完本小津安二郎の芸術』(朝日文庫)ほか多数。


はじめに
1 「羅生門」再考 ― 自尊心と真実
2 史観と映画
3 映画は歴史をどう作り変えるか
4 恋愛のグローバリゼーションと映画
5 反グローバリゼーションの映画
6 戦争と映画
7 国際理解と映画
8 映画と言語 ― 統合と分化
9 ドキュメンタリーとデモクラシー
10 面白さの覇権と防衛
11 黒澤明とサムライについて

学生の感想文(2)

 私は映画を見ることが大好きである。この本を選んだのも映画に興味があったからである。映画で現実がわかるかどうかはわからない。でも、映画は私たちになにかを伝えてくれるものであってほしいと思う。普段は知ることのできない遠く海外の人々の生活などを身近でわかりやすく教えてくれるのは映画だとおもうからである。
 本文中でも、「近代の日本は多くの面で西洋に学び、西洋化することがすなわち近代化であるという道を歩んできたが、そのもっとも手っ取り早い教材は西洋の映画だった。映画による見よう見真似の影響は広い範囲に及んでいる。なかでもとくに重要なもののひとつは恋愛の肯定と美化だったということができるだろう。」とあった。
 映画は日常ではあまり関わりのない世界を見せてくれる。
(2回 K.O.)

 私が一番印象に残っていることは、「羅生門」の話だ。三人の意見がともに食い違っていてみな自分の立場を正当化しようとしているところだ。こういうところがとても人間らしいと思い、自分にもそういうところがあると思った。事実さえもねじ曲げて自分を正当化するところは人間の悪い部分の象徴だと思った。人間は、自分勝手で嘘つきないきものだとも思った。ここでは、三人ともが自分を正当化して誰が本当のことを言っているのかわからない。一人一人が本当のことを言っているのかもしれないが、まわりの人からしてみれば誰を信じていいのかわからない。このところが今の社会と似ていると思った。なにが本当でなにが嘘か見分ける力が必要だと思った。もちろん人を信用することも大切だとおもうけれど。映画と同じで人間も自分を美化して生きていると思った。映画の美化はいいが、人間の美化はいけないと思った。今より自分勝手になりずうずうしくなるだけと思ったからだ。
映画をいろんな観点からみたおもしろい本だった。
(2回 T.K.)