天理大学 生涯教育専攻 課題図書

山住 正巳 『日本教育小史 ― 近・現代 ―』

岩波新書(黄363) / 1987年 / 334頁 / \780 / ISBN:4004203635



●やまずみ・まさみ●
1931年東京生まれ。1953年東京大学教育学部卒業。教育学専攻。東京都立大学人文学部教授、同総長を経て、現在、同大学名誉教授。
著書:『唱歌教育成立過程の研究』(東京大学出版会)、『教科書』『新しい子育ての知恵をさぐる』(以上、岩波書店)、『教育勅語』『中江藤樹』(朝日新聞社)、『「教育」の同時代史』(平凡社)など。


はじめに ― 過去に目を閉ざしてはならない
1 開国・維新と教育
2 近代化の推進と教育勅語体制
3 軍国主義への加速する試み
4 戦後教育改革
5 教育の保守化と高度経済成長
おわりに ― 柔軟な心を

学生の感想文(3)

第二次世界大戦から、日本の教育はおおきな革新に向かって進んでいった。歴史に名を残す各著名人たちによる、よりよい日本の教育、子どもたちへの教育が熱をあげていった。教育方針は、2度、3度と関わる人物により変わっていく。外国の影響も受け、色々な条約などが生み出されては消えていった。今、現在の教育に変わるまでの方針の変化をこの本は事細かに書いてある。年表のようなものもあり、見やすく、わかりやすい。
 今も教育は大きな問題であり、変える必要があると努力している人たちがいる。やはり、今の教育を理解するためには、下積みである、過去の教育を学ぶべきであると考えられる。教育革新は今も昔も大きな課題である。
(2回 E.F.)

 時代によって教育の方針がこんなに違っていたことに驚き、その時代に合ったさまざまな思惑があったことが分かった。大学でジェンダーについての授業をいくつも受け、女子教育について興味があったので、女子教育の歴史が分かってよかった。政府の方針で女子教育は遅れをとり、現在も就職などでの女子に対する差別がある。今、盛んに女子差別撤廃が叫ばれているが、長い日本の歴史の中でうまれたものなので、そう簡単にはなくならないと思った。また、戦後子どもたちが日本史の勉強を望んでいた、ということに感心した。戦争を反省するためにも歴史の重要性を感じたのであろう。今の子どもたちは教育が義務付けられており、自ら学びたいと思うことがほとんどないように思う。子どもたちが学びたいと思えるような環境を作っていかなければならないと思った。
(3回 M.N.)

この本は日本の教育体制の歴史を真正面から捉えている。ここで私が驚いた点は大きく二つある。一つは日本の教育のは思っていた以上に思想の弾圧が関わっている点である。特に戦時中における思想の統制は長所と短所をともに兼ね備えていた。どちらが正しいかは今においても中教審と臨教審という二つの組織が検討を重ねている。戦後教育の保存・修繕か教育基本法の再検討かこの問題は政党によって主張も違っているので一概に決め付けることはできないであろう。二つは私立の大学のあり方である。江戸時代より地方では自主的に創設しており、このことが識字率の高さ・日本人独自の教育への関心お高さを示している。福沢諭吉や大隈重信・新島襄などが明治時代において国家の方針とは違う教育方針を示しており成果を挙げている歴史がある。教育を語ると十人十色の解釈が成される。そこには思想や信条が大きく含まれていることをこの本を通して学んだ。
(3回 Y.N.)