平成16年度 生涯教育専攻 卒業論文 要旨

 

『人はなぜ化粧をするのか?〜天理大学女子学生の実態をもとに〜』      芥川 幸代

 

 今の時代、ほとんどの女性が化粧をしている。それは、何故なのか?私は、日頃疑問に思っていた。そこで、今回思い切って卒業論文の題材として取り上げて、自分なりに考察してみようと思った。

 まず、文献から化粧というものは日本の女性にとってどんな存在であったのかを拾ってみた。化粧は第一に、自己表現の手段の一つとして用いられているようである。そしてそれは、美人の種類がひとにぎりであった昔から、美人の種類が増え、人々の美意識が高まった現代にかけて変化してきた結果であった。

私は、同じ天理大学に通う女子学生に、この化粧という一つの手段をどのように捉え、実践しているのかをインタビュー形式で聞いてみた。

 結果、美人・不美人関係なく、今の時代では化粧は一種のエチケットであり、女性を自覚するひとつの手段となっていることが分かった。

(指導教員・石飛)

 

 

『手話サークルに関する研究−大阪市の手話サークルを例に−』        安倉 理穂

 

 手話奉仕員養成講座を受講しはじめ、聴覚障害者の方と「手話」というコミュニケーション手段を用いて会話するようになった。その中で、手話はただ単語を覚えて文章にするだけでなく、手話の特徴や手話を使う聴覚障害者についても知る必要があると思い、この論文では、手話や手話を学ぶことについて、また手話を学んでいる人たちについて、手話サークルを中心に研究した。

 第1章では、手話の特徴や手話の歴史について調べた。

 第2章では、大阪の手話サークルのあゆみや、手話奉仕員養成講座と手話サークルの関係について、大阪市の手話サークルを例に考察した。

 第3章では、大阪市の手話サークルのアンケートを実施した。どのような人が、どのような目的で学んでいるのか知ることができた。

 第4章は、結論として、これからの手話サークルについて考え、手話は、本やテレビ、ビデオ等で学ぶだけでなく、直接人と接する中で使うことが大切だと述べた。

 今後も、手話の魅力を再認識し、広い視野を持って、障害者支援活動を続けていこうと思う。

(指導教員・大串)

 

『知的障害者の就労に関する研究』                     池住 慎哉

 

 今日の日本の社会では知的障害者が日常の生活を送るのに多くの問題が生じている。その中には就労という問題がある。そこで、企業や社会福祉施設で知的障害者と関わる方々からインタビューをとらせて頂きそれをもとに研究をすすめた。

 第1章では、まず知的障害者の就労支援・施策の歴史、就労の現状を調べた。障害基礎年金の受給や雇用率制度適用の遅れなどから働かなくてもいい人、労働力になりにくい人という固定観念があるという現実もあった。しかし、知的障害のある人たちは働きたいという強い気持ちを持っているということを述べた。

 第2章では、知的障害者を支援する施設の概要、社会福祉施設・企業の役割、調べた施設・企業・行政をどのようにして知ったかを述べた。

 第3章では、インタビューをもとに知的障害者の就労を支えるために行っている取り組みをまとめそれがどのような意味をもつのかを述べた。

 第4章では、これまでの考察から働くことはやりがいや生きがいを見いだせるものということ、働くことは共に生きることを支えるためのものであるということを結論として述べた。

(指導教員・石飛)

 

 

『放課後児童対策事業〜名古屋市トワイライトスクールを中心として〜』    石川 寛子

 

 平成16年度、文部科学省では、地域や家庭などの教育力の低下や青少年の問題行動の深刻化などを踏まえ、全国の学校で全児童を対象に放課後や休日に,家庭・地域・学校が一体となって取り組む「子どもの居場所づくり新プラン」を政府予算案に盛り込んだ。

 名古屋市では、トワイライトスクールを平成9年度からスタートし、現在約半分の小学校で実施されている。トワイライトスクールでは子どもたちが、異学年交流や体験活動、地域のふれあいなどを行っている。子どもの放課後の居場所の選択肢が増え、保護者も安心して送り出せる場所となっている。

 その中で、放課後に行われているという点で共通する学童保育がトワイライトスクールなどの影響で廃止されていく動きが見られる。トワイライトスクールと学童保育は目的や趣旨が違うのでその特徴を生かし、それぞれの立場から子どもたちと関わっていければ良いと思う。

(指導教員・岡田)

 

 

 

 

『青少年の職業意識に関する一考察  −職場体験学習を中心に−』      石前 みよ

 私たちは働くことで収入を得て豊かな暮らしを送ることができ、さらに精神的な充足を満たすこともできる。しかし、近年では若年失業者が急増し、社会問題となっている。

 その1つの対策として「インターンシップ」や「職場体験学習」が多くのところで実践されるようになってきた。

 この研究では「職場体験学習」を中心に捉えた。1章では日本の雇用状況の移り変わりと現状、子どもの生活の実態や意識について述べた。2章では職場体験学習について、我が国における実施状況と、地元A市B中学校の実態を調査した。3章では、A市B中学校に依頼しアンケート調査結果を中心に、生徒が職場体験中にどんなことを寛治、学んだのか。体験後の意識・行動はどのように変化したのかを明らかにした。終章ではアンケート調査結果に考察を加え、「青少年の職業意識」育成の発展に向けての課題を提言した。

 現在、学生と産業界との間には大きな溝がある。学生には確かな「情報」が得られにくく、なかなか溝を埋めることができない。「職場体験学習」において、感じ・学ぶことは個人によって異なり、多種多様である。また、中学校の時点で行われることもあり、この体験が直接進路の選択になることは、ほとんど無い。しかし、体験によって生徒は確かな「情報」を得た。そこからはこれから生きていく上での知恵となったのではないだろうか。

 「職業意識」の育成に対して、家庭・学校・地域・産業界が、持っている力を十分に発揮し、「機会」や「情報」を提供していくことが必要である。

(指導教員・井戸)

 

『携帯電話からみるコミュニケーション 〜若者のメール利用について〜』  榎 さやか

 

 現代の若者にとって、携帯電話は他者とコミュニケーションをとるための代表的な道具の一つである。携帯電話の使用状況、特にメール利用を中心に取り上げ、若者の実態について研究した。

 第1章では移動体メディアについてまとめ、現在の携帯電話普及までの過程と現状を述べた。第2章、第3章では大学生・高校生にアンケート調査を実施した結果から、浮かび上がってきた若者の行動力の低下や、集団の中での人との関わり方について、考察していった。また、このアンケートでは実際にメールで使う絵文字や、メールの文を書いてもらう項目を作り、メール利用の状況がわかりやすくなるように工夫した。

 この研究を通し感じたことは、携帯電話は「いつでも連絡がとれる」という安心感があるが、そのことが逆に「自分から行動する力」を弱まらせているということである。何もせずに部屋でメールを待つよりも、うまくメールを利用し、自ら外へ行き人と関わるということが最も重要であると感じた。

(指導教員・大串)

『「ひきこもり」に関する研究                                        遠藤 好美

 

 近年「さまざまな要因によって社会的な参加の場面が狭まり、自宅以外での生活が長期にわたって失われている状態」いわゆる『ひきこもり』の人たちが急増している。彼らは、自分を取り巻く環境要因や精神的成長過程におけるなんらかの一時的要因がもたらすストレスを避け、自宅に引きこもることによって、仮の安定を得ようと「必死に引きこもる状態にある」と言われている。その内自傷・自殺につながる行為も少なくない。

 現代は家族によるコミュニケーションがなくなっている。テレビを例えてみても家族に1台しかなかった頃は見たい番組を家族で相談し楽しみを共有していたが、いまの子どもたちは自室にテレビがある子が多い。ささいなコミュニケーションでさえとれなくなってきているのだ。

 そういった今日『家族』の絆が子どもにとって必要であると感じ、家族論を述べた。また天理教においては、夫婦は社会の基盤となる基本的かつ重要な人間関係であり、夫婦の和合からすべての治まりであると教えられる。家庭が治まるために夫婦(両親)は心を合わせていくべきである。家庭が治まるようになりゆとりが生まれてくると、子どもたちも少しずつ変わってくるのではないだろうか。

(指導教員・石飛)

 

 

『食事作法の変遷をたどって』                   小穴 純代

 

 地球上の生物は食べ物を食べ、エネルギーを補給して生きている。しかし、ただ食べるだけではなく、食べる楽しみや食事作法をもつのは人間だけである。では、なぜただ食べることだけではいけないのか?食事作法が生まれた理由は何なのか、考察してみた。

 第一章では、日本・中国・ヨーロッパの作法に焦点をしぼって時代を追って、その起源から現代に至るまでの歴史について調べた。

 第二章では、日本に焦点をしぼって時代と共に暮らしや食卓風景が変化していることに目を向け、食事作法にも影響していることや、家族のコミュニケーションをはかる上で重要な役割を果たしていることを述べた。

 第三章では、近年食に関する問題が急増するなかで、“食育”の施策の重要性とその問題点を提起した。食育に関する問題では、食事作法の要素も加えなければ根本的解決には至らないと、再度食事作法の重要性を述べた。

 今後も時代と共に文化も変容していくなかで、食事作法も変化していくことであろうが、その長い歴史から読み取れるように食事作法の重要性を訴えていきたい。

(指導教員・大串)

 

『絵画の力』                           大野智子

 

 “鑑賞者は絵画を見て何を感じているのか”という疑問が出発点となり、この論文が進んでいった。ネットミュージアムや複製などによりわざわざ本物を見なくても芸術体験はできる。しかし、絵画は求められる存在であり続けている。

 本論での「絵画の力」とは、画中の色、線、モティーフに込められた画家のメッセージ、深い寓意的意味や象徴的意味などであると考える。そこから「見る(鑑賞)」ことから「知る(絵画を読む)」ことが導き出されてくる。

 絵画から受ける感動や衝動などの第一印象を大切にすることが最も重要なことだと思うが、鑑賞者には、画家のメッセージ、美術館という特殊な空間、展示による演出効果、イメージ、キャプションによる知的情報が影響しており、鑑賞者に自らの眼で鑑賞できる力が身に付いている時こそ、これらの要素を楽しみながら行えるのだと考える。

 研究結果として、絵画鑑賞は、見る者の解釈に委ねられているが、それはこれらの要素に流されずに自分なりに鑑賞することが、本当の意味での絵画鑑賞なのではないかという考えに至った。

(指導教員・石飛)

 

 

『生涯スポーツにおける剣道の意義』                貝原 弘基

 

 剣道は小さい子どもから年老いた老人まで一緒に生涯にわたって行えることのできる数少ないスポーツ(武道)である。そう考えると生涯スポーツにおいて剣道はうってつけではないかと思い、この卒業論文で生涯スポーツにおける剣道の意義として調べた。書くにあたり、今までの卒業論文で生涯スポーツについて色々書かれてきたと思うので、今回剣道に重点をおいて調べた。

 第1章では、生涯スポーツの始まりと日本の生涯スポーツの歴史をまとめた。

 第2章では、剣道の歴史と特性を調べた。特性において、分かりやすくするため、身体と精神と二つに分けて調べた。

 第3章では、二人の先生方のインタビューをもとに、生涯スポーツにおける剣道の意義を考えた。その意義とは礼儀であると分かった。剣道は「礼に始まり礼に終わる」といわれる言葉があるくらいどのスポーツよりも礼儀を重んじ、またインタビューで先生が「どの先生に聞いても礼儀であると答えると思う」ともおっしゃられた。私は二人の先生の意見を自分なりにまとめ調べた。

(指導教員・井戸)

 

『人と飲酒に関する研究』                     柏原 隆行

 

 現在、アルコール関連の問題が多く挙げられる中、日本社会において飲酒文化はうまく活用されてきたように思われる。

 そこで本研究では、これまでの飲酒文化を踏まえて、現在の飲酒に関する意識状況をアンケート調査によりまとめて考えてみた。

 第1章では、日本の飲酒文化の歴史を調べ、これまでの飲酒文化の特徴を述べている。また、日本の飲酒文化の現状として、宝酒造が行ったアンケート結果を用いて述べている。

 第2章では、より現状を深く調査するために独自のアンケートを実施し、そのアンケートによる分析を行った。

 この第1章・2章を踏まえて第3章で飲酒についての現状と自分の考えを述べている。

 私はアルコールが社会にまた人間関係に貢献している部分と、逆に害を及ぼす部分との差し引きがプラスであるからこそ、人々に活用されていくのだと思う。今後この関係がマイナスにならない限り、「飲酒」というものは、時代に応じたスタイルで、人々に好まれ、活用されていくことであろう。

(指導教員・石飛)

 

 

『認可保育所、認可外保育所に関する研究』             勝島 利博

 

 現代の社会は、年功序列社会が崩れ、少子化が進み、男性も女性も働かなくてはならなくなっている。その為、家庭が安心して子育てしていける社会が求められている。その基盤となるのが、保育所である。

 まず、第一章ではどのように保育所ができたのか、また現在の保育制度になった経緯、幼稚園と保育所の比較などを記載している。

 第二章では、認可保育所、認可外保育所の違いを文献を参考にするとともに、実際に地元大津市内の認可保育所、認可外保育所を訪れ、実態調査をし、それぞれの長所・短所を浮き彫りにしている。

 第三章では、第二章で記載した事をふまえ、より良い保育所になるにはどうしたら良いのかを記載している。

 (指導教員・大串)

 

 

 

 

『ニュータウンにおける生涯教育の実態と課題に関する研究

        − 泉北ニュータウンを中心として −』                                 加藤 秀樹

 ニュータウンと聞けば、新しい町を想像する。しかしニュータウンとは、何もない場所に人工的に開発され、人が住むために開発された地域なのである。自分が生まれ育った町でもある泉北ニュータウンではどのような生涯教育が展開されているかという疑問から泉北ニュータウンを中心に、実態と課題を調べる事を目的とした。

 この論文を作成するにあたり、泉北ニュータウンの資料だけでなく、昔から泉北ニュータウンに住む人に話を聞いたり、生涯教育施設に話を聞きに行き、実態と課題を自分なりにまとめたところが、努力したところである。

 この研究により、ニュータウンでも高齢化社会という問題が生涯学習事情にも大きく関わっている。地域のニーズにあった生涯学習を展開していくことはもちろんであるが、高齢者や地域住民がもっとも参加しやすいのは、おおきなイベントではなく、身近にできる地域主催イベントである事がわかった。地域が中心となって地域を盛り上げていく事が、理想の生涯学習ではないかという考えに至った。また幅広い年齢層が助け合い、地域が地域のために活動する事が、素晴らしいまちづくりにつながって行くのだと思う。

(指導教員・井戸)

 

『育児雑誌の研究−ひよこクラブを中心に−』               北川 萌子

 

 近年、少子化が問題とされているのになぜ、育児雑誌の売上は伸びていったのか。その時代背景や社会問題に注目して「ひよこクラブ」を中心に研究を行った。

 その結果、育児雑誌が求められるようになった背景には、人間関係の希薄から起こる育児の孤立化が大きな要因であると考えられる。以前は、家庭や地域で行われていた意見交換が形を変え、現在は雑誌上で行われるようになっている。それが、「ひよこクラブ」が取り入れた「読者参加」である。これを取り入れることによって、「ひよこクラブ」は大きく売上を伸ばした。

 「いつでも、誰でも、どこでも」学習できる社会は、私達の理想の社会である。雑誌を購入すれば、情報が得られ誰でも意見を交換し知識を得ることができる。そういった点で「読者参加型」の雑誌は優れている。しかし、人間関係の希薄を埋めるための道具として使われてしまう点は非常に残念なことである。

 結論として、情報化社会の中での生活はこれまでの生活とは大きく変わり、情報を簡単に手に入れられるようになった。便利になった一方で、様々な情報が錯綜し育児不安に陥る人も少なくない。このような情報化社会の中では、自分の意見をしっかりと持ち、情報に流されないようにすることが必要であると思われる。 

(指導教員・岡田)

『メディアが与える子どもへの影響〜乳幼児のテレビ視聴を中心に考える〜』

                                   楠木 宏実

 日本でテレビ放送が開始されて半世紀が過ぎた。今や、テレビやビデオのない家庭を探すほうが難しい。現代の子どもたちは、テレビやビデオだけでなく、パソコンや携帯電話などの様々な電子メディアに取り囲まれて育っていく。このような電子メディアはしばしば養育者の媒介を経ることなく、直接子どもの心に訴えてくる。最近、このような子どもとメディアの関係をめぐって、新しい動きが急速に広がり始めている。教育現場や小児医療の現場から、メディア、特にテレビが乳幼児の心身の発達に及ぼす影響を危惧する声が上がっているのだ。

 そこで、発達過程にある子どもとテレビとの関係に関心を持ち、実際にアンケート調査を行い、乳幼児のテレビ視聴を中心に研究した。

 第1章ではテレビ50年の歴史を振り返り、第2章では子どもとメディアをめぐる最近の様々な調査・研究を取り上げた。第3章では実際に乳幼児をもつ11世帯の家庭を対象に行ったアンケート調査の結果について分析・考察を。そして第4章ではメディアが子どもの心身の発達に与える影響について述べている。

 乳幼児の成長にテレビがどのような影響を及ぼすかという研究は始まったばかりで、まだ科学的な結論は出ていない。現在調査中の研究結果が出る頃には子どもとメディアの関係が浮き彫りになり、新たなメディアとの関係が確立されることだろう。

(指導教員・大串)

 

『日本におけるホスピスの現状と課題 〜ホスピス・緩和ケア病棟の事例をもとに〜』

                                  久保井 和美

 癌やエイズによって末期になり余命6カ月以内と判断された患者が、死に至るまでの残りの日々を有意義に過ごすことのできる「ホスピス」という場所がある。ホスピスでは延命のための治療は行われず、末期患者に表れる苦痛を和らげることを主とし、そのためにさまざまな専門家たちがチームを組んで患者のケアにあたっている。そして、患者が日常生活を送ることができるように援助しているのである。

 この論文では第1章に日本や諸外国のホスピスの歴史を、第2章にはハードウエア・ソフトウエア・ヒューマンウエアの3つの観点から日本のホスピスの現状を述べた。そして、日本のホスピスの現状を実際に見て考察するため聖隷ホスピスではボランティア研修に参加し、耳原総合病院緩和ケア病棟にも数回訪れた。第3章ではこの2つのホスピスの現状と課題を述べ、さらにそこから得たことをもとに日本のホスピスの課題を自分なりに提言してみた。

 日本では、ホスピスが普及し始めてから20数年しか経っておらず、まだ発展段階であり多くの課題を抱えている。しかし、ホスピスの意義が十分果たされるにはホスピス内だけの問題だけではおさまらず、日本の医療全般にも目を向けていかなければならない。

(指導教員・井戸)

『幼保一元化に関する研究』                        小林 愛

 

 就学前の幼児の大半が幼稚園、もしくは、保育所に通っている。こうした状況の中で、近年、「幼保一元化」という問題は、政府を中心に新たな展開をみせつつある。そこで、以前から幼児教育には興味があったということもあり、「幼保一元化」について研究していこうと考えた。

 第1章では、幼稚園・保育所の、創設から今日にいたるまでの歴史を見ていき、第2章では、年代ごとに「幼保一元化」論の歩みを見ていった。

 第3章では、天理市の幼稚園・保育所、また、大阪府交野市や奈良県内にある幼保一元化施設へのインタビューを実施し、それぞれの現状を知ることができた。

 第4章では、、これまでのことをふまえながら、自分なりの「幼保一元化」論を考えていった。

 長年、問題にされてきた「幼保一元化」。規制緩和などからの考えではなく、現場の声を大切にし、諸外国の現状なども勉強しながら、論議してほしいものである。

(指導教員・岡田)

 

 

『お道における、理想の女性像  お道を歩む女性の経験を通して』    古森 亜季

 

 近年、女性の社会進出が進み男女の差はなくなってきているが、忘れてはならない女性ならではの特質、徳分があるはずだ。天理教を信仰する女性、なかでも教会につとめる教会長夫人は、伝道者であり、理の親でもあるので、その特質、徳分を充分に理解し実践していかなければならない立場にある。

 第一章で、お道を歩んだ先人の女性について。第二章では、教会長夫人へアンケート、インタビューを行い、現代のお道を歩む女性の姿を見た。第三章で伝道者としての姿とこれからの夫人の役割とあり方を結論として書いた。

 私は将来、教会につとめることが目標であるためこのテーマを選んだが、「お道を歩む女性はこうあるべきだ」という明確な理想像は見つけることができなかった。それは、一人一人のいんねんや、役割が違うからだと思うが、私の役割はこのテーマについて考えつづけることだと思い、これからも自身のあり方を常に考え、向上していきたい。

(指導教員・井戸)

 

 

 

 

 

『天理教教会の家庭への支援に関する一考察 天理教教会の少年会活動を例として』

                                   鶴岡 薫

 地域の中にある天理教の教会は、教理実践の一つとして地域の人々に対し何らかの支援を支援をしていこうとする立場であり、教会で子ども達を集めて行事をする中での教理の実践として、子ども会的な活動などが各教会で展開されている(天理教ではこれを「少年会活動」として実践している)。筆者は、天理教教会が少年会活動を活発に行っていくことで、児童または児童の家庭にどのような影響を与えていけるのか、また、他にどのようなことが期待できるのか。本研究において筆者は三つの仮説(@教会の少年会活動により児童の健全育成が期待できるA参加する児童の家庭に何らかの良い影響を与えうるB教会内が活性化する)を立て、教会で少年会活動を活発に行っている方々にインタビューを行った。この三つの仮説を検証するために、第一章では現代の家庭問題の現状を通して家庭への支援の必要性を考察、第二章では天理教教会の現状と、実際に少年会活動を行っている教会へのインタビューを通して教会の少年会活動の現状を明らかにし、第三章では、第一章と第二章をふまえて少年会活動の課題とこれからのあり方について自分なりの提言を述べた。

 この少年会活動により、家庭と教会の一つの道がつくので、教会に住む人々はその親の思い方考え方の支えになっていける。よって、しっかりとした支えになれるように、教会の人々は天理教の教理を学び、実践する努力を惜しまないよう、そして、教会に沢山の人々が寄り集うように、積極的な地域への呼びかけを、それぞれの教会がもっと意識を持って進めていくことが必要であると思った。

(指導教員・井戸)

 

『血液事業とボランティア 〜献血事業を中心に〜』           中谷 吉陽

 例えば交通事故などで出血を伴った場合や手術の場合など輸血を必要とする機会は身近にある。その時に使用されているのが献血による血液である。決して他人事ではない問題に対して本論では輸血に必要な血液の確保を100%委ねられている日本赤十字社と献血事業を取り巻く行政、特に奈良県を中心とした歴史・現状・今後を資料やグラフをもとに分析する。さらに世論調査をベースに作成したアンケートを県内で実施し、問題点を見つけ出し改善策を考える。また、献血推進を呼びかける学生団体の活動や血液・輸血に関する知識についても紹介する。

 献血はあくまでボランティアであり誰にも強制することはできない。しかし献血は「人」が主人公である。だから参加する参加しないに関わらず現状を知ることは決して損ではないと私は考える。ボランティアという草の根のような活動とそれを支える仕組みができている現在、それを継続・発展させることが重要ではないだろうか。それは何も難しいことではなく家族や友人などの会話のなかで献血の話が出てくるなどあらゆる人があらゆる形で献血に対して難しく考えず明るく楽しく身近に考えるようになればと思う。

(指導教員・岡田)

『地域密着型スポーツクラブ・堺ブレイザーズについて』        仁木 麻莉子

 

 日本のスポーツは、戦前は従業員の士気高揚・戦後は広告塔という役割で、企業によって発展してきたが、1990年代、不況により多くの企業スポーツクラブが休廃部となった。

 地域密着型スポーツクラブの日本の先駆けはJリーグで、発足10年が経ち軌道にのっているといえる。最近では新しい地域密着型スポーツクラブとしてトップス広島、新潟アルビレックス、モンテディオ山形、堺ブレイザーズが誕生した。

 堺ブレイザーズは、名門新日鐵ブレイザーズの廃部にともない発足した地域密着型スポーツクラブである。新日鐵をメインに地元の企業から出資を受けている。巡回教室や堺市での試合の開催等、バレーボールの普及活動が主な取り組みである。

 卒論では、ファンへのアンケートを実施した。その結果から、ブレイザーズの地域密着を目指した活動が成功であると感じた。

 ブレイザーズは資金面では順調であるといえる。ボランティアを活用する等、ファンサービスに力を入れ、堺市にブレイザーズという文化を根付かせて欲しい。

(指導教員・岡田)

 

 

『バラエティー番組のポストプロダクションに関する研究

     〜コントやお笑い芸をする番組の字幕の効果を中心として〜』

                                   東浦真紀子

 最近、画面に字幕を出す番組が増えた。私は、それらを邪魔に感じることが多い。字幕は本当に必要なのか、またどのような人が必要としているのかを調べたいと思った。本論では「コントやお笑い芸をする番組」の「字幕』について研究をした。

 「笑いに関心がある人」はネタそのものを楽しみたいため、字幕を必要としないが、「笑いに関心がない人」は字幕によっておもしろさが増大すると考えるため、色や形が工夫されている字幕を頻繁に出すことを好むという仮説をたてた。それを基に、アンケート調査とインタビューを行った。インタビューでは、一人ずつネタを見てもらったため、見ている時の反応がわかりやすく、見た後に詳しく話を聞くことができた。

 結果、仮説はほぼ認められた。制作者は多くの人に見てもらえる番組を作るため、現在は、コントやお笑い芸をする番組に字幕が出ている。しかし、本当にお笑いが好きな人はそれを必要としていないことが残念に思う。これから先、現在の字幕の使用を疑問に感じる声が大きくなることを期待したい。

(指導教員・石飛)

 

 

『高等学校の修学旅行に関する研究』                   松本 勇治

 

 平成15年度の高等学校における修学旅行実施率は94(日本修学旅行協会調べ)であり、20年前の同協会の調査においても実施率は90%と、そこには大きな変化は見られない。明治19年の「長途遠足」に端を発した修学旅行は学校行事の一部として位置づけられほとんどの学校で恒例行事となり、社会情勢と共にその形態を変化させ多様化させてきた。

 本論文では、現在の修学旅行の状況・課題などを明らかにし、アンケートや聞き取り調査を行い、どのようにしたらより良い修学旅行が実施されるかを検討していきたい。現在の状況・課題は文献による資料研究と今年の夏に行われた修学旅行シンポジウムに参加することで得た資料とを併せて導いている。また、任意の天理大学生を対象に「大学生の修学旅行に関する意識アンケート」を、高等学校の教師に聞き取り調査を行い論文の資料としている。

 修学旅行が国際化・多様化していく中でも、内容の濃いよりよい修学旅行が実施されるには、生徒への期待を込めた教師側の思いと、それに応える生徒の意識のズレを少なくしていく事が必要だと感じた。

(指導教員・岡田)

 

 

『現代の子どもの習い事事情 〜静岡県沼津市の小学校を中心に〜 』  渡辺 満弓

 

 2000年4月から全国の小中学校でゆとり教育が始まり、その後、週5日制が導入された。子どもたちの学校以外で過ごす時間が増え、家庭や地域などとのふれあいが子ども達にとってこれまで以上に重要になってくる。ゆとり教育が始まり学力低下が叫ばれ、その不安から塾へ通う子もいるだろうし、土曜日が休みになったことにより学校から離れて、家庭や地域などで、自分の好きなこと、スポーツ、音楽、様々な習い事を始めた子もいるだろう。様々な習い事を選択できる現代、子ども達はどのような習い事をしているのか、やっていてどう感じているのかなど小学校高学年の生徒にアンケートをとり、分析・考察した。

 アンケート結果として、習い事を複数している子どもが半数以上である事、学年が上がるにつれて学習系(塾など)の経験率が上がってきている事、習い事をしていて良かった点で友達が増えたと答える子どもが多かった事などがわかった。

 子ども達の放課後、休日は習い事でうまっている。習い事をやっていて忙しく感じている子どももたくさんいるが、その生活が嫌だと答えた子どもはいなかった。忙しさの中に楽しさを見つけて頑張っている子ども達は凄いと思った。

(指導教員・大串)

 

 

『「たばこ」に関する研究 〜喫煙者の立場から〜』           藤原 智史

 

 近年、世の中では、禁煙運動が定着し、喫煙者が少数派になろうとしている。そこで、今回はあくまでも「喫煙者、愛煙家」という立場から「たばこ」が人(喫煙者)の精神面にどのような影響(プラス面)を与えるのか、また、喫煙者と非喫煙者の共存について考察し、研究を進めた。

 第2章では、文献による研究だけではなく、実際にアンケート調査を実施し、身近な意見を自分の目で確認しながら論文を進めた。

 「たばこ」は喫煙者にとっては、気軽に気分転換やストレス解消ができるなど、生活における必須アイテムであり、また、いろんな魅力が詰まった嗜好品である。

 共存に関しても、いたるところで完全禁煙化・分煙化が進められているわりにはまだまだ環境が整っていないのが現状である。しかし、ただひとつ言えることは、「非喫煙者も含めたひとりひとりが「たばこ」について理解し、お互いの意見を聞き入れ、行動に移すことによって、より良い関係、環境を築いていける」ということではないだろうか。

(指導教員・大串)

 

 

『女性の生涯学習の現状と課題−学習の場としての女性センターを事例として−』

若林 淳子

 少子化、高齢化などにより女性のライフスタイルは大きく変化し様々な学習ニーズが生まれている。本論文では女性の生涯学習・男女共同参画社会実現の拠点である女性センターについて取り上げ、その実態と課題を研究した。

 第一章では女性の生涯学習の歴史として、女性の人権確立の歴史、女性のライフサイクルの変化と学習課題について述べている。第二章では女性センターの歴史と概要について述べている。第三章では実際に訪問した女性センターについて比較し、その実態と課題を述べている。第四章では第三章で述べた実態と課題を踏まえた上で、女性センターに今後何が求められるのかについて述べている。

 時代は男女共同参画社会へと進んでいる。しかし女性問題は法規制などで表面的には解決したように見えるが実際には根が深く、未だ解決していないのが現状である。生涯学習を通して女性のエンパワーメントを促進し、男女共同参画社会を実現させるために、女性センターはより活動的に、活性化していく必要がある。

(指導教員・井戸)