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卒業論文執筆を終えて − 感じたこと・思ったこと

生涯教育専攻 4回生 杉村一実

 
 こんにちは。生涯教育専攻の杉村です。早いもので、ついこの間始まったと思った大学生活も、無事終わりを迎えることとなりました。大学を卒業するにあたって、卒業論文(以下卒論)を書かせていただいたのですが、何分初めての経験ゆえ、戸惑うことの連続でした。丁度紀要の原稿を書くことになりましたので、先生方の意見等も参考にした上で、執筆中の楽しかったことや苦労したこと、執筆後にこうすればよかったと気付いたことについて書いてみたいと思います。ちょっとだけ参考にしていただけたら幸いです。それでは、卒論を書いていく過程と同じ順で、気付いたことについて書いていきたいと思います。
 まず、一番初めに、『質問項目作り』についてです。僕のアンケートは、質問項目が多かったこと、本当に調べたいことが定まっていなかった(単位制高校生の生活をメインにするか、単位制高校生の人間関係に絞るか)ために、アンケートの質問項目の量がかなり多く、ポイントを絞れていないものなってしまいました。そのため、回収後の回答用紙に空欄が目立った、結果分析の量が多くなった、後でポイントが絞れなくなったなどの弊害が生じてしまいました。アンケートを行う場合には、最初から相当の準備が必要だと思います。質問項目を作成する前に、参考にする予定の文献すべてに、ざっと目を通しておけばよかった、もっと頻繁に先生方の研究室に足を運べばよかった、と考えています。
 次に『アンケート結果の集計』についてです。僕は、これを全て「手作業」で行いました。アンケート結果の集計を容易にするためのソフトをネット上で無料入手できると知ったのは、卒論執筆後のことでした。試しに使ってみたのですが、かなり使い勝手がいいように感じました。自分で作った質問項目を入力するだけで、アンケート結果の入力フォームが自動作成される優れたソフトで、グラフ作成やクロス表作成まで行ってくれます。担当の先生と相談されて、利用を検討されてはいかがでしょうか。例えば、1票の誤差がクロス集計を行う際に致命的になります。それらを確認し直すには、かなりの時間が掛かります。私の卒論は結論が弱いと指摘されるのですが、その理由の一つとして、アンケートの集計に膨大な時間がかかった、ということがあると思います。
 『結果の分析』についてですが、私は「自分が卒業した単位制高校を題材として扱った」「文献調査結果でどこの単位制高校のシステムや生徒の構成もあまりかわりがなかった」等の理由から、学校訪問は一度でいいと考えていました。ある程度の所まで、それで分析できたのですが、クロス集計の結果で、有意であるにもかかわらず、解釈に苦しむ結果が出てきたときがありました。学校に再訪問することで、それらの問題が解決できたかどうかはわかりませんが、時間の制約でそれができなかったことが、今でも悔やまれます。これに近いことですが、私は、卒論の中で「単位制高校によって学校に復帰した不登校児」については扱えましたが、「単位制高校にも通学できなかった不登校児」については、扱うことが出来ませんでした。このあたりも課題であったと思うので、何度も、そしていくつかの施設を訪問してみることをお勧めします。
 「結論」の書き方についても思いつくことを簡単に触れておきたいと思います。私は、「最後までやりたいことを絞れなかった」「アプローチの方法がわからなかった」などの理由から、うまく結論を書くことができませんでした。「アンケートでいろいろなことを聞き過ぎた」ことなども原因にあるのかもしれません。正直、決定的な解決方法を思いつくかないのですが「自分である程度結論についても考えておき、卒論をしながら訂正をしていくこと」「もっと早い段階で諸先生の研究室に頻繁に足を運ぶこと」などにより解決できたのかもしれません。担当の先生方とも十分相談して見てください。
 最後に『仕上げ』についてですが、卒論提出直前になると、各先生方の研究室は非常に混雑します。そのような混雑を避けるためにも、早めに卒論を仕上げましょう。「一通り仕上げてから指導を仰ぐ」というのでは、指導するほうの負担も大きいし、指導される側としても修正が効かず困ることになると思います。
 ここまで、苦労したことばかり書いてしまいましたので、嬉しかったこと、楽しかったことについて触れておきます。「施設訪問」というと気が引ける方もあるかと思いますが、訪問先の学校の廊下を歩いていて、励ましのメッセージをいただいたり、アンケートの自由記述欄に、丁寧な回答をいただいたり励ましのメッセージをいただいたことが非常に印象に残っています。また訪問先で先生方から貴重なお話を伺えたことは、私にとって非常に勉強になりました。卒業生の訪問ということで、お世話になった先生方も非常に喜んでくださいました。卒業論文そのものについていえば、作成したクロス表から有為と思われる差が出たということで、苦労した甲斐がありました。自分で作成したアンケート結果によって自分の「実感」を証明したり、覆したりする作業は、非常におもしろいもので、楽しい時間を過ごすことができました。アンケートの結果の解釈について、先生方が自分の気付かなかった視点を提示してくださったことも印象に残っています。
 結びにかえて、ここで謝辞を。専攻の諸先生方には、心から感謝しています。遠くから近くから温かく支えてくださいました。様々な相談にも、説得力のある的確なアドバイスを与えてくださいました。また、私の周りの多くの友達にも心から感謝しています。みんなで、いろいろな所に行ったり、いろいろなものを食べたりしました。みんないい奴等で本当に楽しい大学生活を送ることができました。有難うございました。