- 月下の船旅 -

 四季の便り 第3912号 2025年11月21日発行
横浜市金沢区を中心にした折々の自然を報じ、題名に関する筆者の思いを記しています。


季節は11月22日を境にしては立冬(りっとう)から小雪(しょうせつ)に移ります。16日の朝から19日の朝にかけて夜空は晴れて冬の星々が見られました。そして19日はこの秋1番の冷え込みとなりました。

右は18日の未明、東南東の水平線上に昇の月の出の風景です。おりしも月の上空に乙女座のアルファ星であるスピカが見えていました。
下は翌19日の明るい夜明けの風景です。我が家の玄関先の歩道から撮りました。月はいろいろの歌に歌われました。そして歌は世につれて移り変わります。私が思い出す月に絡んだ歌と言えば戦後に流行った「かえり船」でした。歌は終戦後、異国から引き上げる人々の心境を切々と歌っています。

波の背の背に 揺られて揺れて 月の潮路の かえり船
霞む故国よ 小島の沖じゃ 夢もわびしく よみがえる

月下の船旅と言えば、中国は唐の時代の詩人・李白が詠った「峨眉山月の歌」があります。この詩は李白が25歳のころ、故郷の蜀の清渓を離れ、渝州(ゆしゅう)に向かう時の船旅とその時の心境を淡々と詠っています。しかし、故郷を離れるときの心境は複雑で、希望と不安をかかえていたはずです。

峨眉山月半輪の秋
影は平羌江水(へいきょうこうすい)に入って流る
夜、清渓を発して三峡に向かう
君を思えども見えず渝州(ゆしゅう)に下る

下は最近の写真です。写真には大画面がリンクされています。大画面で見ることをお勧めします。花は昔を懐かしく思い出させ、初めて見る花は新しい思い出を作ります。

街角の花の展示コーナー 2025/11/17 並木1-14
車道と歩道が交差する十字路の1角は12街区の金子さんが趣味で維持管理している花の個人の展示場所です。今は大小の菊が見頃を迎えています。大輪の菊は雨や風に弱く、そうした時の前後に鉢を1つ1つ管理棟の軒下に出し入れしています。大変な気遣いと労力です。
ザクロの実の最期の姿 2025/11/17 並木1-15
ザクロの実の最期の姿です。葉は黄葉し、実は割れてどちらも落果寸前の姿です。次の句は秋の日を詠っています。
石榴(ざくろ)裂け 古き家ぬち 日の透る 松村蒼石 1887-1982
春の花苗の植え付け 2025/11/16&17 カゼ場公園、並木1
左は春の花苗を植えた花壇で、右は金子さんに植えてもらった春球根の花壇です。
花壇で大変な作業は土の管理と雑草対策です。
ハゲイトウ 2025/11/19 並木1
7月20日に買った花苗をプランターに植えました。その苗から落ちた種が芽吹いて今のハゲイトウが生まれました。茎は伸び、8月から見頃となりました。その後生長を続け今日に至っています。それも終わりに近づきました。
ハギの最期の彩 2025/11/19 カゼ場公園、並木1
植込みのハギの木はほとんどが葉を落としています。しかし、東端の木は未だ緑を保ち、枝先に最期の花を咲かせていました。
メタセコイアの黄葉 2025/11/19 富岡八幡公園、富岡東4
この公園にはメタセコイアが多く植えられています。木姿はどの木も自然に放置されている時が一番きれいです。それに手を入れて樹形を崩すのは人が成せる悪行です。余程の理由がない限り、木は伐らないようにしましょう。

自然は休むことなく毎日小さく変化しています。1週間も経つと誰の目にも変化が分かります。
変化の様子は実に感動的で素晴らしいものです。貴方も自然観察をしませんか。