- 勿忘草ワスレナグサ -

 季節の便り 第3626号 2024年4月20日発行
横浜市金沢区を中心にした折々の自然を報じ、題名に関する筆者の思いを記しています。


季節は4月19日を境に清明(せいめい)から穀雨(こくう)に移りました。暖かくなりました。ついこの間まで寒いなと思っていたが、いつの間にか感じなくなりました。一体、人はどういう条件でその感覚が変わるのでしょう。気温から見ると15℃がその境だと思います。また環境から見ると桜が咲き、渡り鳥たちが移動を始める頃かと思います。

右は近所で見かけたワスレナグサです。この花についてはヨーロッパに物語があり、それにちなんで日本でもロマンティックな歌が生まれました。それは昭和39年(1964)ころに流行った「忘れな草をあなたに」の歌謡だったと思います。覚えていなかった歌詞を記します。

別れても 別れても 心の奥に
いつまでも いつまでも
憶(おぼ)えておいて ほしいから
幸せ祈る 言葉にそえて
忘れな草を あなたに あなたに

 

誰にでも青春があり、恋があります。お互いに好きなのに、別れなければならない。そんな恋ほど切ない想い出となり心に残ります。その想い出は青春の貴重な宝です。相手の幸せを祈って別れるほど切ないものです。その切なさを歌った歌があると、人は共感しその歌を好きになります。そんな多感な時代が私にもあったことを上の歌は思い出させます。

ワスレナグサにまつわる物語は、騎士道が華やかだった中世のドイツで生まれています。相思相愛の若い二人がドナウ河のほとりを散歩しているとき空色の花を見つけます。騎士はその花を採ろうとしたとき、足を滑らせて川に転落します。重い鎧を着ていたため泳げません。溺れながら“私を忘れないで”と叫びながら花を投げて水中に没します。人々はそれを憐れんで歌が生まれました。現地語の歌を紹介したいと思いましたが、今のヤフーの検索では出てきませんでした。なお、この物語は釜江正己著「花の風物誌」を参照しました。

下は最近の写真です。写真には大画面がリンクされています。大画面で見ることをお勧めします。花は昔を懐かしく思い出させ、初めて見る花は新しい思い出を作ります。

ヒドリガモのつがい 2024/04/12 野鳥観察園、長浜公園
彼らの故郷はまだ遠い! 仲間に遅れたつがいが旅の疲れをとっていました。旅の鳥を見ていると、何故か青い山脈の歌詞を思い出させます。何代にも亘り、親から子へ、子から孫へと旅は引き継がれていきます。
咲き始めたアメリカハナミズキ 2024/04/16 並木1
アメリカ原産の落葉中高木。冬越ししたつぼみが解けて花が開き始めました。白いこの花をみるとカリフォルニア州にあるヨセミテ渓谷でみた野生の花を思い出します。現地名はFlowering Dogwoodです。その名から推察するに極ありふれた木であることがわかります。
なんだろう 2024/04/16 南部市場、鳥浜町
幹から推定して椰子の一種だろうと思います。先端から放射状に無数の鋭い葉が出て、球形になっています。探したのですが名がわかりません。ご存じの方は私に連絡をお願いします。
フジ 2024/04/14 並木1
昔、パリの郊外にあるバルビゾン村を訪れた時、ある民家の垣根に咲いている藤の花を見て感動したことを思い出しました。そこはミレーたちの画家を育てる資産家が経営した絵師の学校があったと聞いた覚えがあります。その記憶も薄れて、思い出す内容もいい加減になりました。
アマドコロ 2024/04/18 並木1
しなった茎に沿って葉脇に白い筒状花をぶら下げて咲かせます。一般に茎の先端は弧を描いて下を向きます。地下茎はヤマイモ科のトコロに似て甘みがあり、砂糖の無い昔は乾燥した根を煎じて滋養、強壮薬として飲んだと伝えられています。
ハルジオン 2024/04/18 富岡東2
北アメリカ原産の野草です。伸びた茎の先が下向きになっていますが、花が咲き始めると写真のようにまっすぐになり、ピンクを帯びた菊状の花が総状花序となり咲きます。

自然は休むことなく毎日小さく変化しています。1週間も経つと誰の目にも変化が分かります。
変化の様子は実に感動的で素晴らしいものです。貴方も自然観察をしませんか。