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#144/200 ちょっと一息、気楽な話題で楽しんで
★タイトル (iti@msi.) 01/ 2/14(Wed.) 22:25 ( 38)
古典について 一久
★内容
韓非子 全4巻 読了。
韓非子といえば、一般には非情な法治主義だといわれている。この種のレッテル張りは、教科書の都合上なされているものが多く、的外れとは言わないまでも、かなり誇張され
たものが多い。
深く物事を考えようとするならば、このようなレッテルにまどわされないように気をつ
けなければならない。そのためには、実際に読んでみるという態度を常に持ち続ける必
要がある。
ドイツの政治学者の言葉に、「政治学に教科書はない。ただ膨大な読書あるのみ」とあ
る。ならば、古典ぐらい読むのは政治について何事かを言おうという人間にとって当然
の義務であろう。
特に、政治論文に頻繁に名前の出てくる古典については目を通しておく必要がある。プ
ラトン、アリストテネス、マキャベリ、韓非子、論語、孫子、マルクス、アダム・スミ
ス、etc...
というのは、これらの古典中の古典は、時としてハッタリや、もしくは論文の書き手自
身が読んだこともないのに名前をカタルというような行為に使われるからである。
実際にその古典を読んだことがないと、その種の虚喝に乗ぜられる恐れがある。例えば、「プラトンはアテネの民主制よりスパルタの君主制を評価していた」というような論文
をしばしば読む機会があると思う。
が、「国家」においてプラトンが述べている理想国家は、女性を男性が共有する国家の
ことなのである。付け加えるならば、女性も男性を共有するのだが。
つまり、勇敢な男性(もしくは女性:プラトンは女性の戦士も認めている)は、美しい
女性(もしくは男性)を自由にできる特権を与えられるべきだ、というのである。
プラトンの語る理想国家とは、このように現代社会の常識とはかけ離れたものである。
アテネよりもスパルタを、ということも、そのような違いを認識した上で読まないと、
うまうまと論者の心理作戦に引っかかることになる。
もっとも、現代社会もまた、力のある人間が好ましい異性を経済力で従わせているの
だと言えないこともない。....だとすれば、今の世の中は、プラトンの理想に近いと
いうことになる。
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