〜*〜 ロビー ちょっと 一息 気楽な話題で楽しんで 〜*〜

ログファイル >> 最新へもどる | 2101-2200 | 2001-2100 | 1901-2000 | 1801-1900 | 1701-1800 | 1601-1700 | 1501-1600 | 1401-1500 | 1301-1400 | 1201-1300 | 1101-1200 | 1001-1100 | 901-1000 | 801-900 | 701-800 | 601-700 | 501-600 | | 401-500 | 201-400 | 1-200
[ 検索(RT) ] [ タイトル一覧 最新 | 最初 ] [ メッセージ(総数: 100) 最新 | 最初 ]

#1561/1600 ちょっと一息、気楽な話題で楽しんで
★タイトル (********)  04/ 3/14(Sun.)  20:59  ( 93)
音響     一久
★内容
テレビの番組で

NHKなので会社名を公表しなかったが、「ONKYOU」の看板
が見えた。潰れかけた会社が立ち直った例として取り上げられてい
た。スピーカーの会社の話である。

経営再建の為に新社長がしたことは、これまでの高音質路線ではな
く、快音質路線への転換であった。

オーディオ機器のカタログには、高音質を示すデータが並んでいる
けれども、あれって「よい音」それ自体を表すのだろうか?

データ再現が完璧であれば「よい音」なのか、数値が高く、細やか
であれば、本当に聞きごこちはいいのか?

そういう疑問をオーディオにぶつけ、結果、消費者が真に望んでい
るものは、カタログデータ上の高音質ではなくて、音の快感を与え
てくれる快音質なのだ、という結論を得たのだそうな。

このことは、写真で考えればよく分るようにおもう。

ニコンが細かな描写に優れていることは知られていたが、だからこ
そ人物写真家などは、そのシャープさを嫌って使わないことがある
とか。逆に、多くの報道カメラマンの愛用品ではあった。

では、快音質はどうやって測るのだろうか。

じつは簡単なことで、技術者と音響担当者とが一緒に様々な音楽を
聞きながら現場で修正を加えていくだけなのである。

こうすることによって、機械技術者の音楽的感性も高めていくこと
が出来る。技術者は単なる技術者の枠を超えて、音の職人へと脱皮
するだろう。

これは、単純だがすばらしい方法である。こういう一見誰でも考え
つくようなアイディアの価値を分るかどうかでその人の想像力の程
も分る。コロンブスの卵というやつだ。

一番すぐれた人は、こういうものに出会うと、激しい嫉妬を覚える。
二番目にすぐれた人は、その価値を認め、発見者を褒め称える。
凡人は、そんなもの誰でも考えつくものだ、とあまり興味を示さな
い。
劣った人は、そんなこと自分は前からそれを知っていた、と思い込
んでしまう。

李斯やホウケンは、優れた人であり過ぎたが為に、自分よりも優れ
た韓非子や孫子を除こうとした。おそらくは、周りからは大した差
があるようには思えなかったはずなのに。優秀すぎる想像力という
ものも、問題があるようだ。

ものづくりの職人や技術者が、消費者と同じ目線にたって現物を試
しながら修正を加えていく。簡単なようだが、実際にはあまり行な
われてこなかったことではないか。

そのために、作り手と買い手の間の意志疎通が破断している製品や
会社や業界が少なくないように思う。

このやり方は、オーディオだけでなく多くの文物に応用可能なもの
でだろう。

カタログデータではなく、実際に使用した人の感性で売る。

万年筆でいえば、「18金」というのはカタログデータで、実際に紙
に書いてみるのは感性の問題である。しかし、現場をみると十分に
それが行なわれているとは言い難い。

丸善でも専門店でも、試し書きは出来るのだが、ボトルインクにペ
ン先をつけて書く形をとる。また、たいていの場合、インクは青で
ある。

しかし、私の経験からいえば、ペン軸からインクを流した場合と、
ボトルインクから供給した場合では、書き味は異なる。

むろん、青と黒では表記された文字の質感も異なるし、洗浄しても
相当期間は色が混じる。

だから本来は、購入希望者が望む状態での試し書きをしなければな
らないのである。インクはペン軸内部から供給する方式で、色もそ
の人が使おうと思っている色で行なわねばならない。

だがそうすると、店の負担は増えることになる。万年筆自体も選ば
れなかったものは洗浄しなおさねばならない。そうすると、手入れ
の大変なものになる。万年筆を傷つけない手入れ方法を考案せねば
ならなくなるだろう。

このように、難題は山積みしているのだが、この方法こそは、作り
手と買い手と、そして商品自体の為にもっともよい方法であること
には変わりがない。

冒頭のスピーカーの話に戻るが、カタログデータではなく、感性に
訴えるものを作ればいいので、機械としては安く作ることができる
のだそうな。高級ではあるが、比較的安価な商品になる。それによ
って、このメーカーは売り上げを飛躍的に伸ばしたという。


[ ( タイトル一覧#1542-1561 | メッセージ#1560 ) 前 << 昇順 >> 次 ( メッセージ#1562 | タイトル一覧#1562-1581 ) ]

番号またはコマンド=