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#2087/2100 ちょっと一息、気楽な話題で楽しんで
★タイトル (********) 07/12/ 4(Tue.) 22:34 ( 77)
寂しき欧米人 一久
★内容
【 寂しき欧米人 】
日本で携帯メールが普及というか乱用されていることを評して、「寂しい日本人」
である故だ、と欧米人は思っているそうだ。それを聞いた日本人が、そうかもしれ
ない、とか思ったそうな。そういう文章を何かで読んだ。
そういえば、以前にも同じような話を読んだ覚えがある。それは電話のパーティ
機能とかいうのが流行ったころのことで、そんなものにハマる人間が多いというこ
とは、日本人が寂しいからだ、と外人が言ったとかいうものだった。
もっとも、同時期の新聞かなんかで、日本に留学中のアメリカ人の高校生がこれに
ハマって、受け入れ家庭の主人に注意されたとき、このお父さんは寂しい人だ、電話
で友達と話をする楽しさを知らないなんて、と思ったとかいう記事も読んだ覚えがあ
る。
さて、そうすると、パーティ機能でおしゃべりすることは、寂しいことなのか、そ
れとも、そんな楽しさを知らないことこそが寂しいことなのか。また、どちらが国際
的で、どちらが「井の中の蛙」なのだろうか。(当時は”国際的”という言葉が大流行
していたのだ)
【 寂しさの正体 】
寂しさとは、孤独のことではなくて、自分の欲する者達が別の人の所にいるという
状態をいう。故に古来、「生きているときには忙しくて会えなかったが、今は瞼を
閉じさえすればいつでも会える」というような言葉が言われてきた。
入院している家人を思うと寂しさを感じるが、故人となった家人を思っても寂しく
はない。ここにいないことが寂しいのではなく、他の場所にいるということが寂しい
のである。
【 欧米は自己アピールの世界 】
一方、欧米は(日本以外はほとんどそうだが)、自己アピールの世界である。
自己アピールの世界において、他人が自分の周りにおらず、余所にいるということは
どういうことを意味するであろうか。それはつまり、「敗残者」であることを認める
ということに他ならない。
自己アピールの世界においては、自分は決して寂しい人間であってはならないのだ。
それは「他人にアピールできていない自分」を認めることになるからである。
それならば、欧米人こそ携帯電話等のツールを活用するはずである、と思うであろう
けれども、そうはいかない。そんなことをすれば、「あいつはそんな物に頼らなけれ
ば話相手もいない寂しいヤツだ」と思われるからである。
言い換えれば、欧米人は、パーティ電話や携帯メールを気兼ねなしに使うことのでき
る日本人にやっかみを覚えているのだろう。彼らが禁じ手としている最新機器の導入
を、なんお躊躇もせずに取り入れてしまう日本人がうらやましくもあり、妬ましくも
あるのだ。
先に挙げたアメリカ人の少女の例は、若さ故の順応性の高さであると言えよう。
【 本音は寂しい欧米人 】
これはドイツの例であるが、大学を去る老教授の見送りをしようと言ったら、そんな
ことはドイツではしない、と言われた日本人大学院生の話を読んだ記憶がある。
しかたがないので、一人だけ見送りに行ったら、教授のほうでも驚いていた(ドイツ
の風習ではないので)が、しかし、泣きそうな顔で款待してくれた、という。
本音を漏らせば、欧米人は寂しい、だが、それを漏らすことは社会的な敗北を意味
する。故に、あっけらかんと寂しさを表示できる日本人が妬ましく、そうはさせじと
「寂しい日本人」と貶めることを無意識的にせざるを得ないのである。
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