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#2073/2100 本会議場 市民の討論広場 メイン会場 *** コメント #2071 ***
★タイトル (********) 07/10/20(Sat.) 21: 6 ( 65)
人間の心の弱さを知れ 一久
★内容
【 日本の精神性 】
欧米に知らしめるべき日本の精神性とは、「人の心の弱さを知る」という
ことであろうと思う。
欧米でも日本でも、究極の目的は真理・真正に達することである。日本流
にいうならば「仁」の実現である。
ではあるが、欧米の「言論自由と討論」によって真理・真正に至ろうとする
方式には、欠点があることを前回指摘した。討論をする者達の力量や社会的
な力が拮抗していなかったならば、また、判定者がどちらの意見でも受容可
能な文化的共有感を持っていなければ、決して真理に辿り着くことはないの
である。
これはつまり、欧米人の思考においては、「人の心の弱さ」に対する認識
が弱いということを示している。言い換えれば、自由な討論を行なえば、正
義を見出すことができる強さを人間は持っている、と信じているとううこと
である。
だが、日本の思想はそうではない。日本の思想においては、人間の心の弱さ
を自覚し、その弱さ故の過ちに陥らないように、自己コントロールすること
を重要視する。これをしないで討論したとしても、決して真理に到達すること
はないのだ、というのが日本流である。
「 大学 」にいわく
心に怒りがあれば、正しい心を保つことはできない。
心に好き嫌いの感情があれば、正しい心を持つことはできない。
心に憂慮する苦しみがあれば、正しい心を持つことはできない。
心ここにあらざれば、見れども見えず、聞けども聞けず、食らえども
その味を知らず。
人はその親愛する相手や物事について、偏り誤った判断をする。
人はその憎悪する相手や物事について、偏り誤った判断をする。
人はその尊敬する相手や物事について、偏り誤った判断をする。
人はその同情する相手や物事について、偏り誤った判断をする。
人はその軽蔑する相手や物事について、偏り誤った判断をする。
好みてその悪を知り、憎みてその美を知るものは天下に少ない。
このように、いくら言葉を尽くして議論しても、双方が相手に対して
特殊な感情を持っている場合には、決して真理に到達することはない
のである。
ゆえに、真理・真正に到達することを欲するのであれば、まずは相手
の言に対して、感情や利害を捨てて耳を傾け、相手の心情を理解する
ことからはじめなければならない。これを「思いやり」という。
思いやりの思想こそが、真理への第一歩なのである。
だが、ここに大きな落し穴がある。思いやりは大事であるが、中庸を
得ない思いやりは、思いやりではない。単に相手に迎合するだけでは、
却って相手を増長させ、甘やかせ、相手も自分も周りの者さえも不幸
にすることになる。日本の「知識人」達の態度はまさにそれであった。
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