以前はCADに関する仕事をしていました。主に地形図の分野で、スキャナーで読み込んだ図面をラスター/ベクター変換して、そのデータをまともなCADデータに仕上げる仕事でした。 最近はCAD検定試験(CAD利用技術者試験)が就職の際の人気資格になっているようですが、私が受験した時にはまだこの試験の知名度は低く、業界の人間でも知らないほうが多かったようです。 (ちなみに、1級、2級とも一発合格でしたが、今となってはもう何も覚えていません。CAD利用技術者試験には3次元CADの試験もできているようですがとても追いつけませんし、CAD利用技術者試験の基礎試験もおぼつかないでしょうね)
CADの仕事からはなれてもう数年たつのですが、 以前からCADのサイトを置いていたNIFTYのメンバーズホームページのサービス終了に伴い、コンテンツを整理縮小してこちらに移設します。(Geocityに置いてあるミラーはそのままですが)
1998年に書いた覚え書きのような物で、現在では実態に合わないことも多いかもしれませんし、 鉄道写真のサイトとは関係の無い内容なのですが、管理人のプロフィールの代わりとしてご覧下さい。




Jw_cadのページ
改良を重ねて進化を続ける2次元汎用CAD。フリーウェア。

CAD利用技術者試験
日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会の認定試験。

Autodesk Master試験
AutoCAD など、オートディスク製品のレベル認定試験。

digital draft
町のCAD屋のホームページ。個人サイト。




添景工房Vol.6
[for CAD植栽計画編]

Win,Macで使用できる
PICT形式植栽データ600点

INAXデータや人物、植物など多数あります。









点と線(ラスター/ベクター変換)

最終更新日:06/15/1998


◎ラスターとベクター

プリンタに出力された文字や画像を虫眼鏡などで拡大して見ると、小さな点々の集まりであることがわかると思います。このような点を集合させて作られた画像を「ラスター」と呼びます。

インターネットなどでもおなじみのJPEGやGIFなどの画像形式もラスターです。

これに対してCADで扱う「ベクター」(あるいは「ベクトル」)は線で構成されています。
ベクター形式のデータ上の線は太さを持ちません。出力時に線の太さを指定します。 したがって、縮小・拡大しても、同じ割合で線の太さまでもが勝手に変ることはありません。 その都度太さを指定してやれば済みます。

それに対してラスターの点は、拡大すれば大きくなってしまいます。 先に書いた「虫眼鏡で見た状態」、あるいは「普通紙コピー機で拡大した状態」と同じです。 斜めの線ならぎざぎざが目立つようになっています。

逆に縮小した場合、プロッタには、出力できる最少の大きさが決まっていますので、例えば、0.18mmがプロッタで描画できる最小の大きさであるならば、それ以下の大きさに縮小された点は出力されないことになります。




◎R/V変換とは

元図面をスキャナで読み込み、CAD上でデジタルデータに変換する場合について考察します。

成果図面が元図面と同じスケール(原寸)で良いのなら、ラスターだけ、あるいはラスター+ベクター混合のハイブリッドCADを使用すれば事はすみます。

ところが、拡大・縮小と、スケール変更を伴う場合、ラスターだけでは対応できないケースができます。このために、ラスターをベクターに換えてやるラスター/ベクター(Raster/Vecter)変換という作業が必要になります。

以下、このホームページではラスター/ベクター変換をR/V変換と省略します。

R/V変換には2通りあります。いわゆる「絵」のように面的なデータであれば、輪郭線を抽出しますが、ここで扱う「図面」であれば、線の中心を抽出することになります。

線の中心を抽出する、と一言で言いましたが、もともとが点の連なりでできた線ですから、そう簡単なものではありません。
元図面上の1本の直線が、変換されたデジタルデータでも1本の直線になるとは限りません。複数の線が近接・交差している場合、決して思い通りには変換されません。人間が手書きする時の常識は、R/V変換ソフトには通用しません。



◎R/V変換の弱点

CAD上で作った図面は、デジタルデータとしての要素を持っています。例えば、1mの線であれば、線そのものが1mの長さの属性を持っているわけです。

ところが既存図面をスキャナで読込み、R/V変換して出来上がったデータにはこの情報は含まれません。1/10の図面であれば1mのデータは図面上では10cmの線になっています。読み取った線が正確に10cmであれば救いようはあるのですが、スキャナの用紙送りなどの誤差、R/V変換時の誤差、もろもろの誤差が累積して、正確な数値は出ません。

線1つだけなら修正はできます。2本でも3本でも修正可能です。でも、修正可能な程度の図面なら、R/V変換せずとも初めから書き直す方がおそらく早いでしょう。

R/V変換でデジタルデータ化する必要があるのは、CAD上で作り直せないほどのデータ量の大きな図面です。このような図面だと修正は不可能です。修正を重ねているうちに、先に修正した箇所が歪んでしまいます。座標系についても同じです。始めに正確な座標を割り当てても、次々と繰り返しているうちに狂いが出ます。そのうちにオペレーターが発狂することになります。

CADデータのコピーなら、デジタル・デジタル変換ですが、R/V変換の場合、「用紙に書かれた図面」というアナログ要素が間に入るので、これはどうしようもないことです。

さらに文字の問題があります。R/V変換によって出力される文字は、当然のことながら文字コードを持っていません。画面上できれいに読めたとしても、それはただの線の集合にすぎません。

文字コードを持っていなければ、異なるフォントに変えるとか、文字の方向を変えるとかの加工は不可能です。

OCR機能を持ったR・V変換ソフトはあるのですが、100万近い金額と、まだ英数のみ対応(日本語不可)で5割程度の認識率では使う気にはなりません。

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