90年代後半のいわゆるTRPG冬の時代はどこへやら、現在の日本のTRPG界は商業作品も活発に出る賑やかな状況が続いています。
相次ぐサプリでD&D4eが進撃を続ける一方、国産では小説にリプレイにDSゲームにと快進撃を続けるSW2.0。同じく戦記リプレイで人気を博しつつアリアンロッドも人気作品となっています。FEAR系作品では新作も出つつ、遊ぶ環境が整った豊かな時代を象徴するように、ダブルクロス3rdが充実したシナリオ群と共に再登場しました。既に未来を予見していたシャドウラン4thから遅れること数年、トーキョーN◎VAも秋の新作サプリで拡張現実の未来に適合しました。
一方R&R誌系列でもダークブレイズやシノビガミのような新作も含め、SRS系が主流のFEARゲーとは対照的に、様々な系統のTRPGが存在を続けています。
そしてもはやライトノベル紹介本にも載るようになった商業リプレイも、引き続きかなりの出版点数が2009年も続いています。ユーザーサイドのオンラインセッションではskypeやどどんとふなどのツールの活用も目立ちました。
既に青い薔薇の生成が可能になった今、あの伝説のブルーローズがシームレスな背景世界を2009〜2010年の現在に合わせて復活。そして……日本のTRPG界にスタイリッシュ旋風を巻き起こしたガンメタル・ブレイズが、まさかのWikipedia引用事件で無念のお休みという冗談のような事件で2009年のTRPG界は終わりを告げました。
2010年以降のTRPG界はどこへ行くのか。インターネットの急激な進化も併せて語るべきでしょう。
思えばネット上のTRPG界の黎明期の頃、僕もいつも相互リンクのメールを頂いては手動でリンクを張り、お返しのメールを書いていました。丁寧なメールや感想を頂いては喜び、ネットの世界は原始的なAタグの繋がりから、蜘蛛の巣のように徐々に広がっていきました。
今から考えるとはてなブックマークを全手動でやっているようなものですが、自分も含めてあの頃はよくやったものだと思います。そうした先駆者たちの作業の結果が、今は各社の検索エンジンのインデックスの中に永久保存されているのですから、あの頃の開拓者たちの苦労も無駄にはなっていないでしょう。
あの頃の僕の感動は今……はてなダイアリーに書いた記事が12時間以内にGoogleに捕捉されることに、iPhoneのセカイカメラを初めて覗いた時の感動に変わりました。
世界は常に変わり続けています。Vistaの失敗を活かしたWindows7が登場、世の中一般で流行ったTwitterは2500万ドルの利益と引換にGoogleやBingの検索で出ることを選びました。遂にGoogleは音声検索も可能になり、β版ながら驚異の性能を見せつけたGoogle日本語入力も脚光を浴びました。
そして……2009年に既に胎動を見せているスマートフォンは、もはや近未来RPGに登場する超高性能端末の夢の多くを既に実現しています。
ガラパゴス携帯の進化が頂点に近づき、もはや国民の誰もが携帯を持ち、端末乗り換えの無益な消耗戦を続けるだけだった日本の通信業界はスマートフォン参入で大きく変わるでしょう。先行して10万種のアプリを揃えるAppleのiPhoneが勝つのか、いよいよ本格的な追撃を始めるGoogle Androidが勝つのか。2010年は間違いなく全面的なスマートフォン戦争が始まるでしょう。GPS、そしてAR(拡張現実)技術を用いたサービスはますます進化し……すべての裏では、我々が意識することのないクラウドの向こう側で、データセンターの中で動き続ける大量のマシン群が世界の情報を集積し、世界を変えようとしています。
我々はそんな現実に、かつてSFの中で語られていた夢の未来が実現しつつある現実に生きています。その中で未だアナログゲームでもあるTRPGはどこへ向かうのか。今年も楽しみつつ見ていこうと思います。
改めまして、本年もよろしくお願い致します。
WebMaster いわしまん 拝
P.S.)
今年はTRPGゲーマーの一般教養っぽいネタをもうひとつ。
2009年にもローランド・エメリッヒ監督のパニック映画『2012』が注目を浴びました。この映画でもマヤ文明がネタに使われています。
神秘の古代文明であるマヤでは、かなり精密な各種の暦が使用されていました。一番長い暦サイクルが西暦に直すと約5125年間になる長期暦。第五の時代である現在のサイクルがもうすぐ終わってしまい、世界滅亡とよく結びつけられているんですね。始まりが紀元前3114年8月13年、終わるのが最有力な説で西暦2012年12月21〜23日と言われています。
世 界 覚 醒 ま で あ と 2 年 !
このマヤ歴のサイクルの終わりと関連付けられた2011年12月24日はTRPGユニバースでは重要な日です。洋ゲーのサイバーパンクの雄『シャドウラン』の背景世界で世界覚醒が始まる時間、魔法と伝説上の存在が地上に帰ってくる第六世界の始まりの時なんですね。
覚醒の兆しは日本から。我らがジャパニーズ・インペリアルの大地を新幹線が進化した弾丸特急が走る2011年末、富士山の麓にグレート・ドラゴンが降臨した時から世界は変容を始める。覚醒まであと2年です! ヽ(´▽`)ノ
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