中華街の名士の営む飯店。
三合会の息の掛かる中華街レッドエリア。その一角で近隣の住人たちで常に賑わっているのがこの赤鶴飯店だ。宿泊施設もあるが、主に1階の大食堂が使われている。
庶民も集まる店なので味の方は高級料理店程はいかないが、料理長が腕を振るった四川風海老炒めや点心に、懐かしい新香港や夏の味を思い出す者も多い。セキュリティは企業ほど厳重ではないが、店内には取引や密談に適した小部屋や囲いも多く配置されている。事実、三合会や黒社会がらみのそうした仕事の話も喧燥の影で時折行われている。
N◎VAの裏社会を巡る覇権争いに敗れた三合会が中華街に撤退し,
勢力を再編している今は、遠くアメリカからやってきた礼儀知らずのギャングたちについて語られていることもある。
何回かこの店に来て紹興酒を飲んでいれば、店員たちが一礼する向こうに一目見て分かる名士が現れ、客たちの間を挨拶して回っている場面に居合わせるだろう。
高級スーツに身を包み、穏やかな笑みを浮かべたトニー・ウェイ――店の実際の営業には一切関わらない彼こそがこの飯店のオーナーである。N◎VA三合会のヴィンセント張の遠い血縁に当たる人物だ。
義理人情に篤く、揉め事の解決や相談事によく応じてくれる彼への信頼は篤く、客にも従業員にも彼に恩義を感じている者は多い。
ホンコンHEAVENで腕利きの殺手として鳴らした彼はN◎VAに渡った後、譲り受けた権利と資金でこの店を開き、今に至っている。拳銃使いとしての腕は今も変わらず、中華街の敵には容赦なく両手の拳銃から銃弾が叩きこまれる。時にはその筋の人間を集め、彼自身が奥の小部屋で内密の話を持ち掛けることもある。
だが、表向きの赤鶴飯店の賑わいも、近隣の人々の日々の営みもはいつも変わることはない。馴染みの客たちが目にするのは、漢字で“殺”と刻まれた弾丸ではなく、湯気を上げる料理の大盛りの皿なのだ。
店の面々に感謝されるようなことがあれば、次からは甘い胡麻団子でもサービスしてくれるかもしれない。
料理長 接客主任 ウェイトレス |
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