When the Fortune rings out
天輪の音が響くとき

〜本格的にニューロエイジに踏み出す方のためのプレイングTips&コラム集〜

天輪の音が響くとき
はじめに】【プレイヤー編】【ルーラー編】

 さて以下ではルーラー向けのプレイングTipsを幾つか述べていこうと思います。
PL編で最後に「究極的な勝利は全員の勝利である」と述べておきながら、本稿の幾つかではRLの勝利についても書いてあります。
 矛盾しているようですが、これはPLに対する勝利ではなく、「アクトを成功させよう」という課題に対する勝利だと思ってくださいませませ。
 それではしばし見ていくことにいたしましょう。殿、いよいよ戦の時が参りましたぞ!


■敵を知り、己を知れば、百戦危うからず。


 RLである貴方はこれより戦に赴こうとしています。敵は自由度の高いN◎VAシステムの下で様々な可能性を持って存在する“キャスト”という輩で、なかなかに厄介です。殿、油断めされるな!
 可能であればプレアクトやプレプレアクトを行って、敵が何者か詳しく知りましょう。間に合わなかったらアクト直前の段階でも構いません。貴方の世界に立ち入らんとしてくるキャストは一体如何なる人物たちなのでしょうか。下で詳しく述べますが、敵が事前に分かれば、それによって対応できることが数多くあります。

 そして‥‥格言になぞらえただけですが、自分も知りましょう。貴方にもプレイスタイルがあり、得意なことや不得意なことがあるでしょう。
 貴方は演技や演出は苦手なんだけどルールはきちんと把握していてかっちり運用できるのかもしれないし、その逆かもしれません。恐らく過去何百回かあったであろうN◎VA滅亡の危機や世界滅亡の危機がまたも迫る大きな話が好きかもしれないし、逆に大風呂敷は苦手でも小さいが情緒のある話なら得意かもしれません。
 銃の口径がどうのとうるさいガンマニアのPLにはついていけなくても、日本剣術を語らせたらちょっと詳しいのかもしれないし、戦闘は苦手でもオカルト関係なら強いのかもしれません。ゲストが持つ26のスタイルの中にも、演じるのが得意なものと不得手なものがあるでしょう。
 だったら得意なところで勝負しましょう。ダブルクロスよろしく領域に誘い込むのです。
 もし貴方がアルファたんのようないかにもヒロインぽい女の子の演技が苦手で、鉄大和艦長のような漢気のある親父の演技を得意としていて、これから遊ぶシナリオにはそんな感じのゲストが両方出てくるなら。ヒロインの子は添え物にして漢同士の対決をメインに持ってきたっていいのですし、本来どちらがメインだったのかはどうせPLには分かりません。


■敵の中の人も知るべし。


 ちょっと受け売りですが――相手のプレイヤーの“色”を知ろうという話です。
 相手のプレイスタイルはどうでしょう。ルールには細かい方でしょうか。それとも演出重視で来るのでしょうか。どんなプレイをするのでしょう。落ち着いた大人のプレイでしょうか。回りの人がついてこれないようなハジケたプレイでしょうか。
 好みは? N◎VAで学園ものやラブコメをやるのが好きでオフィシャルゲストとよく恋仲になってしまったり? あるいは妄想全開の超人キャスト? それともどんな時でも弾は切らさず、ドラゴンには手を出さずエルフは信用しないシャドウランナーを演じるつもりでしょうか。
 N◎VA以外の好みはなんでしょう。キャストのイメージソースはどのへんを原材料としてるっぽいでしょうか。“焚書経典”を取ろうとして18禁ゲームの『月姫』の話をしていますか。それとも“ハードワイヤード”や“ニーモニック”という単語に反応する由緒正しいSFファンですか?

 コンベンションのベテランGMのテクニックで、「セッション前の雑談を大事にする」というのがありますが、これはまさに中の人の色を探っているのです。
 アクトの前の雑談もいいし、相手が普段からのお友達なら改めて相手の好みを思い出すのもいいでしょう。使っているキャストのプロファイルシート集を見せてもらったり、Web上に公開されているキャストデータを偵察すると、その人がどんなプレイするのか、何が好きなのか見えてくることもあります。大抵のキャストにはプレイヤーの趣味が(多くの場合、全開で)詰まっているものです。解析するのにこんな適切な材料はありません。

 ただちょっと話を聞いているだけでも、様々なことが分かります。例えばブラックハウンドの名物コンビを聞いたら誰が返ってくるでしょうか。レイ&メモリか、機動捜査課が脚光を浴びるようになった頃の里見隼人&キーファーか、昔のりうじとその近辺のキャラか、それともゼロ&レンズの最凶コンビが返ってくるかで相手のN◎VA歴も推測できます。
 SSSと聞いてスーパー・シナリオ・サポートを連想するか、影が薄くなりっぱなしのシノハラ・セキュリティ・サービスを連想するかで世代の差も分かります。(ちなみにさらに影が薄いですが、ナンブも一応企業警察です/笑)
 多数ある黒歴史ネタのモスト・デンジャラス・ゾーンである「レンズは何故悪者になったか」「竜二は何故ハウンドを離れたか」あたりを語っていたり、“ヤロール”に入るとXYZを頼んで夜叉ごっこを始める人はかなりの古強者と見て間違いありません。
 ルール運用においても実は傾向があって――今以上にいい加減だった1st〜2nd時代を知っている人ほどルールには大らかで、逆にRやD時代から始めた若い人ほどルールをちゃんと読む傾向にあります。


 アクトを一緒に遊ぶ相手を知っておくことは貴方の助けになります。
 現代戦と同じ――情報を制する者は勝つのです。


■しなりおはよく読むべし。


 さてここから幾つかの項目は貴方の脳内や、いかにも何か書いてありそうなメモを元にRLをする時ではなく、比較的きちんと記述されたシナリオをプレイする場合です。シナリオは同人誌だったりWeb上に公開されていたり、友人が作ったものだったり、あるいはオフィシャルシナリオの場合があるでしょう。

 至極当たり前のことですが、シナリオは事前によく読みましょう。物語の流れは把握し、重要なキーワードを押さえ、どんなイベントがあるのかを把握しましょう。敵ゲストがリサーチ中に神業を使ってくるなら誰がどれを使うのか、クライマックスの対決シーンではどれが残っているのか把握しておくのも役に立ちます。そのシナリオ内でウェブ上のシーンやヴィークル同士の競争などふだん使う頻度が低いルールが必要になりそうで、貴方の記憶があやしいなら、その部分を予め予習しておきましょう。
 戦闘が予想できる敵ゲストの特技コンボを確認しておくのも有用です。N◎VA-Dは スタイル26*15個=約390 の特技があり、『カウンターグロウ』が出た後は26*17個=約442 に増えました。
 RLがルールに詳しかったりそれどころか [ライフパス:AI] 持ちだったら楽でしょうが、人によってはルールに詳しくなかったり覚えるのが難儀な場合もあるでしょう。
 だったらゲストとキャストが持っていて、アクト中に必要になりそうな特技を事前に押さえておけばいいのです。そしてアクト中のカット進行の際は呪文を唱えるようにすらすらとコンボを流していけば、スムーズに進行できます。


■推奨すたいるとは、時に軒先の飾りの如きものなり。


 これは特に市販されているオフィシャルシナリオの場合ですが‥‥シナリオをよく読んでみましょう。推奨されているスタイルはシナリオ内でその神業がひとつ使いどころが用意されているだけだったり、ただ単に導入に有名ゲストが出てくるだけだったり、よく読むとスタイルや所属設定その他を変えても別に問題ない場合が多々あります。(特に上から数えて3、4、5番目辺りに多い)
 そのシナリオの導入のために急いでキャストを作ってもらうとありきたりになったり、ワンパターンに陥ったりすることもあります。

 そんな時こそ貴方の腕の見せ所です。シナリオをアレンジして作り変えて調整してしまいましょう。誰だって急ごしらえよりお気に入りのキャストで遊んだ方が面白いものです。導入と違うキャストが意外性という楽しさをもたらすこともあります。
 また、そのためにシナリオは事前にきちんと読んでおきましょう。


■戦の前にその様をいめぇじしてみよ。


 これも実際のアクトまではまだ間があり、準備ができる場合の話です。
 プレプレアクトは行って、キャストは決定しているでしょうか? PLとキャストが分かっているなら、アクトの様子がちょっとだけでもイメージできるでしょう。もちろん、イメージするのはアクトが盛り上がっている様子です。キャストが決まっているならきっとあの場面でこんな行動を取ってくるだろう、あのプレイヤーのことだからきっとこのゲストがこの台詞を言ったら受けるだろう、などなど‥‥。
 この成功のイメージについてはTRPG『アルシャード』のサプリメント『アメージング・ワールド』のゲームマスターガイドに興味深いことが書いてあります。
 ちょっとイメージしてみて、ここはと思った所は下で触れるアレンジで、どんどん付け加えたり変更したりしましょう。


■貴公のあれんじをこそ加えよ。


 TRPGは遊ぶ人が作り上げるクリエイティヴなものであり、N◎VAもまた然り。アクトはシナリオの通りに自動生成されるものではなく、貴方とPL陣が作り上げるものです。シナリオという原料は同じでも、完成したアクトは毎回どこか必ず違うはずです。
 シナリオはあくまで土台です。このPL面子にこんなことをやったら面白そうだ、受けそうだ、などと思ったら、面白そうなシーンを追加したり台詞を変えたり敵のデータを強くしたり弱くしたり、その他細部をアレンジしたりしてみましょう。登場ゲストの外見などが決められていなかったら、貴方が好きに決めたっていいのです。貴方のお気に入りの有名ゲストがちょい役で出てくるのに、台詞が月並みだったら変えたっていいのです。
 もし事前にキャストが無事に確定しているなら、ゲストの演出を変えたり増やしたりするのはよい考えです。名うての犯罪者も相手が機動捜査課の新米隊員と、隊長がオメガだった頃からの超古参だったら、反応が違うはずです。潜伏先のテラウェア社から姿を現す浄化派の能天使の生き残りも、千早の技術の粋を集めた身長2mの完全義体フルボーグと14歳のハイランダー美少女には、別の台詞を言うかもしれません。
 シナリオに矛盾点やツッコミ所を発見してしまったら、目立たないように貴方の力で隠蔽したり、逆にツッコんで笑いを取りながら堂々と遊ぶことだってできます。(なに、オフィシャルシナリオにいつもあるって?/笑) 洋上の地獄は正しく演出「する」と読み上げてもいいし、開き直って演出「するさせる」してもいいのです。

 時には――こうして自分なりのアレンジを加えた部分が、実際にアクトをやってみると一番受けたりすることもあります。


■いざ鎌倉。準備は万端に整えよ。


 プレアクトやプレプレアクトでの事前の準備がよいアクトに繋がることは、プレイヤー編で述べました。RLにとってもこれは重要です。もちろん何も準備しないでアクトに臨んでうまくいったならそれはそれで良いですが――可能であれば、準備はしておくに越したことはありません。
 今までのノウハウの蓄積から、N◎VA-Dルールブックには様々なことが述べられています。必要な防御系神業を示しておけば死人が防げます。気分を盛り上げるトレーラーやプレアクトテキストもいいですし、アクトの雰囲気に適合したキャストの選定に使えます。
 他にも少しづつ情報を提示すると有用です。PLがこんなキャストを使いたいと言って来たらそのシナリオに似合うかどうかを考えて答えてあげたり、シナリオのムードや、出てくる重要ゲストのことをちょっとずつ教えてあげたりするのもよいでしょう。実際のアクトはスムーズに進みますし、始まる前から気分はいやが上にも高まっていくはずです。


■きゃすとは平等に扱うべし。


 リソース総量の意識については、プレイヤー編の ★リソースを意識しよう でも述べました。セッションコントロールを行うRLにとっては、さらに重要になります。アクトのリソース総量は常に一定、その中で全員が平等に活躍できるように気を使いましょう。

 アクトの前に少し話をしたり、いざ実際のアクトが始まれば様々なことが分かります。落ち着いて一同を見渡してましょう。PLには口数が多かったり声が大きかったり目立ちたがり屋だったり自分のキャストへの陶酔が大きかったり、逆に大人しかったりシャイだったり、回りを冷静に見ていたり人に出番を譲れる度量の広い大人がいたり、実に様々です。
 TRPGは「言ったもん勝ち」というのは明らかな誤りです。プレイヤー全員に平等に出番があるように話を振りましょう。N◎VAに不慣れな人がいたら優先的にサポートしたり、そのキャストだけに重要な情報を渡して他のキャストが聞きに行くように仕向けるのもよい手です。
 シーンプレイヤー制度を利用するのも手です。ルールでは原則、RLの左隣から時計回りに回っていくことになっていますがあれはあくまで原則、オフィシャルのリプレイでもよく順番を変更しています。イベントがあったり誰かがそのシーンに登場してそれなりに活躍したら、次シーンは順番を無視して舞台裏が続いた面子に振ったりするのもよく使われる手です。
 貴方がアクトの中の舞台を想像するときにユメで護法サングラスを掛けているなら、ミラーグラスの視界の片隅にキャスト全員のリソース消費メーターが表示されるような機能があってくれたら便利そうですが――残念なことに現実世界の技術はそこまでは進んでいません。なのでそう厳密に考えることはないのですが、ある程度意識するようにしましょう。
 落ち着いて気持ち一歩下がって、上からアクト全体を見渡すような気持ちでいると見えてきますよ。


■きゃすとに不平等はありえることなり。


 そして、すぐに矛盾したことを言います。(笑)
 世の中の物語では、全ての登場人物が完全に平等ということはほとんどありません。たいてい主役がいて、脇役がいます。トーキョーN◎VAのアクトをただのゲームではなく、アクトを通して物語が作り上げられているのだと捕らえたら、やはりそこには主役と脇役がいます。
 RLサイドで言えばトループやエキストラは脇役で、重要ゲストは主役級でしょう。キャストにも主役と脇役はいます。シナリオ上の問題で危険を冒して大事な人を助けにいくPC1枠が主役で、その姿をカメラに収めつつ同行を決めたPC4枠のトーキーが脇役なのかもしれません。ストリートキッズ出身の元気な若者のキャストが主役で、彼に慕われる落ち着いた大人が脇役なのかもしれません。
 オフィシャルのリプレイ『ナイトブレイク』では、鹿島アスカたちが主役を張って、千早怜呀は脇役だからこそ映える行動をよく取っています。『ナイト・アフター・ナイト』でもレイとクーゲルが物語の中核を疾走していて、ウィスパーと仏の重蔵は脇役ならではの味を出しています。
 これは仕方のないことですし、脇役には脇役の楽しみ方もあります。主人公より脇役が好きだというPLも存在します。キャストは杓子定規に完全に平等にはなりきれなくてもいいのです。
 慣れたプレイヤーだとこれが分かっていて、今日のアクトで果たすべきは脇役の立ち位置と分かれば、自分から脇に控えてくれたり主役を立ててくれたりもします。そういう時は心の中で感謝しつつ、その線でアクトを進めましょう。


■東京新星における戦闘の鉄則:
 きゃすとは豪の者、故にげすとはいずれ敗れるが定め


 さてRLをすればキャストとゲストの間で戦闘が発生し、カット進行の中で肉体戦/精神戦を行うこともよくあるでしょう。
 無限乱数のダイスではなく有限乱数のトランプを用いるN◎VAシステムは、元から偶然性が低くなっています。手札交換の機会もPLの方が圧倒的に多いです。また、カット進行中でもキャストは奥の手として経験点を消費し、成長することができます。ゲストはできないとは書いてありませんが‥‥ふつうはやりません。
 また、ゲストは見られただけでまずペルソナは看破されてしまいます。神業や特技の使用で確実に、後はアクト中に得られた情報や描写から推測されたりして‥‥いずれ、残りのスタイルもばれます。数字に強いプレイヤーなら、そこから制御値を計算して低い所を狙ってくることもしてきます。
 お分かりのようにキャスト側は圧倒的に有利なのです。キャストは強く、ゲストはいずれ負けます。ゲストを強化し過ぎても、アクトが終わらなくなってしまっては意味がありません。決定したデータに従ってせいぜい派手に戦い、そして散っていきましょう。

 緊迫した戦闘はN◎VAの華のひとつであり、多くのシナリオで1回以上用意されています。気分もアクトの雰囲気も変わり、PL陣も身を乗り出してプロットをどうしようか考え始めます。だらけてきた時にリフレッシュするために戦闘を入れたり、逆に休憩して気合を入れ直してからいざクライマックスの戦闘へ、というのも良いでしょう。
 次々に行動宣言と実際の行動を行っていく必要のある戦闘では、RLの采配が重要になってきます。「ではアクションランク3から」「はい次」とRLの方から指していきましょう。
 Detonationではルール的処理の発生する「セットアップ」「クリンナップ」プロセスもRLから明示的に宣言した方がスムーズです。「イニシアチブ」「メイン」「チェック」プロセスの3つは結局はRRと同じようにアクションランク&席順に行動していくだけなので、これは宣言しなくても大丈夫ですね。

 常にキャスト側が先攻になるルールが不公平だと感じたら、2nd時代からハウスルールとしてよく行われていましたが、アクセスカードでランダム性を入れることもできます。すなわち戦闘開始前あるいは各カット開始前に、各PL1枚RL1枚(あるいはゲスト毎に1枚)づつアクセスカードを配り、数字の小さい順に行動していくというものです。敵があまり強くなかったり戦闘にアクセントを持たせたい場合に有用です。
 あるいはサイト【Gray Room】さんにてのハウスルールにありましたが‥‥アクション後もそのカードをアクションランクとして数えられるようにするのも、アクションランク差で一方的に押し切られるパターンが多いと感じたら面白いかもしれません。

 N◎VAシステムでは以前から1カット目が本番前、2カット目でアクションランクが増大して本気を出して戦い合って神業も飛び交って戦闘終了‥‥あるいは場合によっては3カット目まで続くことも、というのがだいたいの戦闘の流れでした。
 Detonation では見切り系弱体化による防御力を計算したピンポイント攻撃のやり易さと、防御に比べて攻撃力を上げる手段が多いことから、勝負が付くのがより早まっています。2カット目でだいたい確実に終わるでしょう。
 また、敵ゲストを自作するなら、バラエティ豊かな特技コンボを揃えすぎないようにしましょう。PLは1人のキャストを操るだけなので楽ですが、RLはその数倍を同時に、さらにアクトの進行ルール裁定その他諸々も一緒に行わなければならないのです。凝りすぎると貴方の大切な脳内CPUの処理速度を超えてしまいます。オフィシャルシナリオをよく読むと、大抵の敵ゲストは高い能力値順の2〜3スートで、同一のコンボが安定して行えるようにデザインされています。

 そしてオンラインアクトの場合。N◎VA以外のシステムにも全て当てはまりますが、戦闘は極力軽くしましょう。ただでさえオフラインのアクトの数倍の時間が掛かるオンラインでは、リソースを消費しすぎる戦闘は鬼門です。最悪神業だけでも勝ててしまうぐらいでも問題ないので、敵ゲストの強さや人数は抑え目にしましょう。位置関係の把握が難しいので至近〜超遠までの距離や範囲攻撃が入り乱れたりする状況も避けた方が良くなります。
 オフィシャルのリプレイを例に挙げると‥‥と書こうとして例がないので自分の場合を例に挙げますが。(てへ) 当サイトの セッション・レポート に掲載されているRR版最後の記念となったオンラインリプレイ『偽りの聖歌』の第三夜。『Scene:15 鋼の軍勢』にて短くも激しいカット進行が行われています。後で流して見直すとたった1カットなのですが、実際のアクトではここだけで2〜3時間掛かっています。オンラインとはそういうものなのです。


 最後に、キャストに見合う強力な敵ゲストは戦闘の必須要素ですが。ゲストの強さを表現するにはデータ以外の方法もあります。すなわち、描写や演出です。
 RLシーンで顔見せをしたりワルいコトをするなら、思いっ切りやってPLたちに印象づけましょう。バッド・ボーイズの強そうな外見を説明したり馬鹿でかい武器を抜いたり、なんだか凄そうな演出を交えてコンボや神業を繰り出しましょう。そして、キャストの行動には大いに反応しましょう。
 戦闘が終わって彼らは倒れ‥‥そしてPLたちにはどうでしょうか。そのゲストたちを強く印象づけることができたでしょうか。それができているなら、戦闘には負けてもRLである貴方は勝利しているのです。‥‥一本!


■場面の描写を行うべし。


 オープニングなりリサーチなりエンディングなり、タロットを示してシーンが始まりました。RLとPLの共同幻想の上にあるそのシーンには、最初は無があるだけです。RLが口を開き、描写をしていくことで‥‥透明だった世界に色が付き、キャストの周りを取り巻く世界が見えてきます。
 時々、RLが何も言わなくても勝手に周りの世界を彩色して、キャストに行動を開始させてくれるPLもいます。
 まだ頼んでいないのに自分から危機に陥ってくれたり、いつの間にか現れた怪しい黒服のお兄さんたちに追いかけられてくれたり、それどころかいつのまにか黒服のお兄さんたちのボスになっていたり、キャストが如何に凄いのかを勝手に演出しだしたり‥‥。
 これらは笑いを取れたり助かる時もありますが、ラルフ医院の分類(嘘)によると超人病やオレカックイー病と呼ばれている病気に掛かってしまっている場合もあるので、一概に良いとは言えません。

 リサーチシーンの場所は問題なければシーンプレイヤーが決定できますが、RLも場面場面でできるだけ周りの描写をしましょう。どんな場所か用意されているイベントシーンでなかったら、別に格好よくなくても口からでまかせだっていいのです。貴方がそうすることでシーンには色彩が生まれ、全てが命を得て動き出します。その方がPLが行動や演出を思いつきやすいですし、人は目の前の状況が分かってから行動するものです。
 ニューロに乗っ取られたロボタクが突っ込んでくれば誰だってよけますし、雑踏の中から占いじじぃが突然話しかけてくれば誰でも反応します。困っている女の子がいるのが分かったら助け‥‥はしなくても、そちらに注意を払うぐらいするでしょう。
 結局リプレイ集『カウンターグロウ』には掲載されませんでしたが、ゲーマーズ・フィールド誌の記事『Carry Out The D』第3回にこの場所の設定の記事が載っています。こうしたものを参考にするのもよいでしょう。

 また、舞台がキャストの自宅やキャストが経営している店だったら、貴方の力は節約してそのPLに説明させたりするのも手です。例えばBARだったらどんな曲が流れていて、どんな内装なのでしょうか。
 そのシーンは舞台裏で手の空いているPLがいたら、エキストラの店員の役をやってもらったりするのも面白いでしょう。うまくいけば、RLは適宜合いの手を入れるだけで、シーンはPL主導で勝手に進行してくれます。


■きゃすとの視点を交えて描写すべし。


 ニューロエイジ世界の人物たちは様々な目で世界を見ています。あるシーンの同じ情景を見ても、エキストラの一般人の目と“ナイトウォッチ”相当の埋め込み式ミラーシェードと、聖母殿の司教たちに祝福を受けた“法具眼”の目では、違うものが見えるはずです。

 どこにでもいそうなクグツの群れが歩いていたら、本当にクグツの群れとしか認識しないキャストも、ライバルのテラウェア社の工作員や天津機関員かと疑う後方処理課員もいるでしょう。
 エキストラの群れの正体が実はマーダー・インクの懲りない面々で、銃を振りかざして暴れ始めたとします。怖いと思う一般人も、絶好のネタだと乗り出すトーキーもいるでしょう。しかし腕に覚えのあるキャストなら、奴らの銃の取り扱い方から、冷静に相手の腕を推し量ったりするかもしれません。社会:北米をハートで取っていて北米連合を母国とするキャストなら、雰囲気から相手が同郷の人間であることに感づくかもしれません。
 適当な知覚系特技や<知覚>の判定をさせたり、あるいはただ単にRLからアレンジしてキャストごとに微妙に違うことを伝えるだけでも、こういう時にちょっと工夫して描写するのはキャストの個性化に役立ちます。曰く、敬虔な真教徒である君には彼らの穢れた魂が見えるようだった、世界の戦場を巡ってきた君には彼らの銃の抜き方がバラバラに見えた、ストリートでやばい場面を何回も乗り越えてきた君にはこれから起こる大惨事がはっきり予想できた、などなどなど‥‥
 例えばそのマーダー・インクの面々の中に一人だけゲストが混じっていて、しかもバサラらしいとしたら。N◎VAに不慣れな人が今日はバサラをやっているなら、「そして君だけには分かるんだけど、彼らの中には炎の元力使いが一人混じっているようだ」とその人だけに(会話自体はPL全員に、ですが)教えてあげれば、「ああ、自分のキャストには特別な力があるんだ!」と実感するきっかけにもなります。他者にはない特別な褒美をその人だけに与えるというのもテクニックです。


■演技の機会を与えるべし。


 しんと静まり返った何もないところから演技をするのは、誰だって恥ずかしいものです。逆に恥ずかしさがひとかけらもなかったら、それはそれで人間として問題があるでしょう。
 RLから、演技の機会を与えましょう。前で述べたように回りの状況を説明したり、ことあるごとにRLから質問したり、話しかけて反応を待つのです。
「今はどんな格好? じゃあ豪華客船上に集まった周りのセレブな客たちから特に浮いてないね」「〜と、スピーチを待つ間にドレスを着た隣の女の人が言ってきたけど、なんて答える?」などと質問形式で問いかけるのがよいでしょう。ロールプレイがしやすい環境を整え、キャラクターの特徴を表現させやすくするのも、RLの仕事です。
 ちなみに『アルシャード』のサプリメント『アメージング・ワールド』にも、同じようなことがテクニックとして載っています。


■技あればそれは披露させるべし。


 キャストの特徴や得意技はなんでしょうか? このTipsを参考にしてみることにして事前に準備したり、ルール通りの直前のプレアクトを行ったりしていれば、RLである貴方はある程度把握しているはずです。
 それらは使う為にあるのです。技があるなら使わせましょう。設定があるなら活かせる場面を作りましょう。お決まりの台詞があるなら言わせる場面を作りましょう。キャストが格好いいハンドルを持っているなら相手にその名を呼ばせましょう。キャストが恥ずかしいハンドルを持っているなら‥‥それもやっぱり呼ばせましょう。使い込まれた愛用の武器やスーパーコンボは戦闘で華麗に発揮してもらいましょう。敵にはその強さを認める台詞を言わせてやりましょう。
(もちろん、たまには趣向を変えて全編ホワイトエリアでいつもの武器が使えないようなアクトというのも、それはそれでありです。)
 神業でも同じことが言えます。アクトの一定のリソースの中で、神業は各自が無条件に3回活躍できる権利なのです。ある神業は使わせましょう。しかし‥‥無理に神業を全部使わせようとすると物語上ぎくしゃくする時もあるので、神業に関しては無理しなくても良いような気もします。

 ゲストはオープニングやリサーチ中の演出シーンで神業を使ってしまい、クライマックスの戦闘ではキャスト側の方が神業が多い状態で対峙させる、というのもシナリオでよく使われる手です。カブトの護衛相手に即死系神業を撃って《難攻不落》を使わせるのに飽きたら、神業でないと防げないような強すぎる通常攻撃で攻めることもできます。


■きゃすとの行動にはよく反応すべし。


 シーンカードを表にすることで、シーンが変わったという事実が周囲に認知されます。登場判定のカードを出して達成値も一緒に宣言することで、ああそのキャストは登場したんだ、という事実が周囲に認知されます。アクトコネクションのキャスト間コネも制御値が抜けるかどうかは実は重要ではなく、ああ自分以外にもこのキャストがこのアクトには存在しているんだ、と認知するところに意味があります。
 キャストの行動全般にこれは当てはまります。RLである貴方が反応することで、キャストの行動が実際に行われたことが認知されるのです。
 積極的に反応しましょう。ゲストに台詞を言ってきたらそれに答えましょう。戦闘中にすごいコンボや神業が炸裂したらゲストが答えたり、無念にもやられてしまったトループの様子を描写しましょう。キャストがちょっと格好いい二つ名を持っているなら、敵のボスにその名を呟かせてやりましょう。「私もその名を聞いたことがある‥‥噂通りのようだな」と。ヒャッホウ!(゚∀゚)
 RLは自信を持ち、冷静であるべきですがこういう時は別です。敵がやられてしまったらたとえ貴方は少しも悔しくなくても、ちょっと悔しがるふりをしましょう。(大抵のPLはそれで喜びます。)

 懐かしのR時代のCDドラマ『ナイフ・エッジ』という作品があります。黒歴史に埋葬されたのか気になる里見君や人気健在の冴子課長と眼鏡っ娘同士としてメモリに人気を奪われるのか気になるキーファー巡査はさておき、この話には、登場した瞬間にお前悪役だろうとツッコミたくなるような吉野大尉という印象深い人物が登場します。
 この大尉殿、最後に退場していくまで、「馬鹿な! ヤタガラスが全滅したというのかッ?」「なにいッ? 弾丸で、弾丸を弾いただとっ?」などなど、トーキョーN◎VAのゲストの鏡のような台詞を多数言ってくれます。(笑) RL経験がある方なら何かこう、しみじみと共感せずにはいられないでしょう。(つか筆者は大好きなんですが、駄目?)
 これは極端な例ですが、キャストの行動にはことあるごとに反応して、盛り立ててあげましょう。


■粗雑かつ繊細に。心技一体、るぅる適用は柔軟にせよ。


 クルード&テクニカルに。N◎VA 2ndのこのルールはウィリアム・ギブスンの有名なSF『記憶屋ジョニィ』の台詞から取られたものでした。
 絶対無敵のRL判断が最上位にあり、存在自体が未完成であるN◎VAシステムのルール解釈は本コンテンツの論ずるところではないですが、この話をちょっと。
 TRPGのルールはどんな時も遵守せねばならない教科書や辞書のようなものではなく、よいセッションを創造するためにあるものです。N◎VAでもまったく同じです。時には破ることも考え、柔軟な考え方でいきましょう。
 ゲームマスタリングの真髄はルールを超えたスピリチュアルな部分にこそ存在します。実際、ルーラー(及びゲームマスター全般)が上手い人はみな一様にルールに細かいのかというと‥‥実はあまり関係なかったり、むしろ逆だったりさえします。
 世の中には、"There are no Rules" (ルールなんてない)を Golden Rule (黄金率)としてルールの一番最初に定めている、実に潔いTRPGさえ存在するのです。(いよいよ審判の時迫る、アメリカのWorld of Darknessシリーズです。)

 例えば、ゲストのスタイルはふつうは見ればペルソナは分かります。(<隠密>で隠すこともできそうですが。) 使用を宣言した神業、特技から残りのスタイルは推理でき、それ以外では正しいルール上は、フェイトの<※スタイル感知>やカゲムシャの<※慧眼>などでしか知ることはできません。
 あるアクトでこんな場面があるとします。物語はいよいよ佳境を迎え、キャストたちはとあるゲスト奪還を誓い、そこへ疑惑をかきたてるBGMが流れる中、ある正体不明の電話が掛かってきました。キャスト陣には光の元力を操るフェイトがいましたが、<※スタイル感知>は持っていませんでした。

電話の主『やあ、君だね、あの女と一緒にいたタタラというのは』
あるキャスト「(静かな怒りを含ませながら)‥‥誰だ」
電話の主『僕かい? そうだね、君たちがアルファと呼ぶ存在と同質の存在、とだけは言っておこうか。それより、急いだ方がいい』
あるキャスト「マリアの居場所を知っているのか?」
RL「ポケットロンのスクリーンに映る電話の相手は銀髪に赤い目をした少年です。そして尊大な少年にはこの街の住人ではないような‥‥何か異質の、別の世界の雰囲気があります」

↑スタイルにハイランダーが入っているとは言っていないが、事実上そう伝えている。PLたちはそうだろうと予想し、実際最後の戦闘でそれが正しいのが分かり、ああ、なるほどやっぱり、と納得する。


 もしも<※スタイル感知>を持ったフェイトがいるなら、ここはこんな風に変えるべきでしょう。

RL「では、彼には独特な雰囲気があるのだが、君には分からない。そうだ、<※スタイル感知>のあるフェイトの誰それならきっと分かるだろうね」

↑こうすればフェイトのキャストに接触するだろうし、そのフェイトの見せ場にもなる。


 この例では「ルール上正しいか」どうかではなく、「キャスト陣の特技の有無」によってルール適用を変えています。プレイした方もおられるでしょう、実はさるシナリオを実際にRLした時の話です。

 他にも例えば‥‥武器持ち込みの携帯判定は実行する機会も多いと思いますが、「ルールに記載されているから」ではなく「シナリオの方向性」に合わせて適用を変えてもよいのです。
 セキュリティが厳重に守られたホワイトエリアでの姿なき暗殺者の探索であれば厳しく武器持ち込みを制限するのは至極もっともですし、何年も捜し求めてきた親友の仇との対決がクライマックスであれば、判定なんて野暮なものはいいから親友が託した一振りの刀ぐらい抜かせてあげましょう。
 実際、すごくテンションが盛り上がってこのままクライマックス突入!という場面では、ルール処理が必要でテンションが盛り下がってしまう可能性のある携帯判定は余計な場合もあります。
 オフィシャルシナリオをよく読むと携帯判定をしなくてよいように、用意されているクライマックスがレッドエリアだったり、敵が予め《不可触》を使って好きに暴れている話もあるでしょう。N◎VA-Dで大幅に強化された<※戦術>もこのあたりを考えているのかもしれませんね。
 こんな風に、ルールは柔軟に適用したっていいのです。


■にゅうろなことはなるべく採用すべし。


 マスタリングのテクニックで、PCが行動しようとした時にできるかどうか微妙なことは「駄目」とは言わずに、たとえダミーでもいいからまずダイスを振らせるなりやらせてみた方がいい、というのがあります。
 N◎VAでも同じです。RLしていて認めた方がいいのか迷うような局面は多いと思いますが、ニューロなことはなるべくやらせましょう。ニューロタングのニューロ、すごい、カッコいいのニューロです。面白そうな技能コンボが出てきたら、厳密なルール解釈はさておきやらせてみましょう。(ルール上の利点より、演出効果を狙ったりした時は特に。)
 [タイミング:セットアップ] の特技をリサーチで使ったり、ちょっとぐらい拡大解釈したりしたっていいのです。ニューロが何か面白い電脳演出をやって大事な情報を入手しようとして――入手の目標値にたった1点届かなかったら、届いたことにして回りを沸かせてもどうせPLには分かりません。特に神業は少し拡大解釈したぐらいの方が盛り上がります。

 「うーん、認めてもいいんだろうか?」と悩んでから「いいよ」と答えることにした後は、一堂を見渡してみましょう。PL陣は満足したり、笑っていたり拍手したり、貴方に大感謝していますか? 受けてその場が盛り上がったりしていますか?
 もしそうなら、RLである貴方の選択は正しいのです。


■“自販機ぷれい”なるものを思い返すの所。


 さてシナリオ中の重要なキーワードや情報を抜き出して一覧にし、社会技能やコネ技能の達成値に応じて得られる情報を列挙しておく、いわゆるSSS形式のシナリオの記述も現在はすっかり一般化しました。
 これも一般化するまでには長く掛かりました。昔は公式シナリオもこの方式ではなかったですし(手に入るならRevisedでないRevolutionを見返してみましょう)、GFコンや各種イベントで使われたシナリオも昔は実験的にこの書式を取り入れたりした所から始まりました。紆余曲折あって、ようやく現在の整ったフォーマットが定番となったのです。
 この方式には旧来のN◎VAファン層からは戸惑いや反発の声もありました。西方のさる有名定番サイト様の地雷原BBSで熱すぎる議論が行われ、あとで危険すぎて埋葬されたこともありました。おっとっとデンジャラスな黒歴史ネタですね。

 改めてSSS形式について考えてみましょう。
 長所は、見ての通り、表舞台で長くなってしまう行動を簡略化することができ、短い時間で情報を配布できることです。
 またシナリオプロットに登場する重要キーワードやら人名やらが多い場合、シナリオ構造が複雑な場合、この形式で列挙しておけば、初めて読むRLもいっそう理解しやすいことがあります。
 書いてある通りにプレイすれば一定の効果が得られますから、RLやPLが初心者の時にも有効でしょう。

 では短所は。まず地道に足で稼ぐ私立探偵のフェイトや、真実を捜し求めるトーキー、情報を生業とするニューロなどなどなど、情報系キャストの立場が弱くなることです。コネや社会技能を持ってさえいれば全てが解決できるなら、スタイルは戦闘系のみでもまったく同じことができてしまいます。「社会技能が多い=その筋に強い」というのは、キャストのコンセプトによってはなんだか変に思える時があります。「みんなが戦えてみんなが情報収集できる」というのはN◎VAの重要な要素であるキャストの個性化を狭めてしまう原因にもなりますね。
 またニューロエイジ世界には現実世界同様、情報を生業としている人たちもいるでしょう。ストリートの情報屋、軍や企業の情報部、あるいは国家の諜報機関員などなどなど。彼らの立場も非常に弱くなってしまいます。リアルに描かれたその筋のスパイ小説などを読めば分かりますが、そういう世界の人たちはとてつもなく優秀です。そうして長年守ってきた北米連合の秘密がたまたま報酬点を上乗せして判定しただけで出た達成値21で何の変哲もない一般人のキャストに分かってしまうなら、ラングレーに秘せられしMID作戦本部の工作官たちはもう転職を考えるかもしれません。
 また、PLが単に技能判定を行ってRLがそれに答えるだけのプレイというのは、まさに自販機プレイでワンパターンになりがちです。キャストが世界の中で行動しているという実感が沸いてきませんし、アドリブや想像力、種々の工夫が入る余地がないので、PL技術/RL技術の向上には実はあまり役立ちません。

 ではこのプレイングTipsコンテンツからのアドバイスはというと――どちらが正しいというものではないのですが、前々項で述べた「ルール適用は柔軟に」をここでも上げておきましょう。
 もし貴方が遊ぼうとしているのがイベント満載の大作シナリオだとしたら。舞台裏なんてなくったってキャストは大忙し、表舞台でたくさんの事件や運命の邂逅を待つゲスト、その他諸々の大冒険が待ち受けているのだとしたら。あるいは今回アクトに掛けられる時間が少ないのだとしたら。
 今こそSSS形式の強みを生かす時です。情報は舞台裏や簡単な技能判定で済ませ、表舞台はとっておきのイベントにこそ使いましょう。

 逆に昔からのシナリオによく見られるような、プロットだけがおおまかに記述してあるシナリオ、イベントが皆無で得られる情報だけが列挙してあるシナリオの場合には。
 SSS形式の短所を補えばいいのです。技能判定だけでなくどうやってその情報を得ようとしているのか、PLに演出させましょう。キャストが馴染みの情報屋に会ったり、BARで集結して情報を交換し合うようなシーンをどんどん作り、ロールプレイさせるようにしましょう。(キャスト/ゲストを問わず、人と会うシーンというのは演技の機会になります。)
 クライマックスで炸裂するであろう銃だけが頼りでリサーチでは役に立たないガンスリンガーには厳しめに、リサーチこそが見せ場でそれらしい演技と共に調査を進めていく老練な私立探偵には情報を多めに渡したりと、キャスト毎に差をつけることもできます。
 PLが情報入手にニューロな方法(すごい、面白いの方のニューロです)を演出したら情報を多めに、ただ単に手札を出すだけなら少なめに与えたりと、差をつけてアクセントを持たせることもできます。


■情報は貴公の意のままに操るべし。


 上の ■“自販機ぷれい”なるものを思い返すの所。 で情報の与え方の話をしたので、もう少し詳しく考えてみましょう。
 N◎VA以外のゲームを問わず、たいていのアクトやセッションではシナリオに必要な情報はだいたい一定です。それは重要な情報もあまり重要でない情報も、時には嘘も混じっています。シナリオに書いてあったりメモに書いてあったりRL(GM)の頭の中にあったり、いずれにせよ仮想的にはひとつの“情報置き場”のようなものがあって、ここに集約されて全部まとめて置いてあるとします。
 アクト中、RLは必要に応じてこの仮想的“情報置き場”から取り出した情報をPLに配っていきます。アクトを解くためにどうしても与えなければいけない情報は優先して配るでしょうし、達成値が高かった社会技能判定や神業の時に与えたり、時には無条件でゲストの口から語らせたりするでしょう。自然な調査の流れから行ったら、一般的な情報を配ってからもっと詳しい情報を配って然るべきでしょう。
 そして与える過程はバラバラであっても最終的にこの“情報置き場”は空っぽに近い状態になって、アクトは無事終了するわけです。
 シナリオの終わり方はたいてい敵を倒したり一種類ないし数種類に決まっていることが多いです。しかし、この途中の情報を与える過程に差があることで、PLたちはあたかも自分たちの選択から無限に物語が分岐していったように錯覚します。
 つまり情報の総量は「一定」であり、アクトを成功させるという課題を最優先目標としているRLである貴方に「都合のいいように」配っていくべきなのです。

 もしも貴方がRL初心者で、情報が列挙されているおなじみSSS形式のシナリオを遊ぼうとしているなら。上のことをちょっと意識してみましょう。PLが判定で出した達成値に、ただ単にそのまま正確に対応して杓子定規に情報を与えていく必要はないのです。
 何も分からないアクトのオープニングは情報は少なめにし、巨大企業の陰謀が徐々に分かってくる中盤からどんどん渡すようにしてもいいのです。シナリオ上分かって貰わないと困る大切な情報はホントは達成値が1点足りてないんだけど教えたり、コネのあるゲストの口から直接語らせても構いません。味気ない判定のみではなく実際に調査をしたり、人と会ったりするシーンでは情報は多めに渡した方がスムーズに進行します。
 そうして“情報置き場”の中がだんだん少なくなり、最終的には空になるように、アクトを進行させている貴方にとって都合のいいように情報は配っていきましょう。
 R時代のイヌの追加特技に舞台裏がLv回判定できる<※聞き込み>という特技がありました。アクトにおける情報の総量がだいたい一定なら、「なんだ、この特技ってあってもなくても結局最後にもらえる量は同じなんじゃん」と思い当たるかもしれません。RLやGM経験の豊富な人はみんなきっと黙ってますが、実はその通りなのです。

 また、上で達成値が足りていない場合にごまかすのもありだと述べました。もしも貴方が本当にRLが初めてで知らないのならば、ここで触れますが――程度の差はあれ、こういうごまかしはマスタリングの立派なテクニックです。RLやGMの仕事には明らかに「PLを騙すこと」も含まれています。ふだん分からないのは、このテクニックを実行しているRL(GM)は自分からは明かさないからです。(そう、奇術師は手品の種を明かさないものです。)
 もちろん、俺は馴れ合いは嫌いだから戦闘は一切ごまかしなしのオープンダイス。死ぬときは死ぬぜ〜なんていうGMポリシーもそれはそれでありです。有限乱数のトランプで乱数要素の少ないN◎VAとは違うダイスを使った無限乱数のゲーム、D&Dなどで生きるか死ぬかのバトルをやるのもそれはそれで似つかわしいでしょう。


 PLには記憶力のよい人も忘れっぽい人もおり、レコードシートその他に丁寧にメモを取る人も取らない人もいます。千差万別ですが、アクト中に与えられた情報というのはえてして混乱していくものです。リプレイ『ナイトブレイク』でもそんな一幕がありましたね。
 はて自分はこの事件についてもう調べたんだっけ、<社会:ストリート>では調べたはずけど<社会:警察>ではどうだったかな? そもそも達成値はどこまで出したんだっけ。あれ、前シーンで判明したあの敵ゲストの情報はMyキャストは知らないけど知ってるのはどのキャストだったっけかな‥‥?? などなど、だいたい不正確さが混じってきます。
「キャストの知っている情報とPLの知っている情報は別である」というのもTRPGの常識としてみんな頭では分かっていますが、実際にはアクトが進むにつれてだんだんあやふやになってきます。
 人間なんてそんなものですし、人は自分に都合のいいように物事を考えるものです。PL陣がそんな誤りをしていたらRLである貴方は特に突っ込む必要はありません。そんなことよりアクトをスムーズに進行させる方を考えましょう。
 実際、RLをしていると、ついさっきも調べたことをPLがもう一度調べてきた、なんてことはしょっちゅう起こります。そんな時は何食わぬ顔をして同じことを教えてあげたり‥‥調査し忘れている大事なことをこっそり付け加えてあげましょう。


 与え方にもテクニックというかコツがあって、場の雰囲気を読むという方法があります。
 たとえばあるアクトがあったとしましょう。イマイチだれてきたリサーチシーン、PL陣はあれほど大事な情報を調べ忘れていました。そこで機動捜査課隊員のキャストが一大決心します。
「分かった! じゃあなけなしの報酬点を全部使って<社会:警察>を21に伸ばす。本部のメモリ巡査に頼んで過去の犯罪記録を全部洗ってもらうぞっ!」
 そして場を見渡せば、PL一同の期待が一心に集まっているのが見て取れる。さあ、この行動は行き詰まった状況の打開策となるのか‥‥??
 ここでRLである貴方だけは不幸な事実を知っているとします。<社会:警察>で分かることは15までしかなくて、とっくにN.I.K.の探偵が調査済みで、あれほどこれ以上の情報はないようだと伝えてあるのにっ‥‥!(でも、こういうことはよく起こるものです。)

 こんな時どう答えたらいいでしょうか。
「駄目だなあ。その情報はないってあれほど言ったじゃん (´-`)y-~~~」
などと答えると、たぶん手札を出したそのPLはそのまま卓に突っ伏してPL陣はよけい意気消沈し、いっそう陰鬱な空気がどんよりと場に満ちるでしょう。しばらく休憩でも取った方がいいかもしれませんね。

 では機転を利かせて、
「なるほど! では不平を言いながらも彼女は君に協力してくれる。炎の剣を持った天使のアイコンはハウンドのデータベースの奥深くにもぐりこむと、なんとそこには‥‥!」
などと言いながら、本当は<社会:企業>で分かるはずでみんな調べるのをうっかり忘れていた超重要情報を伝えたら。
 確実に歓声が上がってその場は盛り上がることでしょう。きっと場の雰囲気もリフレッシュしてクライマックスへの道が開くはずです。
「まったく、いつも人に頼まないでください。救世主はこう仰いました。『汝、自らの記憶にのみ頼ることなかれ』と」などとプンプンしているメモリ巡査の様子でもついでに描写すれば、眼鏡が好きなPLがいたら喜ぶでしょう。(えっ、キーファー巡査の方がいいって?)
 不思議なものでこんな時、「そういえば、なんで<社会:警察>でこんな情報が分かったんだろう」という疑問はPL陣からは出てこないものです。(そう、人間は自分に都合のいいように物事を考えるのです。) 仮に思い当たるPLがいたとしても、きっとRLの意を汲んで黙っていてくれます。

 余談ですが、この場の雰囲気を読む能力というのはTRPGにおいていろんな場面で役に立つことがあります。TRPGやコンベンションの話題でよく語られる、いわゆる困ったちゃんというのはこの能力に欠けている場合がよくありますね。
 TRPG以外の現実世界でも必要になる場面がきっとありますから、ある程度は養っておくとよいでしょう。


■褒美は他者にはないものを与えるべし。


 ■きゃすとの視点を交えて描写すべし。 で他人にはない特別な褒美を与えるのはテクニックだと書きました。これについてもう少しまとめてみましょう。
 キャストを通しアクト内の世界に登場するPLが求めるものは何でしょうか。いろいろあると思いますが、そのひとつは他者にはないもの、独自性だと思います。
 キャラクター作成も同じルールには従いますが、例えメイクアップでも何がしかの工夫を入れて出来上がるのは「他のプレイヤーが作ったのとは違う」キャストです。ハンドアウトが用意されているシナリオなら、そのキャストが受け持つのは「他のキャストとは違う」導入です。
 アクトコネクションでシナリオコネが用意されているなら、そのキャストが受け持つのは「他のキャストは持っていない」人物に対するコネです。実際、そのコネの人物に優先して接触する権利を持つのは、その導入を受け持つキャストであって然るべきでしょう。(よくシナリオに出てくる無力な女の子などヒロインぽいゲストをキャスト全員で取り合うのは、非常に見苦しいアクトになります。)
 シナリオに関わることになる経緯や動機も、たいていは多かれ少なかれ「他のキャストとは違う」ものになります。そのキャストがアクトの中に存在する理由も、「他のキャラクターとは違う」その人物だからということもあるでしょう。
(オフィシャルシナリオでも思い返してみましょう。後方処理課に腕利きは沢山いるはずなのに美沙っちが「これはあなたにしかできない仕事なの」と言ってきたり、冴子たんが機動捜査課の面々からレイたちを選ばずにイヌのキャストを呼んで「その理由は3つあるわ」と言うような場面があるでしょう。)
 つまり、「他者とは違う」ことに何か意味があるわけです。

 アクト中にRLとして話を進めたりキャストを誘導したり褒美を与える時、この「他者と違う」ことを意識してみましょう。実際にできることは、実は他項で既に述べていることとほとんど被っています。
 あるシーンで描写をするとしたら‥‥ ■きゃすとの視点を交えて描写すべし。 で述べましたが、キャストごとに違うことを教えてあげるのはよい考えです。氷の宮の奥深くに秘せられた聖母殿で訓練を受けたからこそ、目の前の敵は魂が穢れた神敵であることを教えてあげればPLは「オレの神父キャストってすごいんだ!」と思います。
 あるシーンで情報を与えているとしたら‥‥■“自販機ぷれい”なるものを思い返すの所。 でも述べましたが、キャストごとに違う情報を与えるのはよい考えです。ニューロのキャストが単に手札を出すだけではなくデータベースをハッキングする面白い描写と共に行動したのなら、達成値ごとの情報項目は無視して情報を多めにあげれば、PLは「ワーイ、ニューロってやっぱり強いんだ!」と思います。(この時、そのキャストだけに分かったこと、そのキャストだからこそ分かったことを強調しましょう。)
 あるイベントシーンで敵が襲ってくるとしたら‥‥ ■技あればそれは披露させるべし。 でも述べましたが、キャストごとにその特徴を生かせる演出を付け加えるのはよい考えです。
 襲撃を防がれたエクストラクションチームのクグツは無言ではなく「ほう、(キャストのハンドルが入る)‥‥ナイトワーデンは腕利きを送り込んだようだ。ではこちらも本気を出さざるを得ませんな」とぞっとするような笑みを浮かべれば、PLはたとえ初心者でも「うお、ボクのカブトって強いのだ?!」と思います。
 オープニングやエンディングその他、キャスト一人ひとりに何か別々のシーンを用意しようと考えているなら‥‥■貴公のあれんじをこそ加えよ。 で述べたようにキャストごとにアレンジを加えるのはよい考えです。
 そのキャストがコネにしている馴染みのゲストが出てきたり、そのキャストの設定が活かせるシーンにしたり、キャストのイメージにぴったりの場所が舞台だったり、キャストがいつも口にするお決まりの台詞がシーンの最後で言えるような場面だったり‥‥こういう工夫をすると、ほぼ100%のPLが確実に喜びます。
 アクトが終わって経験点の計算をする時もそうです。「素晴らしい活躍をした」は「ああ全員つけていいよ」と投げやりに言うのではなく、たとえ嘘が混じってもいいですから、RLである貴方からどう「他者と違って」素晴らしい活躍をしたからチェックしていいのか言えば「言われてみればその通りだ。楽しかったー!」と満足することでしょう。


■たろっとを使ってみるべし。


 20世紀最後の魔術師アレイスター・クロウリーと黄金の夜明け団が遺した通常のタロットと並びが若干異なる大アルカナに、謎の絵師K◎JIが絵を加えたN◎VAのタロット。鋼とサイバーが支配する捻じ曲がった未来世界においてもニューロエイジ世界は運命に支配され、タロットの神秘的な暗示が天輪の行く末を示しています。
 この札が変わっていくことで物語は進み、タロットがめくられるという行為が、参加者の面々にシーンが変ったという事実を認知させ、タロットがシーンにある程度のイメージを与えます。
 何度か絵が変ってきたこのタロットに関しては、皆さんもいつも使っているでしょう。時にはタロットをめくり忘れてしまうこともあるでしょう。筆者も時々やってしまいます。

 キャストのキーとなるタロットがリサーチ以降で出るようにタロットを仕込んでおくのは、以前からRLのテクニックでした。腕に覚えのあるRLはよく見えないところでやっているもので、「おぬし、できるな?」と技ありの人を知る手段にもなっていたのですが。N◎VA-Dからはこれはルールに記載されたテクニックとなりました。実践してみるのもよいでしょう。
 それ以外にも、特定のシーンで特定のタロットが出るように仕込んでおくこともできます。
 アクトは予想通りには進まないものですから、RL自身がマヤカシで<※神託>が使えるのでもない限り、全シーン仕込むのは無理というものです。
 しかし、オープニングだけそのシーンに合うタロットを仕込んでおくだけでも、ずいぶんと雰囲気はそれっぽくなります。キャストを待ち受けるであろう運命に合わせたタロットで、未来を暗示してあげるのもよいでしょう。

 タロットを仕込む場合はアクトの前にこっそりとやらなければいけませんが、大丈夫です。アクト前の大抵のPLはRLのことなんか気にしていません。大抵のPLはレコードシートやアクトシートに書き込んだり、キャスト間コネのスートを思案したり、ルールブックを再確認したりプレアクトの買い物をしたり雑談をしたり、自分のキャストは果たして格好いいだろうか再確認したり、自分のキャストに浸ったりするのに忙しいものです。その隙に準備を整えて、貴方の支配する運命の扉を開いてやりましょう。


■出会い系しぃん演出はほどほどにすべし。


 「久しぶりね」「お久しぶりです」――アクトで幾度となく聞いてきた台詞です。キャスト間コネがあったり、以前のアクトで面識のあるキャスト同士が出会うと、いわゆる出会い系シーンが展開されることもあります。
 綿密なプレプレアクトで過去の経緯の設定が組み上がっていたり、あるいは初対面のキャスト同士でも、そこに素晴らしいドラマが生まれることもあります。しかし、やりすぎるとくどくなる時もありますよという話です。
 キャストが3人なら1対1で出会うパターンは 2+1=3通り あります。三様の出会いがあるのもいいでしょう。キャストが4人なら 3+2+1=6通り、キャストが5人なら 4+3+2+1=10通り あります。6回や10回も運命の邂逅があったらさすがにだれてくるでしょう。
 時にはほどほどにして切り上げるのも手です。またPLの方もアクト後半の出会いなら「そちらは? ほう、君の知り合いなのか」ぐらいのロールプレイで軽く流してしまうこともできます。
 筆者の経験だと、キャストが4人でリサーチ中に2、2でチームを組んで最終的に合流するような流れだったら――過去の設定を交えた本格的に長い出会い系シーンがあるとしたら、それぞれのチームで1回づつ合計2回ぐらいでもいいかなと思います。


■戦に於いては兵に休息を与えよ。


 人間の集中力の限界は1時間だとか1.5時間だとか2時間だとか様々に言われ、学校の授業時間が45分や90分なのはそれを考慮していると言われています。
 TRPGのセッション、そしてN◎VAのアクトもその中では説明や思考、ロールプレイやルール裁定、様々なことが起こり、頭を非常に使うので集中力も磨耗してきます。PL陣の顔を見渡していると集中力の減退の度合いは大体分かります。RLから率先して宣言して、適度に休憩を取りましょう。
 ちょっと古いゲームですが『天羅万象・零』には幾つかの場(≒シーン)からなる「幕」があり、幕と幕の間の幕間には休憩を入れる(30分〜1時間に1回10分程度)となっていました。
 N◎VA-Dでは指定はありませんが、貴方の考えるきりのいいところでちょっと一休みしましょう。オープニングが一通り終わった、リサーチが一周した、重要なイベントがこれから起こる/あるいは終わった、クライマックス突入前、これからエンディング、などなどでしょうか。参加者各自がばらばらに休憩を取るよりは、参加者全員でまとめて休憩した方が効率的です。
 伸びをしたりお菓子を食べたりお手洗いに行ったり(大人なら)一服したり、一休みすれば気分もリフレッシュして、自然と休憩後のシーンには力が入ります。特にクライマックス前など、大事なシーンの前には休憩を取ると有効です。
「次のシーンでは重要なイベントが起こるんだけど、それが終わったら休憩ね」「ではこれが片付いたらいよいよクライマックスですが‥‥その前に休憩を挟みましょう」などと前もって宣言しておくとスムーズです。


■五感に訴えるを考えるの所。


 アクトの中での情報伝達はメインは発声した言葉による聴覚、紙の上の文字や身振り手振りや表情などの視覚で行われます。
 マスタリングの記事やゲームマスターの解説書などでよく取り上げられる話題ですが、人間が感じる五感について訴えられることはないか考えてみましょう。キャストの五感が感じたことを描写するのもよいテクニックですが、ここではプレイヤーの五感について取り上げています。

視覚:
 よく芝居で「演技はオーバーに」と言われますがその通り、表情や身振りから伝わるものもあります。ものの本によると人間の意志疎通の6〜7割は言葉ではなくボディランゲージで伝わるともいいます。
マスタリングが上手い人は見ていると大抵、ちょっと大げさな身振り手振りで状況を説明したり、ゲストの反応を表したりしていることがあります。真似してみましょう。
 大抵の実際のアクトにはプロファイルシートやレコードシート、アクトシート、タロット、トランプ、何冊かのルールブックが揃っているでしょう。我々は視覚を通しそれらを参照します。プレアクトのテキストや必要ならそのシナリオの背景や設定なども、紙に出してPLサイドの場所に置いておくと便利です。フィギュア類で互いの位置をざっと示しあうのも、多人数が入り乱れて戦う戦闘では面白いかもしれません。

 キャストやゲストやその他諸々のイラストがあるのも有用です。絵心があるなら書いたり誰かに書いてもらったり、元の作品や画集なども役に立つでしょう。一枚の絵は時として、何千の言葉よりも多くのものを語ってくれます。
 同人誌やオフィシャルシナリオなどのように体裁が整っているシナリオなら、プレアクト分と一緒に挿絵などもPLサイドに置いておくと役に立ちます。シナリオを広げて他を隠してそこだけ見せるのは手間ですから、あらかじめコピーしてそこだけ切り取るなりしておきましょう。
 人間というのは手元に何かあるとそれで遊ぶものです。RLが放っておいても、やれイラストの中のハイランダーの腹筋がどうだとか眼鏡っ娘+悪魔っ娘+シスターのハイブリッドがどうのとか、どうでもいいことで盛り上がったりしてくれます。
 ルールブック内のパーソナリティからそのシナリオに出てくる人物の分をコピーして渡しておくというのも、役に立ちそうですね。

聴覚:
 RLの声は聴覚を通してPLに伝わります。それ以外に‥‥コンベンションでは迷惑ですから完全に無理でしょうが、環境によってはBGMを流すというアイデアがあります。ルールブックにもちょっと書いてありますね。
 CDラジカセを持ってきて、BGM集として焼いたCDを流すアクトを見たことがありました。頭出しが簡単なMDを使う手もあります。
 古き時代に夢想されたニューロエイジに負けないぐらい現在の現実世界は技術が進んできていますから、テープやMD、CD以外にもUSBフラッシュメモリやハードディスクなど様々なものに音は保存できるでしょう。筆者はCDからノートPC上に保存したソフトからよくBGMを使っています。あるいは場所がカラオケボックスだったりしたら‥‥クライマックスに似合う歌を選曲してみるとか。(アクトそっちのけで歌い出しちゃったりして?)
 BGMで貴方のお気に入りの曲でも流せば、なんとなくリラックスして普段通りの力が出せます。シーンの雰囲気にマッチした曲を流せば‥‥ムードも盛り上がり、自然とロールプレイもしやすくなります。言葉や文章ではなかなかうまく伝えられないものも、音楽は見事に伝えてくれます。演技志向で遊ぶならば、BGMはかなり有用です。
 サイト【トーキョーN◎VA 100の質問】さんで公開されているプレイヤー向け100質の回答をあちこち拝見すると、BGMを使う方は多いようです。よく使うBGMにも割と似通った答えがあるのが興味深いですね。

味覚:
 キャンディス・フーズ・コーポレーションが販売している合成食料を想定した味の食べ物をどうにかして再現したら、そのアクトはリアリティが増すでしょうか?
 購入レート20のスキヤキの味ならともかく、うーん、アクトに味覚で彩りを加えるのは難しそうですね。N◎VA以外を問わず、セッション用にジュースやお菓子やのど飴を用意するのはよくあるでしょう。N◎VAはカードを使いますから、手が汚れないお菓子というのも大事ですね。

嗅覚:
 夜叉が本気で戦った後のストリートのむせ返るような血の匂いをどうにかして再現したら、何か楽しいでしょうか? うーん嗅覚で彩りを加えるのも難しそうですね。
 むかーしですが、東京都内で、各卓にハーブを置いて香りを漂わせているコンベンションを見たことがありました。

触覚:
 重汚染地帯で生まれオーサカM○●Nに攻めてきた、それはそれは恐ろしい異形のヒルコのキモーい手触りをそのまま‥‥と同じネタはやめておいて、触覚も難しそうです。
 しかしN◎VA始めカードを使うTRPGは手触りでそのカードが自分の元にあることを認知していますから、触覚をうまく利用しているとも言えるでしょう。

第六感:
 なんと貴方自身がマヤカシでしたか。すごーいヽ(´▽`)ノ


 これら五感に訴える小道具類は準備や持ち運びが必要なのが難点ですが、アクトに彩りを与えてくれることもあります。


■電脳のばを考えるの所。


 科学の進化は、夢想の速度を超えていました。日本語版は1993年に登場したクラシックな『サイバーパンク2.0.2.0.』に登場する携帯電話やコンピュータの大きさ、性能が現実世界より既に遅れているのは、古参ゲーマーには有名な話です。
 N◎VAでもそうです。かつて1993年に出たツクダ版1stでは情報量単位クリス [Krs.] が用いられ、1クリス=1メモリでポケットロンが3メモリ搭載、標準的なタップが30メモリ搭載でした。1クリスはテキスト1億文字、音声50時間相当となっていたので半角英数字テキストで変換すれば1クリス=現実世界の約 95[MB] 相当、漢字を含んだテキストならその約1/2、Unicodeなら1/3〜1/4程度になります。(おっとその頃はまだUnicodeが存在していないですね。)
 1995年の2ndでは実は目安の記述がなく、1998年のRevolutionではポケットロンが1メモリ搭載、タップは20〜50メモリ程度搭載。1クリスは映像2分音声15分相当で、1クリス=現実世界の約 40[MB] 相当と実は減っていました。2002年のRRでは目安は変わらないものの、 40[MB] という値が消滅。
 そして現実が未来に追いついた2003年、近未来らしさを出すのに苦労し始めたN◎VA-Dでは御存知の通り――メモリやクリスという単位自体も消えて、タップに搭載可能なソフトウェアの数で数えるようになりました。雑に概算すればソフトウェア1つ=RRの10メモリ分ぐらいでしょうか?


 と余談はさておき電脳の時代は現実になりました。これらを活かす方法をちょっと考えてみましょう。
 ビジネスマンがよく使う手帳サイズの PDA(Personal Digital Assistance) は、プレアクトのテキストやトレーラー、その他アクトの情報などを参照するのに便利です。ものによってはキーボードがついたサイズになったり、WindowsCE で動いて Excel も読めるくらいの大きさになるでしょう。あるいは現在の携帯電話も凄い速度で進化し続けていますから、テキストデータの参照に使えるかもしれません。
 それ以上のノートPCサイズになると様々な用途に使えます。シナリオが一式入っていたりいろんな画像も入っていたり、BGMも完備できたりするでしょう。
 ちなみにたいていのRLは立ったりPL一同を見渡したり身を乗り出したりあれこれ姿勢を変えながら、シナリオを読み上げたりアクトを進行させたりしていきます。それを考えると、姿勢を低くして小さな液晶画面とにらめっこしながら進めるよりは‥‥シナリオ自体は紙で出して手元に置いておく方がいいのかな? とも思います。(PDFも進化し続けていますが、まだ紙のドキュメントの方が読み易いですしね。)
 ノートPCならマスタースクリーンの代わりにもなりますね。ちなみに、N◎VAシリーズはマスタースクリーンなしで遊ぶことを想定してデザインしていることを製作陣がはっきり述べていますので、これからもマスタースクリーンがサプリメントとして出ることはないでしょう。
 コンベンションやイベントでも、ノートPCを使う人はよく見かけます。ジツは筆者はあまりモバイルしないので、モバイラーの方の意見も伺いたいところです。

 ではハードウェアは終わってソフトウェアでは‥‥。プロファイルシート類もPDFで配布される時代になりました。ファンサイドで作った方もいます。
 またJavaScript で動的に変化するメイクアップ作成 HTML、HTML 吐き出し式のキャストプロファイル、Excel の Macro を利用したプロファイルシートやメイキングツール、IME 用の辞書などなど、主に2chを通して流れたものも多いですが、アンオフィシャルながらN◎VA-Dが出てから様々なツールが生まれました。この辺りも利用できます。
 R時代も手製のアクトシート類をWeb上で公開しているサイトがありました。このあたりは色々と自作や工夫もできますね。例えば筆者は自分がRLする時は、Excelの手製のキャスト管理シートをよく使います。

〜電脳のばツールのリンク集〜


■武芸者なれば他より学ぶべし。


 貴方がここはひとつ初めてRLをしてみようと思い立ったら、その道はなにも孤独ではなく、先人も仲間も大勢います。
 身近にマスタリングが上手いと思う人がいたら観察したり技を盗むのも手です。コンベンションやイベントなりOFF会なりオフィシャルコンベなりで、技術のある人を見て参考にすることもできます。
 最近はあまり見かけなくなりましたが――TRPG関係書籍でもマスタリング関係を扱った本は過去けっこう出版されてきました。大きいゲームショップや古本屋に行けばまだ見つかるかもしれません。
 TRPG雑誌でも過去、マスタリング関係の記事は色々と取り上げられてきました。ただ、雑誌は時期を逃すとなかなか手に入らないのが難点です。
(例えばリプレイ『振り向けば死』のオリジナルであるサイバーパンク2.0.2.0版リプレイが載った伝説のRPGマガジン――1992年2月号と判明しました!――を今でも持ってる方はいらっしゃるでしょうか。筆者もさすがに持ってません!)

 と昔話はさておきTRPGの現在の雑誌では。『Role&Roll』誌vol.3 では特集で初心者向けの『テーブルトークRPGを遊ぼう!』という特集がありました。vol.4では『はじめてのゲームマスター』がありましたから、これからもGM向けの記事が続いてくれそうです。
 連載ではゲームマスター講座として朱鷺田裕介氏の『こんなゲームがしてみたい!』があります。(余談ですが同氏が執筆した誌上記事や書籍には、マスタリングの参考になるものが多数あります。個人的にはかなりリスペクトです。)
 『RPGamer』は‥‥元から大人向けというか自分をロートルと言ってしまうような世代向け(ゴホゴホゴホ)なせいか、マスタリング自体の記事はないですね。
 そしてN◎VAのおおもとのサポート誌である『ゲーマーズ・フィールド』には、毎回様々な記事やシナリオが掲載されています。
 R時代の連載記事『Take Your Revolution』は当初は鈴吹太郎氏/遠藤卓司氏執筆で始まり、2000年2月号から中村知博氏に交代し、様々な記事やRLのテクニックが語られてきました。中にはRL経験があれば「そんなの当たり前じゃん」というような内容もあったのですが(そうです、その経験がない人のために書いているのですから)、これも有用ですし、実際RRとDetonationルールブックには、この連載での過去の蓄積が活かされた記述があちこちに存在します。
 この記事はDetonationが出た後は『Carry out D』とタイトルを一新して現在も好評連載中、こちらも役に立ちます。

 そして、ネット。かつてサイバーパンクを愛する人の多くが参考文献の筆頭に上げた『攻殻機動隊』の1995年の映画版の終幕で草薙素子が呟いた言葉は、「さあて、これからどこへ行こうかしらね‥‥。ネットは広大だわ」でした。
 あれから8年あまり、世界はその言葉と同じようにネットの時代になり、公安9課の面々は『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の中に生まれ変わって活躍しています。映画版『イノセンス』の公開ももうすぐですね。
 インターネットを通じてTRPGの世界も大きく変わりました。権力のあるサークルではなく力ある個人の時代になりました。オンラインでちょっと検索すれば様々なものが見つかる便利な時代です。貴方が今見ているこのページもWeb上に公開されていますし、マスタリングやルーリングの参考になるものはネット上のあちこちで発見できるでしょう。一緒にTRPGを遊ぶ仲間、自分と波長の合う仲間、意欲のある人や実力のある人も格段に探しやすくなりました。
 もし貴方が既に電脳上のN◎VA界をあちこち探索済みなら、このコンテンツを見て思うことがあるでしょう。【ロケット屋ダンデライオン】様の『トーキョーN◎VA Tips50』になんだか似てますね。ええその通り、二番煎じですが何か?(笑)


■困りし折は初心に戻り、楽しく遊ぶべし。


 様々なことを述べてきましたが、全てをいきなり全て実践するのも難しいでしょう。世界全体を操り、アクト中に様々なことを同時にこなしていかなければならないRLには、1人でやれることに限界もあります。

 PL編Tipsの最後に述べたことを繰り返しておきましょう――そうです。困ったら基本に戻って楽しく遊びましょう! TRPGもN◎VAも趣味で、我々は楽しみを得るために時間を消費して実行しているのです。RLだって楽しいですし、何より、RLが率先して楽しそうにルーリングしているアクトは自然と楽しくなります。PL陣も、自分もこんなRLがしてみたいと思うことでしょう。
 よくRL(もしくはGM)の仕事は「PLを楽しませること」だと言われますが、それだけではなんだか一方的に奉仕するボランティアで、RL/GM側には楽しみがないようにも聞こえます。巧い人は人を楽しませるのも巧いというのは事実ですが、貴方自身も楽しみましょう。
 トーキョーN◎VAのキャストは世界を変える力を持ちます。運命の天輪を操ることができるとたびたびこのコンテンツでも述べてきました。本当にそうでしょうか。実際には嘘です。あたかも世界を変え天輪を操ることができるかのように、RLである貴方が見せているのです。
 TRPGは映画や小説と違い、参加者の無限の選択から物語が無限に変わっていくように言われますが、それも嘘です。実際には道の終局点は一本ないし数本しかなくても、貴方の力でそうではないかのように見せているのです。RLの仕事には「PLを騙すこと」も含まれていて、しかもそのウェイトはかなり大きいんですよ。悪のかほり漂うなんて素敵な仕事でしょう!
 PLの時は諸々の問題からアクトには投入できないようなキャストやゴイスーな技能コンボだって、RLの時はまた問題が違います。どんなはっちゃけた大悪党や千早俊之会長の某チャクラご子息のようなアレな人物も、ゲストとしてなら操ることができます。貴方の意志、声と指先ひとつで世界の全てには命が生まれ、生き生きと動き出すことができるのです。貴方はすべての造物主であり、すべての法則を司る神なのです。

 そしてRLは裁定者だけではなく、時には観客にもなります。放っておいてもキャスト同士がちょっといいシーンでちょっといい会話を始めたら、アクト進行はひととき脇において休憩の時間です。何かとエネルギーを消費してしまうRLの力は節約し、貴方も観客としてそのシーンを楽しみましょう。


■貴公の技は確かなり。動かざること不動の如く、常に自信を持つべし。


 さて最後には、非常に多くのマスタリング解説で述べられているアドバイスを上げておきましょう。すなわち「自信を持つこと」です。
 N◎VAが生まれるより少し前に、先祖である『サイバーパンク2.0.2.0.』で語られた“サイバーパンクになる方法”と同じです。どんな時も、何が起こっても、さもそれが予定通りであるかのように平然と振舞うのです。すべては貴方の掌の上で起こっており、すべては宿命づけられていたことです。どんなにキャストが暴れても、それは釈迦の手のひらの上の孫悟空と同じなのです。そんな気持ちで、恐れずにアクトを進めていきましょう。
 自信を持って語られたことは、たとえ嘘でも真実味を帯びるものです。リサーチ中にリサーチ項目に書いていないことを調べてきた? だったら慌てることなく、さもシナリオを読み直すような振りをして、適当な目標値をでっち上げましょう。達成値が出たのなら、これまたでっち上げた適当なことを答えてやりましょう。それどころか「うんいい調査だね。実はそれがクライマックスへの鍵のひとつなんだ」と嘘っぱちまで付け加えてやれば、PLは自分の選択に満足することでしょう。
(もちろん、アクトの時間が限られている時に、「それに関してはもう調べられることはないんだ」と答えてしまうのは、それはそれでテクニックです。)

 貴方の偽装がバレたりしないでしょうか? 心配することはありません。RL経験のあるPLはこういう時、たいていRLの意を汲んで黙っていてくれます。
 RLの裁定が最上位であることはルールにもはっきり書いてあり、全てのTRPGにおいて共通の不文律です。貴方は世界の王で一番偉いのです。自信を持ち、‥‥そして、民たちに見放される独裁者にはならないように心に留めながら、落ち着いて対処していきましょう。
 
 


■天輪の音が響くとき


 さて、こうしてRL編のTipsも結びを迎えました。果たして何か得たものはあるでしょうか。貴方が既に腕に覚えのある方なら至極当たり前のようなことも書いてありますし、貴方がこれからRLする方なら参考になったところもあるかもしれません。あったとすればそれこそを筆者の喜びとしましょう。

 アクトが始まるまで、各PLが想像する自分のキャストのイメージ、シナリオのイメージ、世界のイメージはそれぞればらばらの欠片に過ぎません。
 貴方こそがいることで、全ての欠片がひとつに組み合わさるのです。イマジネーションがひとつになり、世界が形を取り、その背後で運命の天輪が音を立ててゆっくりと巡り始めます。その妙なる音色は開幕の時が来たことを貴方たちに伝えることでしょう。
 天輪の音が響くとき、貴方の物語の幕を上げましょう。貴方の思考、貴方の声、貴方の指先ひとつひとつが振るわれるたびに、世界は動き始めます。地軸が傾いた架空の未来世界は鮮やかな色で彩られ、そこに住む人々とそこに在る光景、その全てに命が吹き込まれて動き出すのです。
 その中を旅するキャストたちの前には、きっと驚くような冒険が待っています。そうして形を取ったアクトは時に、本当にいつまでも心に残るような、素晴らしい物語を生み出すこともできます。

 さあ、この次は貴方がRLすることもあるでしょう。恐れずチャレンジしてみましょう。大丈夫、きっとそのアクトは盛り上がってうまくいくはずです。

 どうしてかって?

だって貴方がRLだからですよ!(*^ー゚)b



 以上でプレイングTips&コラム集コンテンツ『天輪の音が響くとき』は終了です。長らくお付き合いいただきありがとうございました。

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天輪の音が響くとき
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