『ア・ルア・イーの魔道書』
《導きの書》
『深淵』は1997年3月にホビージャパンから発売されたTRPGです。サプリメントはホビージャパンの他にスザク・ゲームズからも発売されています。RPGマガジン紙上でも記事が好評連載中で、発売以前から、Niftyなどで様々な情報が流されていたようです。
語り残さん。
これらすべてが夢で終わらぬために。
“幻想を翼に”――これが自らストーリーゲームを名乗る『深淵』の基本コンセプト。『深淵』のセッションは一つの映画であり一つの物語であり、『深淵』のキャラクターは舞台に立つキャスト。
『深淵』が目指すのはドラマティックかつシネマティックな、本当のファンタジー・ストーリーなのです。
――『ア・ルア・イーの魔道書』《導きの書》より
見よ。
光と闇の双方があって、初めて意味があるのだ。
――『ア・ルア・イーの魔道書』《導きの書》より
これが、『深淵』の舞台。モデルとなるのは日本のライト・ファンタジーではなく、ハヤカワ文庫FTに見られるような、海外作品の本物のファンタジー世界です。
そう、皇子エルリックや戦士コナン、フロドたちが旅した世界。あるいはタニス・リーの諸作品に登場する闇の公子たちの集う世界を想像してみて下さい。
星座は巡る。
これぞ、運命の機械からくり。
『深淵』は様々な専用ルール群で、その狙いを果たしています。
各PCに用意された91の暗い『運命』。人と人との結び付き、人の持てる想いの総量を表す『縁故』。いざとなれば寿命を削り行為を成功させることも、大失敗を“買う”ことすらできる『寿命』ルール。映画を目指した『シネマティック』なセッション運用ルール。
そして魔力溢れる92枚の『運命カード』。戦闘や行為判定の結果もイメージ化され、雰囲気ある[語り部]欄のことばが、ストーリーとドラマを支援します。
PCは《夢歩き》技能の判定を行うことで、イメージをやりとりし、物語に介入できるのです。本サイトに添えられた幾つかのことばも、語り部欄のもの。
――『ア・ルア・イーの魔道書』《導きの書》より
我は見つめる者。
汝の生きざま、とくと見届けよう。
『深淵』のPCはテンプレート制。予めデータ類が作成済みのキャラクターの中から一つを選び、運命や縁故を調整し、妖精代末期の世界へと旅立ちましょう。
テンプレートは現在、追加されたものを含め44種ほど。サプリメント『城砦』で見られる、各地方特有のテンプレートも含めれば60種は行きます。(また、発売以前にNifty-Serveで紹介された幻のテンプレートもあります。最終的には90と1つを目指すとか‥‥)
戦士や騎士、盗賊から12と1つの星座に属する魔道師やまじない師、踊り子や商人、夢占い師。
果ては暗殺者や魔族の下僕に死人使い、魔剣に魅入られた剣士までも。
非常に個性的で魅力のあるなテンプレートが揃っています。
“できるだけ多くの金や経験値を稼いで生き残る”“冒険者の店で請け負った依頼を完遂する”といった、ありきたりのRPGで見られる目的は考える必要はありません。
『深淵』世界のPCは“冒険者”ではないのです。彼らは夢や予言、運命によって旅立つのです。そして何よりも、彼らは銀幕の向こうで物語を織り成す一人一人のキャスト。
運命の舞台に立つのは、叙事詩の真実を求める吟遊詩人や復讐に身を委ねる亡国の戦姫、愛馬の呪いを解くためにさすらう少女、失われた愛に身を焦がす恋人たち。様々な想いが交錯するその時、物語が生まれます。そう、貴方の手で。
――『ア・ルア・イーの魔道書』《導きの書》より
試すことを恐れてはいけない。
未知の世界にのみ、存在するものもある。
確かにこのRPG、“簡単”ではないかも知れません。『深淵』にも勿論欠点はあります。
「プレイするのが難しそう」「マスターが大変/負担が大きい」「わざとぼかして書いてある部分があるため、ルール面や世界設定で不明な点がある」「夢歩きが難しい」「素晴らしいシナリオを作ろうとすると骨が折れる」‥‥この辺はよく言われることです。筆者もそう思ってます(笑)。
しかし、恐れることはありません。『深淵』にはそれを超える素晴らしさがあるはずです。
我はここで待つ。汝の時が至るのを。
――『ア・ルア・イーの魔道書』《導きの書》より
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