電子工作のコーナー


子供と一緒に作った鉱石ラジオ Jun.18 2001

ある日、本屋さんで「トレージャーストーン」という鉱物や宝石の標本を付録にしている雑誌(2週間に1回、発行。2個の標本が付録としてついている。)を見つけました。
何号か既に発刊されておりますが、そのうち創刊号には、付録に「ルビー」と「パイライト(黄鉄鉱)」がついていました。

本屋さんで見つけた、鉱石の付録つき雑誌

立ち読みしながら、ふと「小学生のころ、これ(パイライト)で鉱石ラジオをつくったことがあるな」と昔を思い出しました。「これで子供に鉱石ラジオの工作を楽しませてあげようかな」と思い、値段も創刊号ということで¥290と、鉱物標本を買うより安いので、迷わず2冊も買ってしまいました。
早速、鉱石ラジオの部品集めです。コイルも自作することとし、エナメル線、バリコン、クリスタルイヤホン、ゲルマニウムダイオード(あらかじめ調整するときに必要)、そのほか、台にする板や端子などを手持ちのジャンク箱や、物置を探しました。
部品がそろったところで、簡単な実体図で娘に説明してやりました。理屈なしで、まずこの図のように作ってみようということでスタートしました。まず、コイルの製作からはじめました。

コイルは、トイレットペーパの芯を使って巻くことにしました。手持ちに0.26φのエナメル線があったのでこれを使いました。BCバンド用ですので270pFのバリコンと組み合わせるには300μHくらいのコイルが必要です。トイレットペーパの芯の直径は38mmあるので、きっちり巻く(密巻き)として、約100回です。

トイレットペーパーの芯にエナメル線を巻いているところ


それぞれの部品を、板に取り付けます。バリコンは、パネルに取り付けました。
次に配線です。娘にとっては初めての半田付けです。お父さんが手を添えながら、何とか接続できました。まずは、検波器にゲルマニウムダイオードを使います。最初に、放送が受信できることを確認してから鉱石検波器に切り替えます。

初めての半田づけに挑戦している娘

アンテナ、イヤホンを接続して放送が受信できるか確認します。バリコンをゆっくり回し放送が聞こえるところを探します。イヤホンから小さな音で、音楽やアナウンサーの声が聞こえてきました。娘にとって初めて作ったラジオで聞く音です。全身を耳にしながらバリコンのダイヤルを回して放送を探していました。

受信しているところ

バリコンのダイヤルを放送のあるところにしておきます。そしてゲルマニウムダイオードを、鉱石に取り替えます。片方は、ワニ口クリップで鉱石をつまみます。もう片方は、細い針金(より線の一本を使ってもOK)で、放送が聞こえるところを探ります。昔の鉱石ラジオは、「さぐり式」言ったそうです。この聞こえるところを探るといったところから来ているのでしょう。黄鉄鉱の表面をあちこち探ると、放送が聞こえるところがあります。
一瞬聞こえたかと思うと、すぐ消えてしまったりします。安定したところを探すのは難しいものです。場所によっては、ゲルマニウムダイオードと同じ位の感度で受信できるところもあります。娘も面白い経験が出来て大喜びでした。のんびりとした日曜日、子供と一緒に過ごした一日でした。

鉱石による検波                    製作したラジオで楽しんでいる娘

PS
鉱石ラジオは電源要らずで経済的ですが、音量に物足りなさを隠せません。本来、これが鉱石ラジオの楽しいところかもしれませんが、ちょっと、余計なことをしてみたくなりました。「高周波増幅付鉱石検波式ラジオ」がそれです。どうせならスピーカを鳴らせるように、電力増幅も持たせようと考えています。

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