電子工作のコーナー


真空管特性カーブトレーサ uTracerキットの製作 Jan.05.2016

一年ほど前(2013年末)にuTracerとよばれる真空管のカーブトレーサシステムをオランダの方のサイトから見つけました。
基板と主要部品(専用プログラム書き込みPIC含む)をまとめてキットとして販売しているとのメッセージがありましたので、早速メールをしました。
スピーディに対応していただき、迅速に購入できました。支払はPayPalでOKです。
この写真が送られてきた基板と部品です。それから1年間組み立てる時間がなく、ほったらかしていました。
やっと最近になって、組み立てる時間がとれたので、2日がかりで組み立てました。このコーナーではその様子を報告させていただきます。


購入したuTracerの基板、部品一式です

基板の外観(部品面、はんだ付け面)


最初はV3仕様として購入したんですが、若干のパーツ変更でV3+仕様に更新できます。サイトからダウンロードした説明
にしたがって、V3+仕様として完成しました。詳しい製作マニュアルを参照しながら組立られます。
ステップバイステップで組み立てられるように記載されています。非常によくできたマニュアルです。
準備する電源は、旧タイプのノートパソコンなどで使われていた19V〜20V 3〜4A程度のACアダプタのみです。
プレート電圧やスクリーン電圧、バイアス電圧は基板上でスイッチング電源(チョッパ式の昇圧電源)として組み込まれています。
なので、重たい電源トランスを用意しなくてもOKです。

またヒータ電力は、電圧を設定(たとえば6.3Vなど)すると、19VのACアダプタ電源から19.5KHzのPWMにより
実効値を取り出して供給します。この方式だとスイッチングトランジスタの放熱も簡単なもので
済ます。非常にスマートなよく考えられた方式だと思います。

組み立てが完了した外観

またヒータ電力は、電圧を設定(たとえば6.3Vなど)すると、19VのACアダプタ電源から19.5KHzのPWMにより実効値を取り出して供給します。
この方式だとスイッチングトランジスタの放熱も簡単なもので済ます。非常にスマートなよく考えられた方式だと思います。
また起動ソフトもダウンロードできます。
最新版(uTracer3p12)をダウンロードして起動させました。マニュアルに従いそれぞれの計数キャリブレーションをしました。
一通りのキャリブレーションを終え、手持ちの6AQ5を測定しました。
その結果が、これです。非常の操作性もよく簡単にVp−Ip、Vg−Ip特性などや三定数(μ、rp、Gm)などが測定できます。





6AQ5 5極管特性(3定数)


6AQ5 5極管特性(Vp−Ipカーブ)



6AQ5 3極管接続特性(3定数)


6AQ5 3極管接続特性(Vp−Ip特性)


気をよくして、手持ちのジャンクシャーシを活用して、木箱に内蔵しました。
とりあえず、よく使うGT管、MT9ピン管、MT7ピン管が測定できるようにしました。
ピンアサインは、バナナ端子に直接配線が出来るようにして多種に対応できるようにしました。



木箱に詰め込みました



蓋をしたところ
この起動ソフトにはいろんな機能が盛り込まれています。すべてを紹介できませんが、真空管の単純な特性カーブだけでなく
双3極管(6SN7など)のユニット1、ユニット2の比較、得られた特性から、仮想負荷線を引いたの歪特性なども
シミュレーションできます。まだ使いこなす段階まで来ていませんが、これからちょっとづつです。
そのまえにピンアサイン変更にいちいち配線を替えるのは面倒なので、MPUでピン変更できるピンマトリックスを
製作したいと思います。以前から計画をしていて基板まで完成しているので、この続きを進めたいと思います。

組み立て後に開発元のRonaldさんにリポートしましたら、彼のサイトに掲載してくれました。

uTracerの仕様概要

全体概要
パルス式測定で2極管、3極管、5極管などを対象
13種類の測定がソフトに組み込まれています。
  凡例 Ia:アノード(プレート)電流 Is:スクリーン電流 Vg:グリッドバイアス電圧 Vh:ヒータ(フィラメント)電圧 等

Ia,Is 対 Vg; Va可変; Vs、Vh固定
Ia,Is 対 Vg; Va=Vs可変; Vh固定
Ia,Is 対 Va; Vg可変; Vs、Vh固定
Ia,Is 対 Va; Vs可変; Vg、Vh固定
Ia,Is 対 Va=Vs; Vg可変; Vh固定
Ia,Is 対 Vs; Vg可変; Va、Vh固定
Ia,Is 対 Vs; Va可変; Vg、Vh固定 (ポジティブ グリッドバイアス モード)
Ia,Is 対 Va; Vs可変; Vg、Vh固定 (ポジティブ グリッドバイアス モード)
Ia,Is 対 Vh; Vg可変; Va、Vs固定
Ia,Is 対 Vh; Va可変; Vg、Vs固定
Ia,Is 対 Vg; Va可変; Vs = 5極管のウルトラリニア接続をシミュレーション ;Vh固定
Ia,Is 対 Va; Vg可変; Vs = 5極管のウルトラリニア接続をシミュレーション ;Vh固定
Ia,Is 対 Va; Vg可変; Vs、Vh固定; “Schadeフィードバック*”をシミュレーション
(*アノードからグリッドへ抵抗を介してフィードバックする方法)


バイアスをパラメータとして相互コンダクタンスをプロット
バイアスをパラメータとして出力抵抗をプロット
マジックアイの連続性チェック
双3極間のユニットバランス測定(マッチング)
簡易テスト(μ、rp、Gmなどの3定数と各電流値)

アノード(プレート)、スクリーン電源
アノード(プレート)、スクリーン電圧: 2〜400V(0.4V分解能)
測定時間 1m秒
通常の出力電流最大値 200mA
最大出力電力 60W
電流制限値(リミッタ) 250mA
プログラムリミッタ 25, 50, 75, 100, 125, 150, 175, 200 mA, 応答時間 20 μ秒
ショート保護機能あり
線形/対数スイープ

アノード(プレート)、スクリーン電流測定
0〜200mA(9.5ビット分解能で8レンジ)
自動レンジ設定、マニュアルレンジ設定
自動平均、マニュアルの選択
レンジ: 0-1 mA, 0-2 mA, 0-5 mA, 0-10 mA, 0-20 mA, 0-40 mA, 0-100 mA, 0-200 mA.

グリッドバイアス(ネガティブバイアス電圧)
0〜-50V(50mV分解能)
ショート保護機能有
線形/対数スイープ


グリッドバイアス(ポジティブバイアス電圧)
3極管のみ(スクリーン電源をバイアス電圧に充当するため)
電圧 0〜200V
電流 0〜200mA
パルスバイアス(そのためグリッド損失はない)
線形/対数スイープ

ヒータ(フィラメント)電源
0V〜基板に供給すすACアダプタの電圧(通常は19.5V)
それ以上の場合は外付け電源で供給可能
電流容量 1.5A(ヒューズにより制限)
直熱管、傍熱管
PWMによるソフトスタート(0〜100% 10秒)
外付け電源で高いヒータ電圧や高電流も可能

データの表示
画面にグラフィック表示、カーソル機能もあり
自動、マニュアルでX、Y軸のスケーリング
相互コンダクタンス、出力抵抗の2〜25次曲線近似フィッティングによるプロット
特性グラフをBMPファイルに保存
テーブル形式で測定データを保存
真空管の測定条件を蓄積保存
Jan.05.2016 update

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