デイトン・ハムベンション見学記

DAYTON HAMVENTION REPORT (1994 Apr.29th 〜 May.1st) by JJ1BMB Jun'ichi Ohgo

 デイトン・ハムベンション(1994年4月)に行って来ましたので、その様子を報告します。屋外でジャンクのIBM PC/AT互換機を山積みにして売る店、3枚4ドルでシェアウェアの入ったディスケットや、"Adults over 21 only"と表示のあるCD-ROMを並べる店、三葉虫やアンモナイトの化石を売る店など無線と直接関係ないものも沢山あったハムのお祭りの、ほんの一部ですが御紹介します。

【会場内の様子】
 ハムベンションは、オハイオ州デイトンにあるDAYTON HARA ARENA CENTERで4月29日から3日間の日程で開催されました。天気が悪く2日目まで大雨でしたが、初日は屋外のフリーマーケット(flea market)を、2日目は屋内展示場内をとにかく歩きました。目についたものがあっても、いちいち手に取って見ていたのでは広い会場を回り切ることはできません。結局、ジャンク類は忘れることのできないものだけを最終日に買うことにして、会場にあるもの全てを見ることにしました。悪天候にも関わらず、フリーマーケットはビニールのレインコートやポンチョで武装した人で賑わっており、それにも増して幾つかある屋内展示場は、どこもラッシュ時のターミナル駅のような混雑ぶりです。雨と人混みで快適とは言えませんが、そこに集う人々の表情は、ハムのお祭りを心から楽しんでいる様子でした。

写真-1(上) 屋外のフリーマーケットの様子/写真-2(下) 屋内会場のメーカーブース

 出発する前に買うものを一応決めておいたのですが、会場に着いてから高耐圧のバキュームリレーやバリL、DRAKE製の6mと2mのトランスバータ、新品未開封?のKWMー2A、無造作にテーブルの上に並べられた裸のIBM PC/AT用ビデオカードやLANカード、PentiumやCyrix製486互換チップの載ったショープライスのメインボードなどをあれこれ見ているうちに、何を買いに来たのか分からなくなってしまいました。目移りが激しくて決められないのです。

写真-3 WA4JQS              写真-4 KK6EK

 前置きが長くなりましたが、会場の様子を写真で御紹介します。[写真-1]は、メーカーのブースが集まった屋内会場の一つです。無線機は日本製、アンテナ類はアメリカ製が大半を占めていました。小物やアンテナは、その場で買うことができます。[写真-3,4]は、Devco Electronicsのブースで見かけたWA4JQS(写真-3)とKK6EK(写真-4)です。彼らの前には数台のWindowsマシンが並べられており、ロギングソフトDX Desktopのデモンストレーションが行われていました。また、彼らの後ろに並べられたモニタには、3Y0PIのログがコール順にエンドレスに流れており、JAの固まりの中に自分のコールを見つけたときは、本当に嬉しかったです。[写真-2]は、屋外のフリーマーケットの様子です。写真に写っているのは全体の半分で、とにかく広い!の一言に尽きます。

屋外のフリーマーケットの様子(3枚)  とにかく広い!

 出店者はワゴン車やトレーラーごとマーケット内に乗り入れて、車ごと店舗にすることができます。出店者の駐車スペースを別に用意する必要がないうえ、開店準備や撤収に余計な時間を使うこともないので、合理的なシステムだと思います。夫婦で、乗用車のトランクを開けただけのシンプルなお店もあり、家族的な雰囲気が漂っていました。[写真-5]のテントでは、パソコン関係のジャンクが売られていました。200ドル台のi286+40MBのハードディスクが載ったAT互換機、シリアルプリタ、VGAモニタ、接続ケーブル、ソフトなどが並べられており、身動きができないほどの混みようです。初代のIBM PC/ATやXTも置いてありました。

写真-6(中) 積み上げられたAT互換機   この様な大きなテントが幾張りもある 

 [写真-6]はテント内の売場です。 通路の右側に積み上げてあるのは、ジャンクのAT互換機の本体部分です。電源とi286の載ったボード付きで150ドル前後、QRZ! Ham Radio('93 December版)は10ドルでした。[写真-7]は、本物の化石を売る店です。直径が30数センチあるアンモナイトの置物?などが置いてあります。[写真-8]のお店では、HEATH KIT,SWANなどを並べています。下から2段目の左端にあるのはDRAKEの2mのトランスバーターと、親機との間に入れてV/U/HFを切り換えるためのセレクターです。初日の午前中に見たときには6mのトランスバーターもあったのですが、写真を撮りに戻ったときにはありませんでした。買っておけば良かったと、今でも後悔しています。150ドルでした。

写真-7 売り物は本物の化石 見た目も美しい    写真-8 珍しいDRAKEのトランスバーターを売る店

 [写真-9、10]あの色、あのパネルレイアウト、目鼻立ちのはっきりしているCOLLINSは、すぐ目に留まります。Sラインのダイヤルエスカッションやメインダイヤル、ツマミ類も探せばあります。部品を取り尽くされた75S-3のシャーシは5ドルで売られていました。ホテルで会った、ハムベンションに何度も来ているというJA3のOMの話しでは、今年は近年になくCOLLINSが多いとのことでした。

写真-9,10(3枚) COLLINS(SラインやKWM2は特に)商品価値の高いものが多い

 [写真-11]の中央に写っているのは、去年筆者がVP5で運用した際にお世話になったVP5JM Jodyです。左側がAB5MF、後ろがJA1CGの各OMです。最終日に屋内展示場で偶然会うことができ、お茶しているところです。Jodyはサテライト運用に適したリグやアンテナのことで、アドバイスを求めていました。

写真-11(左) 会場で偶然会ったVP5JM(中央)   写真(右) 会場内に設置された特別運用局

【中古リグのプライス】
 メモをとったり詳しく調査した訳ではありませんし、見たのは全体の一部です。価格は目安程度であり正確ではありません。評価は筆者の主観によるものであり、絶対ではないことをお断りしておきます。
 フリーマーケットの会場にはACラインが来ていないので、動作チェックは出来ません。COLLINSやDRAKEなどの古いリグは、経年変化による劣化は不具合と言えないでしょうが、重大な不具合があれば買う前に説明してくれます。後は売り手の印象と、売り物の外見から価値を判断します。
 まずCOLLINSから。Sラインが600ドル、KWM-2が300〜400ドル、75A-4が600ドル、KWS-1が電源付きで1、500ドル、30S-1が2,500ドル、30L-1が600ドル、新品同様のKWM-2Aが1,500ドルでした。専用の段ボール箱に入った新品未開封品?の価格は、高そうなので聞きませんでした。ステーションコンソールやウィングマークのついたSWR計は200〜300ドルと、本体に近い値付けがされていました。COLLINSの場合、塗装の剥がれや大きな傷の目立つ物ものは見あたりませんでした。

会場を歩くと売り手買い手双方の個性が伝わってきます。 また行きたい。 Dayton Hamvention!

 次はDRAKEです。TR4CW+電源+外部SPの極上品が600ドル、少し錆が浮いてる4Bラインが300ドル、MN-2000が600ドル、4Cラインとお揃いのデザインの2mと6mのトランスバーターとCC-1セレクターが各150ドルでした。他に、TR7やSSR-1も売られていました。台数的にはCOLLINSの4分の1程度で、あまり多くは見かけませんでした。
 他のメーカーでは、SWANのHFモービル機、デジタル表示のHEATH KIT、TEN TECなどもありましたが、台数は僅かでした。日本のメーカーではIC-765(IC-760PRO)が1,600ドル、TS-520が350ドルで売られていました。
 梱包と発送は専門の業者が代行してくれますが、リグ1台で数万円掛かるようです。格安チケットでも小型のアンテナやHFトランシーバーは、機内預かりで運べるので輸送コストは掛かりませんが、自分で運べないものは、よほどの珍品でもない限り、デイトンまで探しに行くメリットはないかもしれません。

アマチュア衛星の団体AMSAT   VEC関連グッズも入手できる   ARRLのブースにて後ろは高橋OM

【PC/AT互換機ショッピング】
 ハムのお祭と言っても特に屋内会場内では、PC/AT互換機の完成品や部品のバラ売り、ソフトを扱うお店が目につきます。秋葉原と異なるのは、PowerPC,i486DX4,Pentium/100MHzやPCIバスといった最新のテクノロジー使ったものを、ほとんど見ることが出来ません。しかし、最新ではないが、その分安価なメインボードやカード類は数多く売られていましたので、私も1セット分の部品を買うことにしました。
 TI製486SLC/33MHzのCPUとコプロセッサーが載ったメインボードが125ドル、Cirrus Logicのアクセラレーターと1MBのVRAMが載ったビデオカードが65ドル、IDEマルチI/Oカードが9ドルでした。手持ちのケース、メモリ、FD、HDDを加えて完成です。一太郎 Ver.5を使っているときに、たまにハングアップするのを我慢すれば、無線用には十分です。
 帰国して数日後に秋葉原へ行ってみました。PC/AT互換機に関しては、新製品の新鮮度や価格はアメリカ国内のショップと大差ありませんでした。ミネアポリスのCOMPUTER CITYで買ったSoundBlaster AWE32は、秋葉原の方が安かったくらいです。
 個人的な意見ですが、互換機を道具として使うならば、回りに互換機のことを知っている人がいない場合は、個人輸入や海外での購入はあまりメリットがないと思います。日本語化やトラブル発生時に苦労します。また、ユーザーのリクエストに応じて各コンポーネントをアセンブリしてくれるショップもありますが、好みの仕様でセットアップできてもコスト的なメリットは無いようです。
 いまや日本でi486DX2マシンが15万円台で、Pentium+PCI搭載マシンが30万円を切る時代です。日本語MS-DOSとWindowsがプリインストールされたモデルを、サポートのしっかりしたところから購入するのが、早道であり安いと思います。

ミネアポリスから会場へはレンタカーのLINCOLN TOWN CARで

撮影場所は会場近くの Dayton U.S. Air Force Museum


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