ガメラ�気砲�いて「怪獣は何故退治しなければ成らない？」「保護すべき稀少生物では無いのか？」についての議論がされている。劇中で議論されるのは実質始めてであり、54年のゴジラ以来、実に40年振りにこの命題に触れているのである。
劇中、長峰と斉藤の論争は、安易な自然保護運動（あくまで安易な）に対する皮肉であり同時に人類なる者の傲慢さを鋭く指摘していると言えよう。
ガメラ�兇任蓮▲�メラのパ−ソナリティ−が明らかにされる、すなわち高度な精神を待たないガメラが何故
善悪を判断出来るのか？実にガメラは、自身が生存するに必要な環境を保持するのに必要な「地球」と言う生命体を護るため戦うのである。今はたまたま人類との利害が一致してるに過ぎず、いつなん時人類に牙を向けるか解らない諸刃の剣である。（これは�靴悗良枩个砲眄�っている）
しかしガメラは人間の意志（純粋なSOUL）によって目覚めた存在であり、人との関わりを断ち切る事が出来ないのである。こうしてガメラの存在は次第に複雑な物へと変貌していくのである。
さて、これは私自身、意表を突かれた思いで受け止めたのだが、ガメラ�兇任麓�衛隊が怪獣退治に出動する事に対しての法的根拠が始めて明らかにされる、そう今まで怪獣が出現すれば自衛隊が（怪獣に踏みつぶされる為に）戦車を出動させる！この当たり前の現状の異常さに何故今まで気付かなかった！！！
そしてガメラ�靴任△襦⊆舁彭仂貎擁�は全てガメラそしてギャオスによって人生を狂わされた人々である。
怪獣は「ハコモノ」である都市を破壊する、同時にそこに住む人々の人生を破壊する！当然の事である。しかし、54年のゴジラ以外、これを意図的に避け来た節がある、命題として重すぎるのであろう（パンフレットからの受け売りである事を告白する）確かにゴジラ54では被災者の姿を大きく映し出した。しかし、それ以降被災者の姿はスクリ−ンやブラウン管には登場しない。
54年のゴジラには、その必然性があった。第一に芹沢博士にオキシジンデストロイヤ−の使用を決意させるスト−リ−上の問題。第二に、それ以上にその時代である。太平洋戦争の記憶が生々しい昭和２９年が結果としての被災者を当然の事としていたのである。
時代と言えば「ラドン56」には、自衛隊の怪獣掃討作戦が結果として大量の自然破壊をもたらすのでは？と言う指摘が、怪獣を倒すと言う大義名分の前に葬り去られる！と言う場面がある。まさにその時代なのである。
余談ではあるが日本人が手持ちの手段で怪獣を殺したのは、驚くべき事に「ラドン」と「バラン」の２例を数えるに過ぎない！
復活ガメラ＝シリ−ズでは（モスラでも）被災者の姿を映し出している。これも時代であろうと思う、大島三原山・雲仙普賢岳そして阪神大震災と言った自然災害の続発、また第二の敗戦と言われる昨今の風潮（昭和20年台と共通する）が被災者の存在を当然の事として受け止める土壌があるのであろう。モスラの場合そのメルへンチック（それはそれで良い）の展開ゆえ最小限にとどめるが、ガメラはついに、その主題として被災者を登場させているのである。
ガメラ�靴亮村舛亮膺邑�である少女「比良坂綾名」は自分の目の前で両親をガメラに（ギャオスでは無い）に殺された事からガメラを憎み、そのトラウマから発する念がギャオスを復活させ、更に進化したギャオスすなわち「イリス」を生み出すのである。
この、逆恨み的な展開は、怪獣ファンの素朴な疑問とも言える命題であり「ウルトラマンタロウ」において試みられている、この時はエピソ−ド的にスト−リ−に挿入されたにとどまっているのだが…
しかし今回の「わたしはガメラを許さない」のキャチコピ−を聞いた時、これはタブ−に踏み込んだなと考えたものである。なぜなら、この命題がスト−リ−そのものを形成しているのではと考えられるからである。（果たしてそうであった）
�靴任論亀舛量Ｊ�であるはずのガメラを、冷酷無比な恐怖そのものとして描いている。（それはゴジラをも凌駕する）ギャオスを追って現れたガメラはギャオスを倒す過程で、渋谷の街を徹底的に破壊してしまうのであるから。
さてウルトラマンをここまで冷酷に描く事はおそらく出来無いであろう。現在進行しているウルトラマン＝シリ−ズでウルトラマンが人類の決定（滅びを選んだ）に干渉出来るか否かと言うスト−リ−があったと聞くが、これとて結果として感謝を得ることになるが。ガメラは結果としての批判を知ってか知らずか、冷徹に自分の任務に突き進むのであるから。
さらに、この作品では、事もあろうに「京都（皇居と共に怪獣と言えども一指だに触れる事を許さぬ聖域）」を破壊している、過去ゴジラが京都タワ−を破壊した例があるが、今回は京都の寺社・町並みを焼き払ってしまう！�兇任論臑罎魎櫃瓦半談任気擦燭�（あの旧仙台駅前のテロップはドキリとした）それにも勝る衝撃であった。
最後に「綾名」は彼女に思いを寄せる少年「守部龍成」により自分の思考矛盾とイリスの本質に気付かされハッピ−エンド・・・となると思ったのだが、事態は更に絶望的な状況に進み、そして唐突に物語は終わってしまう！
私としては「これで終わり！？」と思ったのだが「じゃあどうしたら良いのか？」と聞かれれば、答えは？？？である。これもタブ−への挑戦でもある訳だし。
それにしてもモスラが最後までアイドルであったのに対し、ガメラはゴジラと同じ（あるいはそれ以上）の
複雑な存在（ガメラは正義の味方だが必ずしも人類の味方では無い、人類の出方によって見せる顔が違う、しかし人類の意志により存在する）に、なってしまったのだろうか？ルックスの違いではすまされまい。（笑）
最初のシリ−ズではガメラは純粋な悪役＝意味も無くそして本能のまま破壊を働く（ゴジラもモスラも最初は悪役だが、人間に対する復讐者と言うペルソナを持つ）から、一転ヒ−ロ−に転じた過去を持つが、その存在は常に、単純そのものであった。
これについては「草薙浅黄」の存在について言及する必要があろう、それはどうしてもゴジラにおける三枝未希、イリスに対する比良坂綾名と比較してしまう。
三枝未希は先天的な能力から対ゴジラ要員に起用され、以降自分の任務として（自分の意志で）最後までゴジラとコミュニケ−ションを取り続ける、しかし本当の意味で分かり合うことは無かった。
比良坂綾名は、ガメラを憎む自分の念がイリスを生み出し、それを愛おしむ、しかし最後に決別し、そしてイリスを抹殺する。（同時にガメラにより再生する）
草薙浅黄は、たまたま勾玉を手にしたことから、ガメラの巫女的存在となる。最後にはコミュニケ−ションを取ることは出来なくなるが、最後まで、その理解者であった。演じた藤谷文子は「昔の恋人を今でも想っているような」と表現している。
自力と他力、先天と後天、能力・意志と結果、三者三様と言えよう。
怪獣側の立場から言えば、最後まで人との関わりを拒み続けたゴジラ、実は人の意志に全て依存いていたイリス、人との関わりを絶とうとして絶てなかったガメラ（劇中においてもガメラの弱点として指摘されている）浅黄に限らず人との関わりに縛り続けられていた、ガメラはゴジラ以上の重いしがらみの中に存在していたのである。
そこへ行くとモスラは小美人あるいはエリオス三姉妹と言う、いわば非現実の存在にのみ依存しているゆえ、純潔性を損なう事無くアイドルでいられたのであろう。実際復活シリ−ズのスト−リ−はメルヘンチックゆえ単純に楽しめるものであった。
さて、最後に「比良坂綾名」を演じた「前田愛」について触れて見たい。
前田愛と言うとチャイドルと言う代名詞に象徴されるように、子役的なイメ−ジで見ていたのだが、今回これだけの演技をこなすとは正直驚いた！
最初にイリスと融合する場面は、まさに怪獣映画史上稀有な「エロチック」なシ−ンと言えよう。と言ってもシャツの胸ボタンを一つ二つ外すだけなのだが、それだけで充分に色気を見せていると思う。それは、あたかも自らの意志でカラダを開く行為そのものの様であり。続いてイリスに取り込まれるカットでは、まさに好きな男に抱かれる“女”を演じてしまっているではないか！
まあ、少なくとも安達裕美のビキニ姿よりは衝撃を受けたね。（笑＝早い話子供は裸でいても平気である、安達の場合どうしても、そう言う目で見てしまう、前田より１〜２、年長のはずだが）
前田愛は本作品を契機にチャイドルの中では、いち早く女優へと、変貌を遂げたと言っても過言はあるまい、ただ一つ懸念するなら「怪奇もの」と言うイメ−ジは定着しはしないかであろう。