不死男という名前の由来については、長女(不死男の姉)のあとの子供が生まれてすぐ次々と死んでしまって、今度生まれる子供は死なないようにと、誰かは不明ですが *)、名のある人に頼んで、この名前をつけてもらったとのことです。(その後不死男の姉も、戦時中に結核で病死しました。)

 出撃前の休暇で不死男中尉が家に帰ってきた際、もちろん回天作戦は機密作戦で、特攻で出撃するということは一言も口にしませんでしたが、その最後の晩、中尉の母は一晩中、「行っちゃいかん、死んだらなんにもならん」とひきとめ続けていたそうです。

 そして翌朝の出征では、戦地に赴く兵士は、普通見送る人たちに応えて何度も振り返るものだったそうですが、中尉はその間一度も振り返らずに去って行きました。

 以上は不死男の姉の娘(幸枝・当時10歳)の話ですが、不死男の母は亡くなるまで、せめて結婚だけはさせてやりたかったというようなことを、繰り返し幸枝に語っていたそうです。



*) 叔父の慎助であったとの情報を、不死男中尉と幼馴染であった方のお孫様から頂きました。